教諭からの寄稿

Contributions from teachers

「26期生のおもいで」

26期教諭 木下 博之

▼入学願書の受付。迎える幼な顔の中学生。240まであと何人と指を折りながら、そして雨の中の合格発表。傘の間に見える安堵と喜びの顔。

▼出会いと別れ。満開の桜の下の入学式・クラス写真撮影・HR。日高ドームでの校外学習のバーベキュー。出会いとふれあいの喜び。が、入学後わずか1か月で、まさかの悲しい別れ。年度末、卒業の思いを遂げることなく去っていった君たちとの別れも・・・心に、重いで。

▼ハンマーや槍を投げる陸上部員の姿。投げては取りに行くを繰り返す彼らの姿を社会科準備室から見下ろしながら、コーヒーをいれることから始まる私の一日。ローカには楽器をひろげる「ひねすい」部員。クラブ活動に頑張る姿の思い出。初の男子入部のダンス部。フロアでクルクル回転する姿。授業でもクラス活動でもローカを歩いていても際立つ女子バレー部員。近畿大会での戦いを終え涙する姿。

▼風に舞う、色とりどりの紙テープ。修学旅行は沖縄本島から波に揺れること1時間の伊是名島、2日間の民泊。自転車で巡る島の彼方此方で目にする体験学習での笑顔。別れの港、民泊先の方々と惜しむ姿。沖縄民謡「唐船ドーイ」をBGMに手を振ってくれる伊是名の皆さんが、紙テープの向こうに小さくなっていく。

▼温かい拍手。人権作文の発表会。静かに耳を傾ける姿。そして発表者に対する拍手。行事やクラス活動での、互いに支え合う姿も大切な思い出。ある先生の26期生を評した言葉「気はかえらし(かわいい)」。自分が褒められたようなうれしさ。「勉強はせえへんけどな」との尾ひれは付けられたものの。

▼個々の生徒とのおもいで。眼を真っ赤にしてぶつかりあった怒りの顔。朝、教室に入って真っ先に探す顔。保護者の横でしゅんとした姿。進路の夢をつかんだ安堵の表情。一方で「また、あかんかった」笑みを浮かべた姿。

▼卒業の歌「3月9日」の斉唱。卒業式を目前に控えた2月の登校日、体育館で卒業の歌の練習。マイクを握って司会進行をしていた私。さあ始めようと、ピアノ伴奏担当の生徒の名を呼んだところ、「欠席している」との声が・・・。真っ白になった頭の中。「(>_<)、私が歌いますから、一緒に歌ってください・・・」と言葉を返して、アカペラで歌い出す・・・。戸惑った生徒たち。少し間をおいて、歌声が響いて・・・。私にとって最後のよき思い出。