カワセミ通信6(6号)


ヨシ原の夏の風物詩。
 「行々子、行々子、…」5月のはじめ頃になると、ヨシ原から、リズミカルでにぎやかな鳴き声が聞こえてきます。実はウグイス亜科というだけあって、姿だけは、なるほど似ていますが、茎のてっぺんで、大きな赤い口の中を見せて、さえずる雄の姿は、まさしくオオヨシキリ。メスを迎え入れる準備のためか、オスが一週間ほど先に日本に渡ってきます。
 あれほどの大声でテリトリー宣言をしている割りには、冬枯れのヨシ原の中から高い密度で子育ての巣が見つかります。それもそのはず、このオオヨシキリは、ヨシ原の環境が良ければ、一夫多妻になることも多くあり、セッカなどの一夫多妻の鳥とは違い、オスもちゃんと子育てを手伝います。しかし、3番目の妻くらいから、だんだん手伝わなくなることもあるそう。
 餌もヨシの茎の中の虫を茎を切って捕り出します。(ヨシキリという名前はここからついたそうです。)巣は2本〜3本のヨシの茎を柱にくるくると葉を周囲に編み込んだ特徴的なコップ型のなので,それとすぐ分かります。最近では、ビニールヒモを裂いて巣材にしている例も多くありますが、幸い池島では、まだ少ないようです。
 このように、頑固にヨシ原だけに依存しているオオヨシキリ。ヨシの花が大阪府の花になっていることから、大阪府の鳥として候補にあげられていたそうです。河川の整備化や、勢力をセイタカアワダチソウに押されて、ヨシ原も今では貴重になってきました。はるばる東南アジアから日本のヨシ原を求め、渡ってきたのに、ヨシ原がなくなっていた!融通の利かない彼等は一体どうなるのでしょうか?そう思うとあの声も何だか頑張れと応援したくなりませんか。

TOPIC
この春、渡りを観察された鳥
3/19、4/6pm、イカル(12)
4/24am、チュウシャクシギ(2)
4/25am、キビタキ(1)
4/11pm、ノビタキ(3)
5/6am、タカブシギ(1)
他、キアシシギ(3)、イソシギ(1)
    
( )内は個体数

「渡り鳥」とは?
夏鳥=繁殖のため南方からやって来て秋に南方へ帰る
冬鳥=秋に北野繁殖地から越冬のため来て春に北へ帰る
旅鳥=北の繁殖地と南の越冬地を往復するため春と秋に通過する

これらの渡り鳥に対し、留鳥は、同じ場所に住み続ける鳥、その中でも高地から低地、北から南など、少しだけ移動する鳥を特に漂鳥と呼んでいます。
どうやら池島や福万寺の上空は、昔から鳥の渡りのルートに入っているようで、渡りの途中の休憩場所になっているようです。
昔は空が真っ黒になるほどに、豪快な渡りが見られたそうですが、今は激減しています。鳥は太陽の位置や、偏光、紫外線、気圧、低周波、地磁気などを感じながら正確に飛行ルートを渡って行くそうです。これほどまでに携帯電話や、目に見えない障害物の多い世の中、さぞかし大変な旅でしょうね。

4/11ケリの繁殖調査実施
前回特集したケリ。池島・福万寺地区は彼等の限られた貴重な繁殖地になっていることをご理解いただきましたでしょうか?カワセミ楽会のスタッフで、今年からその繁殖の実体をきちんとデータとして残していくことにしました。
田んぼに勝手に生みつけられた4個ばかりの卵やヒナたち。なぜか田起こしの時期と重なり、その保護色ゆえ、多くが耕運機の犠牲になってしまいます。

ところが中には巣があることに気付かれて、その周囲を残してくださっている農作業の方が多数おられることも知ることができました。皆さんのやさしさに頭の下がる思いです。しかし果たして昔からこんなイタチごっこを繰り返してきたのでしょうか?温暖化の影響で田起こしの時期がずれて来たのかな?近年、地元では数が激減していることは、如実なのですが、巣を作る休耕田や草むらの減少やヒナや卵をねらうカラスやネコ、イタチの増加が一番の原因のよう。ここのところの急速な環境の変化は、さすがのケリもトキの2の舞いになってもおかしくなさそう。

季節掲示板
5/20前後、上四条周辺にヒメボタル、
6/4ゲンジボタル確認。keiko
工事中土手のカワセミ。
5/1ころ孵化し、5/22
無事5羽のヒナが巣
立ちました。堀江♂♀
池島高校南沿い
のエノキの大木
の葉にホシアシ
ブトハバチの幼虫
治水緑地周辺に紫の
クサフジが満開です。
池島高校の校舎に作っていた
コシアカツバメの巣は今年、ス
ズメに乗っ取られてしまいました。
5/27.28 真夜中にホトトギス
鳴き続ける。
5/16 カワセミ楽会野鳥観察会
小雨混じりのちょっと寂しい観察会。それでも、
カワセミやコチドリ、タシギなどこのシーズンなら
ではの鳥、23種類を観察することが出来ました。
草むらにテントウムシのサナギが多かったなー。