カワセミ通信8(7号)

愛すべき水辺の静かな番人
バン(鷭)
ツル目 クイナ科
撮影 松浦幹夫(池島にて)

 水鳥なのに水掻きがない?脚は体のわりに、驚くほど大きく力強い。しかし、頭を前後させ、器用に水面を泳ぐ姿は、カモとは、またひと味違う。池島では、もうお馴染みの愛嬌者のバンは1981年、沖縄県北部で発見されたヤンバルクイナの仲間です。
 主に関東以北には、体も一回り大きく嘴の白いオオバンという種類もいます。羽ばたく姿を見る機会の少ない鳥ですが、れっきとした旅鳥で、世界の温帯から熱帯に生息する夏鳥。しかし関東以西では、留鳥になるケースが多いそう。
 池島でも、留鳥。毎年、春からこの季節、カワイイ(・・・と言っても、よく見るととてもグロテスクな容姿ですが。)
ヒナたちを引き連れ、ヨシ原を不安げに、行き隠れする夫婦の姿が見られます。警戒心が強く、親鳥は偽傷してヒナを守ります。水辺の枯草などを積み上げて巣をつくり、基本的には一夫一婦ですが、時に同じ巣で共同に一夫多妻で子育てをすることもあるとかー。ヒナは早成性で、25日程で親の大きさ位に成長し、ヘルパーとして2番目の弟妹たちの世話をします。
 この季節、大雨で、山から滑り台のような護岸工事の川を一気に恩智川に流れ込んでくる濁流に流されてしまうヒナが、心配のタネでしたが、今年は、弥生橋東側の湾土で繁殖していた2つがいのうち、北側で生まれた4つのヒナが、突然、消失。その数日後、親鳥1羽が、数名の観察者の目の前で、体長1m足らずのライ魚に引きずり込まれて行ったそうです。信じがたい事態ですが、閉ざされた池の中で地上には人間が、まさか池の底にも天敵が・・・。
 今そこは、厳しい環境をのりこえて無事、新たなヒナが泳いでいます。卵がすべてふ化するのに2、3日かかる例もあることから、失敗したヒナの弟妹かも?ガマやヨシなどのブラインドは、そっと彼等の生活を守っています。


弥生橋でのひとり言  by カワセミX&筆入れ
鳥に興味を持ち始めてから、いろいろな所に出かけて鳥を見てきましたが、餌づけされている鳥が多いのを見てがっかりしました。全て写真を撮るためです。山にある餌台よりも始末が悪く、『餌のやりすぎで鳥が太って見える』と言った人もいました。撮影の邪魔になるからと枝を折ったり、鏡の反射光を当てたり、全く鳥にとっては迷惑な話。それが例え繁殖中の現場であっても・・・。移動できないのをいいことに、ズラーと向けられたレンズの威圧感。まるで人気芸能人あつかい。それが原因かどうか今年は梶無神社のアオバズクも繁殖に失敗しました。命をけずって懸命に子育てする生き物の姿は、心に贅肉の付いた人間には単なる美しい被写体でしかないのでしょうか。レンズは獣の目のように光ります。双眼鏡もしかりです。お互い逆の立場だったらどうでしょう。彼等の生き方を尊重し、観察者させてもらっているという謙虚な気持ちが、お互いに良い関係を生むことは、明らかなことです。ちょっとした配慮と気遣い、もう一度考え直してみませんか?

季節掲示板
ヒメガマ、コガマの穂、ネジバナ(紅)、
タデ(ピンク)、セリ(白)、宵待草(黄)
三尺バーベナ(紅紫)の花開花
●7月7日
枚岡ではミンミンゼミ初鳴き。
北山本では12日。
●7月16日
カワセミ2番子、7羽+1羽?誕生★
池島で珍鳥!
セイタカシギ
撮影 河村 章司
●6月29日
治水緑地、大雨のため水没。
沢山のゴミと共に様々な種類のサカナが
流れ込んでいました。
オタマジャクシ、ザリガニ、カメ、ヤゴ、etc.
干上がったところから、サギやシギが
タイラゲていっていました。
池島の野の片隅にて
華麗に舞うベニシジミ
可憐に咲く 野路菊
互いに相手を想いやり
花は蝶のために
蝶は花のために
この小さな小さな自然
愛らしくもあり (幹)