平成19年度 大阪府立貝塚高等学校 卒業式 式辞

 薄紅の梅のつぼみが花ひらくとともに、今年も皆さんがこの貝塚高校から巣立っていく時が参りました。
 
 本日ここに第59回卒業証書授与式を挙行するにあたり、


 (来賓紹介)

をはじめ、多くのご来賓の方々、関係のみなさま方にご出席いただき、高いところからではございますが、感謝いたしますとともに厚く御礼申し上げます。

 さて、総合学科第二期卒業生のみなさん。ご卒業おめでとうございます。
 また、保護者の皆様、お喜びも ひとしおのことと存じます。

 
 合格発表で自分の受検番号を見つけた感激から、早くも3年の月日が経ちました。真新しい制服に身を包んで、貝塚高校の門をくぐったことを昨日のように思い出されているのではないでしょうか。


 総合学科第二期の学年は、「聴く」態度の育成、自己表現力の向上、生き方教育の尊重、進路実現のための学力の伸長などを年次団の目標として、教育活動に取り組んでまいりました。
 それらの成果が、九割にも迫る就職内定率、公務員や難関大学・短大・専門学校への合格など、昨年度をさらに上回る進路実現の結果に現れています。もちろん、このことは、先生方のアドバイスに耳を傾け、日々の個別指導や土曜の講習に参加し、それぞれが努力を重ねた結果です。
 部活動においても、実業大会での総合優勝をはじめ、府の本大会出場など活躍はめざましいものでした。
 さらに、大阪府学校保健研究大会では、大阪の高校生の代表として発表し、研究内容の深さやプレゼンテーション力など高い評価を頂きました。


 もちろん、高校生活はけっして楽なものではなく、楽しい思い出ばかりではありませんでした。
 学校を続けるため、3年間バイトを続け、授業料や修学旅行費を自ら納め続けた人、幼い姉妹の世話や家事に追われながら、また時には、保護者の看病に倒れそうになりながらも、学校を一日も休まなかった人、家庭の問題や友人関係で悩み、何度も学校を離れようと悩んだ人など、つらい経験をした人がいたことも知っています。今日まで本当によくがんばりました。


 日々の授業に目を向けてみると、
 昨年7月の生真流(しょうしんりゅう)広報誌に茶華道の授業を選択した生徒は、「茶華道は“思いやりの精神”が大事なのだとわかってからは、全ての言動に気持ちを込めるようになった。」と表現していました。
 また、11月の社会福祉演習の「作業所どんまい」での実習では、本校女子の生徒が重度身体障がい者の方の顔の前で、「どうですか」とかけ続ける声に応えるように、体や言葉では表現できないよろこびを目で必死にあらわしている姿を見ました。

 これらはほんの一例ですが、本校の教育は進路実現の面だけでなく、人間形成の面でも成長してくれたことを実感した出来事でした。


 さらに、自分たちの思いを学校とは別のところで実現させた諸君もいます。
 “貝高一番”というFMラジオの番組で毎週水曜の夕刻に貝塚高校の情報を発信し続けた二人の男子生徒です。この番組は、彼らが、前生徒会長と3人で昨年4月スタートしたもので、毎週体育祭や文化祭などの学校行事や特色ある授業、活躍している部活動の話題など、貝高生の生の声で、貝高の旬な話題と彼らの思いを、軽妙なトークで毎週地域に発信し続けました。
 実は、この“貝高一番”という番組が今晩最終回を迎えます。今日の卒業を機に番組とともに卒業する彼らの1年間に拍手を送りたいと思います。皆さん、よろしければ、今日の夕方6時に82.6MzにFMラジオをあわせ、彼らの発する最後の言葉に、ぜひ耳を傾けてください。

 これらすべては、貝塚高校が総合学科の学校として、学習を通し、自らの『生き方』を探り、自らの『生き方』に自信を持ち、自らの『進む道』を見つけ、それぞれの未来に向かって、『行動』しはじめることを目標としてきた成果です。

 時にはつらい経験をし、それを乗り越え、日々重ねた努力で手にした卒業証書には、256名それぞれの想いが詰まっていることでしょう。


 さて、卒業生のみなさん、貝塚高校での“自分探し”の旅は、今日が一区切りですが、これからが本当の“自分探し”の旅かもしれません。これからは、先生も友達も、いままでのように寄り添ってはくれません。本当の意味での“一人旅”で心細く思う日も来るかもしれません。
 でも、貝塚高校の卒業生としての誇りを持ち、向上心を持ち続けば、道はおのずと広がり、道はさらに伸びてゆきます。

 数学者の藤原正彦は「祖国と国語」という著書の中で、「底辺が小さくなれば、必然的に頂点も低くなる」と書いています。底辺を小さくしてしまい、こじんまりとまとまることなく、これからも多くの人と出会い、多くの経験をすることで、人間としての底辺を広げ、自らの人間性、人生の目標を高めていってください。


 最後に、新たな社会に向かってその一歩を踏み出すにあたり、今日のこの日を迎えるまで頑張ってきた自分自身を、そして応援してくれた人たちの事を忘れないでください。
 そして、家族の人や、共に社会に生きる人を思いやり、人を愛し、また愛される存在としての自分に確信を持って、さらにたくましく成長してくれることを期待し、
       “のぞみ幸あり われらの高校” 大阪府立貝塚高等学校
 第59回卒業証書授与式の式辞といたします。
平成20年3月5日
 大阪府立貝塚高等学校
 校長 金田 茂彦