刺胞動物門


身体は前後左右が明確でない放射相称で、発生の過程で分化する外胚葉と内胚葉の二胚葉からなる。ヒドロ虫綱、鉢虫綱、箱虫綱、花虫綱の4綱からなる。固着生活に適したポリプ形と遊泳生活に適したクラゲ形とがあり、クラゲ形では腔腸から一定数の細管系を派出し胃水管系を構成する。肛門がないため口から取り込んだ食物を腔腸で消化・吸収したのち、不消化物を口から排泄する。神経中枢はないがクラゲ形では傘縁に神経集網がある。受精卵は発生してプラヌラ幼生を経た後に定着してポリプとなり、これから無性生殖的にクラゲを出芽させる。サンゴ・イソギンチャク・クラゲのいくつかの種は激しく刺す、これは触手に刺胞という特殊な細胞を持つためである。海水中でとても繁栄している動物群である。



Class Hydorozoa ヒドロ虫綱



ヤツデアナサンゴモドキ
刺胞動物の中で、もっとも単純な構造の個虫(=ポリプ)を持つ。教科書によくでてくるヒドラも、このヒドロ虫綱に属する。サンゴのほとんどは花虫綱に属するが、このようなヒドロサンゴもいる。刺胞毒が強いので、決して手で触れてはならない。慶良間諸島の渡嘉敷島での撮影。


ハネウミヒドラ
植物のように見えるが、ヒドロ虫の群体である。シロガヤ・イラモとともに刺胞毒が強く、ダイバーが触れてはならない生物である。ヒドロ虫綱の生物には、浮遊型のヒドロクラゲもいる。和歌山県天神崎で撮影。