節足動物門


体は明瞭な体節制を示し、関節のある付属肢をもつので節足動物という。体節は分化・癒合し、頭・胸・腹の区別の生じたものが多い。付属肢にも退化・消失や、部位と機能に応じた変形がおこっている。一般に体表は硬いクチクラにおおわれ成長に伴い脱皮を行う。心臓は背面にあり、長い管状で対になった心門をそなえた開放血管系をもつ。神経系は脳(食道上神経節)を中枢とするはしご形で、感覚器官がよく発達している。水生のものはエラで、陸生のものは気管(昆虫)または書肺(クモ・サソリなど)で呼吸する。排出器官には腎管の変化したものとして、甲殻類の触角腺などがある。ほかに昆虫類・クモ類・多足類はマルピーギ管をもつ。甲殻類のフジツボ類を除いて雌雄異体である。有性生殖だけを行い各群に固有の幼生形があり、変態が顕著なものが多い。



Class Crustacea 甲殻綱


イワフジツボ
潮間帯の岩の表面に広がる白いつぶつぶがこのイワフジツボである。乾燥に強く、かなり上方にまで分布する。解説を受けないとこれが動物であると気付く人は少ない。田辺市天神崎で撮影。


カメノテ
満潮になって、波がカメノテを洗った瞬間、殻が開いて黒い触手が出ている。これは節足動物の脚で、ツルのように巻き込んで収容されているため、蔓脚類(まんきゃくるい)とも呼ぶ。みそ汁のだしをとると、エビ・カニの近縁なので大変美味しい。翼竜の化石を、未知のハチュウ類であると正確に同定したあのキュビエでさえ、フジツボ・カメノテを軟体動物と誤認していた。動物プランクトンのカイアシと同じノープリウス幼生を持つことが確認され、節足動物であることがわかった。田辺市天神崎で撮影。

広瀬祐司(動物行動の映像データベース:momo040605cm01b)