扁形動物門


扁形動物は左右相称、無体腔の動物で原口が成体の口に発生する、渦虫綱・単生綱・吸虫綱・条虫綱の4綱からなる。実験動物であるプラナリアは渦虫綱に属する。背腹に扁平で、体節と肛門がない。自由生活性の種では繊毛が体を覆い、発達した皮筋層と柔組織をもつ。かご型の中枢神経系をもつが、呼吸系や循環系を欠く。ほとんどが雌雄同体で体内受精をする。卵割はらせん型。幼生はトロコフォア型を示す。海水、淡水、湿地に自由生活をするもの、あるいは種々の動物の内部寄生または外部寄生のものを含めて、現生約2万種が知られている。前後、左右、背腹の軸性の確立した三胚葉性動物の中で最も単純なものと考えられる。扁形動物の起源については、ゾウリムシなどの繊毛虫由来、刺胞動物のプラヌラ幼生由来、クシクラゲ由来、ある種の体腔動物様祖先などに由来したとする様々な説がある。




Class Turbellaria 渦虫綱



ツノヒラムシ
大潮の干潮時に転石をひっくり返して見ると、このような大型の渦虫に出会うことがある。これは岬町の長松海岸で撮影した個体。全長5cm近くあるが、からだは半透明である。サンゴ礁域では、もっと派手な色の扁形動物が潮間帯で観察できる。



ウスヒラムシ
岬町の長松海岸で撮影した個体、全長は2cm足らずである。転石をひっくり返すと、かなりの速さで休むことなく石の裏側(暗い方)へ避難する。光を感じることは明白であるが、下の方向に迷わず進むので重力も感じているようだ。



ミノヒラムシの遊泳
大潮の干潮時に転石を返しながら底生生物を探していると、このミノヒラムシが勢いよく泳ぎ出すことがある。背面の体色は黒っぽいが、体を激しく波打たせて泳ぐので、白い腹面との対比が鮮やかでよく目立つ。体の表面には、突起が密生している。

広瀬祐司(動物行動の映像データベース:momo050904tb01b)