海綿動物門


石灰海綿類、六放海綿類、普通海綿類、硬骨海綿類の4綱からなる、もっとも原始的な多細胞動物で、組織や器官がほとんど分化しない。体内にべん毛をもったえり細胞でおおわれた内腔がある。体の基本形は壷型で、高さあるいは直径が1mを越す種もある。上端に1個の大孔、体壁に無数の小孔があり、体外面および一部内表面は1層の扁平細胞からなる皮層におおわれる。内腔(胃腔)の少なくとも一部は1層のえり細胞層におおわれ、その鞭毛の運動により海水と食物は小孔→溝系→胃腔→大孔と流れる。消化・吸収は個々の細胞が細胞内に食物を取り込んで行う細胞内消化である。体壁の皮層・胃層の両細胞層の間は寒天様の間充ゲル(中膠)で骨片が散在する。体を構成する細胞にこのような分化が見られるものの、一般に細胞同士の接着は弱くて基底膜をもたず、指先でもむと細胞はすぐバラバラになる。個々のえり細胞が単細胞性のえり鞭毛虫類とよく類似し、最古の多細胞動物である。ほとんどがすべて海産、少数は淡水産。淀川にも淡水産のカイメンが生息する



Class Desmospongiae 普通海綿綱



オオパンカイメン
上端に1個ある大孔から、多数の内腔へと通じる胃腔が見える。内腔でえり細胞がべん毛を動かすと、外側の体壁に無数にある小孔から海水が流入し、胃腔から大孔をへ流出する。光のない岩陰にも立派な群体をつくる。この群体は直径20cm高さ30cmはあった、卒業論文「魚付林について」の潜水調査中に京都府舞鶴市田井にて撮影。


壷状のカイメン
このカイメンも京都府舞鶴市田井にて撮影、高さは50cm近くあった。群体は細長く、基部は細い。波の影響のない岩のくぼみに生息していた。上端に1個ある大孔が壷の口である。


枝状のカイメン
一見、枝サンゴのように見えるが、サンゴ個虫がなく体が柔らかい、このようなカイメンは初めて見た。石垣島・白保にて撮影。


ダイダイイソカイメン
潮間帯のカイメン、群体は上記のカイメンのような特徴のある形をとらず、不定形で岩の表面を覆う。しかし体表面の小孔→溝系→胃腔→大孔という基本構造はある。不定形ながらも、活火山のような構造がところどころにある。火口にあたるのが大孔である。田辺市天神崎で撮影。