研修風景
高等学校「地学」研修
  

第1回 5月20日(水)
 最古の動物をたずねて プレカンブリア時代
  −カンブリア紀境界付近の化石を求めて

 
講師 京都大学大学院理学研究科教授
    京都大学総合博物館館長 大野 照文 氏

 先カンブリア時代末から古生代カンブリア紀にかけての生物界の急激な変化(カンブリア紀の大爆発)は、生物進化の研究において非常に重要なテーマである。ロシア、ナミビア、オーストラリアでの現地調査により、先カンブリア時代末の「最古の動物化石」を精力的に研究しておられる大野照文先生を講師としてお招きし、エディアカラ化石生物群を始めとする興味深いお話しをしていただいた。
 

第2回 6月3日(水)
 太陽と日食の観測装置の製作と使用

 
講師 自然環境研究オフィス代表 柴山 元彦 氏
 製作指導 指導主事兼研究主事 桝井俊彦

 平成21年7月22日に南西諸島付近で起こる皆既日食は、大阪では部分日食として観察することができた。教員が生徒とともに、安全に太陽の観察を行うため、太陽を観察する器具の製作方法と、それを用いた観察のしかたを説明した。
 

 

第3・4回 8月13日(木)
 天体の観察方法と教材製作


 
観察実習地 かわべ天文公園

 
講師 かわべ天文公園・研究員 上玉利 剛 氏
    指導主事兼研究主事 桝井 俊彦

 実習「天体望遠鏡の製作」
 天体望遠鏡の光学的理論とその構造について、天体望遠鏡工作キットの製作を通して理解を深めた。

 講義「天体や天文現象について」
 天体や天文現象についてプラネタリウムの投影により学習した。また、学校の授業等でのプラネタリウムを利用した天文学習の効果的な方法や科学館等の活用の仕方について学んだ。

 実習「天体観察の方法」
・少人数班に分かれてTAより指導を受けながら、屈折式天体望遠鏡赤道儀セットの組み立て方と操作方法を学んだ。
・大型1m反射式天体望遠鏡を見学し、木星等の天体を観察した。
・デジタル一眼レフカメラによる天体写真の撮影方法を天体観測に習熟している受講者を対象に実施した。


           

 

第5・6回 8月14日(金)
 和歌山県白崎地域のメランジュの観察と化石採集

 
観察実習地 和歌山県白崎海岸付近
 
 講師 大阪市立大学名誉教授 八尾 昭 氏
 

日本列島の地質の成り立ちを示す付加体の形成について理解を深めるため、白崎海岸において付加体を構成する地層の岩石と地質構造の観察を行うとともに、フズリナ、放散虫等化石の観察・採取を行った。

第7回 10月14日(水)
 MUレーダーによる大気層構造の観測

 
観察実習地 京都大学生存圏研究所信楽MU観測所
 
 講師 京都大学特定助教 古本 淳一 氏
 

MU観測所のMUレーダーは、世界最高性能の高度3km〜400kmの大気中層から超高層にいたる大気観測用VHF帯大型レーダーであり、対流圏、成層圏、中間圏、下部熱圏および電離層領域の観測が行われている。
 本研修では、MUレーダーとラジオゾンデによる大気の観測方法について講義を受けた後、施設見学を行った。

 

第8回 12月9日(水)
 隕石について

 
講師 海技大学校教授 藤谷 達也 氏

 隕石について一般的な内容紹介から始め、隕石の母天体の内部構造、隕石の放射年代や化学分析によって求められた原始太陽系の進化など、地球科学・宇宙化学についての最新の研究成果をふまえた講義を受けた。豊富な写真と興味深い資料で分かりやすく説明していただいた。

 

第9・10回 1月27日(水)
 神戸層群・有馬層群の観察と鉱山見学

 
観察実習地 兵庫県三木市・加東市
            ハットリ株式会社平木事業所(鉱山)
 
 講師 兵庫県立人と自然の博物館主任研究員
    兵庫県立大学准教授 先山 徹 氏
    ハットリ株式会社平木事業所所長 藤田 雅由 氏
 

神戸層群は三木市吉川総合公園付近の露頭において、砂岩・れき岩からなるほぼ水平な地層とクロスラミナ構造や中に含まれるレキ種の観察をした。有馬層群は加東市の東条川の露頭で板状節理が著しい溶結凝灰岩を観察した。
 数少ない国内での坑内採掘鉱山である平木鉱山を見学し、講義を受けた後、坑道に入って鉱床の観察と採掘の実際、環境保護対策を学んだ。坑道の見学後、鉱石の加工工場を見学し、人間生活との関わりについて見識を深めることができた。



                                                  

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