校長通信

1月8日(木) 曇後雨
大阪府立金剛高等学校
   第32回入学式 式辞

  本日ここに入学を許可いたしました新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。校門の桜が、今まさに満開の時を迎えています。

  春ごとに花のさかりはありなめど あひみん事はいのちなりけり

 古今集、詠み人知らずの歌です。「毎年、春が巡ってくるたびに花の盛りはあるだろうが、花の盛りをみることができるかどうかは、命あってのことなんだなあ。」と歌っています。この歌の詠まれた千年以上も昔、たとえ貴族であっても病気や災害の前に、人は今よりずっと無力で、はかない存在でした。だからこそ、命が萌え立つような花の盛りに、生きてある自分を重ね、「いのちなりけり」と詠まずにいられなかったのかもしれません。
 私は、毎年満開の桜を見るたびに、この歌を思い浮かべるのですが、東日本大震災を経て、今年の春ほど、この歌の心が、胸に迫ってきたことはありません。「命なりけり。」そうです。今、こうして入学の喜びを味わうことができるのも、新しい出会いに胸弾ませるのも、また不安になるのも、すべては「命」あってのことです。
 春の選抜高校野球大会、創志学園の野山慎介主将の選手宣誓は次のようなことばから始まりました。「私たちは16年前、阪神淡路大震災の年に生まれました。」そして「人は仲間に支えられることで、大きな困難を乗り越えることができると信じています。」と部活動の中で培った仲間との絆を、復興への希望に重ね、「私たちにできること、それはこの大会を精いっぱい元気を出して戦うことです。がんばろう日本。生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。」宣誓は、このように結ばれました。
 新入生のみなさん、金剛高校に入学した今日の日から、みなさんにできること、しなければならないことは何なのでしょうか?それは、生かされている命に感謝し、まじめに、真剣に、精一杯高校生活を送ることです。
 日を追うごとに明らかになってきましたが、東日本大震災の被害は、想像を絶するものです。今後多くのことに影響が出てくることを、私たちは覚悟しなければなりません。国の完全な復興に向けて、みなが努力しなければなりません。直接震災の被害を受けず、このように高校に進学できたみなさんにできること、しなければならないことがあります。それは、ひとり一人が力をつけることです。このきびしい状況にある今の社会を生き抜く力をつけることです。そのためにすることは二つです。
 ひとつは、しっかりと勉強することです。変化の激しい「知識基盤社会」といわれる現在を生き、仕事をしていくために、人は生涯にわたって学び続けなければならないと言われています。みなさんが勉強して、希望の進路を実現することが、国や社会を支えていくことにつながります。そのために、(少しずつでもかまいません)今から目標をたててがんばってください。勉強することを通して身につけた「自分を鍛え続ける力」は、一生の財産となります。
 もうひとつは、野山主将の宣誓にあったように、共に支えあうことのできるほんとうの仲間をつくることです。方法はひとつ、部活動やクラスの行事に積極的に参加していくことです。共に活動する中で、心は通いあい、「人とつながる力」が身についていきます。それは将来多くの人と力を合わせて仕事をしていく上で絶対に必要な力であるとともに、生きていく上での喜びでもあります。
 この二つのことは、高校生活の中でしかできません。どうかこの三年間で二つの力をしっかりと身につけてください。

  「不壊(ふえ)の金剛高校磨かずば、叡智の光さらになし」

 これは、金剛高校の校歌の3番の歌詞です。「不壊(ふえ)」とはけっしてこわれることのない、「金剛」とは金剛石、ダイヤモンドのことです。最も堅い鉱物であるダイヤモンド、そのダイヤモンドでさえ、磨かなければあのすばらしい輝きを放つことはありません。ただの石ころと見分けもつきません。
 みなさんはみなそれぞれ自分の中にダイヤモンドの原石を持っています。金剛高校には、中学校の時には、考えられないくらいの力をつけて、希望の進路を実現していった先輩がたくさんいます。せっかくの原石を石ころのまま終わらせるか、ダイヤモンドに磨き上げるのか、それはこれから始まる日々にかかっています。たいせつなのは、自分の価値を信じ、自分の未来とその未来に繋がる今を大事だと思うことのできる心です。これから始まる高校での三年ほど、皆さんの人生を大きく変える時期はありません。この三年間の過し方で人生はどんなふうにも変わります。流行のものを手に入れるためにするアルバイトと自分の未来を引き替えにしてよいわけがありません。何物にも変えがたい青春の貴重な時間とエネルギーを、どうか自分を磨くことのために、使ってください。みなさんは、かけがえのない存在なのですから。

 最後になりましたが、お忙しい中ご臨席賜りました来賓のみなさまに、心より御礼申し上げます。また、保護者の皆様には、今日まで、ご苦労を重ねつつ、慈しんでこられた、お子様のご入学を、心よりお祝い申し上げます。私たちが大切に考えるのは、お子様のかけがえのない未来です。教職員一同、保護者のみなさまと心をあわせ、真の愛情を持って、きびしく取り組んでまいりたいと思います。このことにつきまして、何卒ご理解・ご協力のほどお願い申し上げます。また、お子様について少しでもご心配なことがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。
 新入生の皆さんには、今日の気持ちを忘れず、勉強に部活動に三年間で、存分に自分を伸ばし、たくましく未来を切り拓いてくれることを願い、式辞といたします。

平成23年4月8日
           金剛高等学校校長    前 比呂子






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