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第1章 はじめに
現在私たちの身の周りには、たくさんのPET(ポリエチレンテレフタレート)製品が溢れています。その用途は清涼飲料水の容器に使われるのが主で、その他に醤油と酒類用と合わせ全体の9割弱を占めています。PETがボトルとして広く普及したのは、1977年にアメリカで炭酸飲料用大型ボトルとして採用されたのが始まりで、現在では、その大きさも私たちが手にするものだけで2リットルから290ミリリットルまであり、私たちの生活に欠かすことの出来ない物になっています。
私が課題研究のテーマとして「ペットボトルロケットの飛行距離における水量と空気圧の関係」を選んだきっかけは、2年生の時にライフサイエンスという授業の中で一度、ペットボトルロケットを一人で作って飛ばしたことです。そしてその時に作ったものが、私の予想していたよりもはるかに遠くに飛んだのが印象に残っていて、身近にあるペットボトルを使ってこんなに面白いものが自分で作れる、それなら工夫すればもっと遠くに飛ぶ良いものが作れるかもしれないとそのとき思いました。ペットボトルは捨ててしまえばただのゴミになりますが、再生すれば資源になるし、利用すれば面白い研究対象になると私は思いました。だから3年生になって課題研究のテーマとして研究するならこれしかないと思いこのテーマに決めました。
これからの予定としては、ペットボトルロケットを何体か作って、もっとも良く飛ぶ水と空気の比率についてと羽の枚数によって安定性がどの程度変わってくるのかなどを実験して調べてみたいです。
それから最終的には、その実験データを基に、より遠くにペットボトルロケットを飛ばすための条件などを自分で見つけたいです。
第2章 私の考え
(1)「なぜペットボトルロケットは飛ぶのか?」
まず始めにペットボトルロケットはなぜ飛ぶのか?これは「ペットボトルロケットの飛行距離における水量と気圧の関係」を研究するにあたって大切なことです。
なぜ水と空気を入れただけでペットボトルロケットが飛ぶのか?これを解りやすく説明するためにまず風船を例に挙げて説明したいと思います。
まずゴム風船に空気を入れて口のところを手で塞ぎます。空気の入ったゴム風船は手を放すと空気を吹き出しながら飛んで行きます。この時風船を動かしている力は、空気を吹き出した反動による力でこれを推力といいます。推力は空気が吹き出される向きとは反対の方向に働きます。この反対の方向にかかる力が物体を前へと飛ばすのです。
これをペットボトルロケットに置き換えると、まずペットボトルロケットに水と空気入れで圧力タンク内の内圧を高めます。その時、圧力タンク内では水の力と空気の力がペットボトルにはたらいていて、つり合いが取れています。しかしそのつり合いの取れている状態を風船から手を放すのと同様に発射レバーを引くことで崩すとペットボトルロケットは水と空気を噴き出しながら飛び出します。この時、作用反作用の力が働いてペットボトルロケットが飛びます。
そして作用反作用の力で飛び出したペットボトルロケットは水と空気を後方に噴射することによって推進力を得、後方に送り出した水と空気の運動量と等しい大きさの運動量を前方向きに得る、これよってペットボトルロケットは前方に飛んで行くのです。
つまりペットボトルロケットは作用・反作用の原理、と運動量保存の法則で飛んでいるのです。
作用・反作用の原理の説明
壁を手で押すと、壁が手で押されると同時に、手は壁に押し返されます。物体にひもをつけて引いた場合も、ひもが物体を引くと同時に物体もひもを引きます。このように力は物体と物体の間でお互いにはたらき、必ず対になってあらわれます。この一方の力を作用といい、もう一方の力を反作用といいます。これを「作用・反作用の法則(運動の第三法則)」といいます。(作用・反作用の法則は物体の運動などの法則と共に、ニュートンが1687年に「プリンキピア」という本で著し、ニュートン力学といわれる体系を完成させました。)
運動量保存の法則の説明
いくつかの物体からなるグループが、互いに内力を及ぼし合うだけで外力を受けないとき、そのグループの運動量の和は一定に保たれる。物体の間にはたらく力がどんな力でも(例えば静電気力や磁気力など衝突しないで離れてはたらく力でも)外から力がはたらかなければ、いつでも物体の運動量の和は変化しない。また物体の衝突の場合だけでなく、物体が分裂して2つの物体に分かれる場合など、どんな運動でも外力さえはたらかなければ運動量保存の法則がなりたつ。
(2)「私がこの夏休みを使ってペットボトルロケットで実験し確かめたいこと。」
- ペットボトルロケットは水を入れないと飛ばないのか?
予想 水を入れないという事は、押し出すものが空気しかないという事なので風船は飛んでもペットボトルロケットを飛ばすほどの力はないのではないかと思う。
- 水を入れないでも飛ぶのならどのぐらい飛ぶのか?
予想 もし飛ぶのなら水の重さが無い分、気圧をたかめたら瞬間的に飛んでいくかもしれない。
- 水を入れることによって何がどう変わってくるか?
予想 水を入れることで飛行距離が伸びるのだと思う。でも入れすぎるとかえって重くなって飛行距離が縮むのではないかと思うので、一番良く飛ぶベストな量を見つけたいです。
- 水量と気圧の関係でペットボトルロケットの飛行距離がどう変わってくるか?
予想 水が多すぎると重くなるので飛び出す力が弱まるのではないかと思う。また安定性も悪くなるような気がする。だから余り多く入れすぎないほうが良いと思う。気圧は高めれば高めるほど、より遠くに飛ぶのではないかと思う。
- 飛ばす角度はどの角度が一番良く飛ぶのか?
予想 角度が大きすぎると上に飛んで前に飛ぶ距離が縮まるのではないかと思う。でも余り低すぎると今度は早く地面と接触してしまうのではないかと思う。(物理的には45度が一番良く飛ぶみたいなのですが、本当にそうなのかも実験して確かめたいです。)だから40〜70度の間ぐらいが一番飛ぶのではないかと思う。
- 羽は三枚羽と四枚羽ではどちらの方が安定性がいいか?
予想 三枚羽は取り付けるのが難しいと思う。でも安定性は120度にきれいに付けられた良く飛ぶと思う。四枚羽は、三枚羽より取り付け易いと思うので、安定性はいいと思う。
これらを実験して調べていきます。
第3章 取り組み開始
「実験するのに必要なもの」
- (ペットボトルロケットを作るのに必要な材料と道具)
材料
- ペットボトル(炭酸飲料系、一機に対して4〜5本)
- ソフトトップ(1.5リットルのみ)*図1
- 牛乳パック (*出来るだけいっぱい。500ml用ソフトトップ(図2)として使用、市販されているソフトトップは1.5リットル用の物しかないので500mlのペットボトルロケットは牛乳パックで作った物で代用する)
道具
- ビニールテープ
- カッターナイフ
- はさみ
- ホッチキス
- ニッパ
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- (発射するのに必要な物)
- 発射ノズル*図3
- 発射台*図4
- 水
- 空気入れ(気圧がはかれるものが良い)
- (記録をとるために必要な物)
- メジャー(100メートル以上あるものが良い)
- 記録用紙
- 筆記用具
一応これだけあれば実験は出来ると思う。実験をする前に
*「ペットボトルロケットを作る手順」*
- 5本のペットボトルを用意します。
- 一本(圧力タンクになる)だけを元の形で残して、残りの4本で部品を作ります。
- 残りの4本のペットボトルは、ダミータンクとスカート*図5(羽を取り付ける為の胴体カバー)と羽として使います。
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| 図5 |
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「 実験とその結果 」
1.ペットボトルロケットは水を入れずに空気だけで飛ぶか?
(実験1・2は圧力400kPaと700kPa 、角度60度で実験しました。)「実験1の実験結果は、私の予想に反して空気だけでも充分飛ぶということがわかりました。」*図6
2.水を入れないでも飛ぶのならどのぐらい飛ぶのか?
「実験2の検証結果は、400kPaの平均飛行距離は約11.4mで700kPaの平均飛行距離は約26mでした。
- 400kPaの記録は、「水100ml、圧力200kPa、角度60度」の飛行距離より約1m良く飛びました。
- 700kPaの記録は、「水100ml、圧力300kPa、角度60度の飛行距離より約4m良く飛ぶという結果が出ました。」
3.水を入れることによって何がどう変わってくるか?水量を変える事でどれだけ飛行距離が変化するか?
これを調べるために圧力、角度が同じで水量だけを変える実験をしました。
(圧力700kPa、角度60度で水量100、200,250,300,400、500mlで実験しました。)
- 実験の結果、水量100〜500mlの平均の飛行距離は100mlが約60.7m、200mlが約74.6m、250mlが約85.2m、300mlが約78.5m、400mlが約60.1m、500mlが約12.6mでした。*図7
- 実験の結果からいうと、水量100ml、圧力700kPa、角度60度の平均飛行距離は、水量0、圧力700kPa、角度60度の平均飛行距離より約30m以上良く飛びました。つまり水を入れることによって水を入れないときより、飛行距離が倍近くになるということがわかりました。
4.水量と気圧の関係でペットボトルロケットの飛行距離がどう変わってくるのか?
これを調べるためにA圧力、角度が同じで水量だけ変える実験とB圧力、角度が同じで水量だけを変える実験(3の実験と同じ)をしました。
A(水量100ml、角度60度で圧力200〜800kPaを100kPa単位で変えて実験しました。)図8
- 圧力が高くなればなるほど、飛行距離があがりました。
B(圧力700kPa、角度60度で水量100、200,250,300,400、500mlで実験しました。) *図7
- 水量250mlを頂点に、それ以上水量を増やしても飛行距離は伸びませんでした。
- 空気はいっぱい入れて圧力を高めた方が良く飛ぶが、水はいっぱい入れすぎると水の重さで飛ばなくなってしまうので、水量は250mlがベストな量だということがわかりました。
5.飛ばす角度はどの角度が最も良く飛ぶか?
これを調べるために水量、圧力が同じで角度だけ変える実験をしました。
(水量100ml、圧力400kPaで、角度を40、45、50、60度で実験しました。)図9
- 私の実験の結果では、50度が最も良く飛びました。45度よりも良く飛びました。これは多分ペットボトルロケット内の水の重さが関係していると思います。
6.羽は三枚羽と四枚羽のどちらが安定性がいいか?
これは予想していたように、三枚羽より四枚羽のほうが、取り付け易くて安定性も良かったです。三枚羽は取り付ける位置が難しく少しでも位置がずれると思うように飛ばなくなるのですが、四枚羽は取り付けるのも三枚羽に比べると簡単で少しずれても残りの羽がカバーして、ある程度真っ直ぐに飛ぶので四枚羽の方が安定性が高いです。
第4章 取り組みの結果
私が夏休みに行った実験の結果から、最もよく飛ぶペットボトルロケットの条件を見つけました。
*最も良く飛ぶペットボトルロケットの条件
「気圧は800kPa、水量は250ml、角度は50度で四枚羽のペットボトルロケット」これが私の実験結果から導き出だした最も良く飛ぶペットボトルロケットの条件です。
(これは500mlのペットボトルの条件で1.5リットルでは気圧と角度と羽の枚数は一緒で水量だけ3倍にします。)
第5章 苦労したこと
(準備するうえで苦労した点)
準備をする上で苦労したのは炭酸飲料のペットボトルを集める事でした。私はもともとジュースを飲む方ではないし、また最近は紅茶や緑茶、炭酸が入っていないジュースなどがたくさん売られていて、前ほど炭酸飲料を飲む人が少なくなったのか思うように炭酸飲料のペットボトルは集まりませんでした。500mlの炭酸飲料のペットボトルを集めるのにも苦労しました。なので1.5リットルのペットボトルでの実験は出来ないかもしれないと思っていたのですが、友達や先生の協力があり、なんとか機体を作れるぐらいペットボトルを集めることができました。
なぜ炭酸飲料のペットボトルでなければロケットが作れないかというと、それは圧力の問題と大きく関係しているのです。例えば炭酸のペットボトルでない容器でロケットを作ったとします、飛ばないことは無いかもしれませんが高い内圧に耐えかねて破裂する恐れがあり大変危険です。それはなぜかというと、お茶などの飲料水に使われているペットボトルには角張っている部分がありますが、あれは気圧がさほどかからない飲み物だから使えるのであって、内圧が強くかかる炭酸飲料では角張った容器は内圧に耐えきれず破裂する恐れがあります。炭酸のペットボトルが丸っこいフォルムなのは圧力が均等にかかるように造られているからです。
(ペットボトルロケットを作る上で苦労した点)
500mlのペットボトルは1.5リットルの容器よりも厚みがある分折り曲げたり取り付けたりしにくく、羽などに使用するには不向きなので羽根などは1.5リットルの容器で作りました。でも1.5リットルの容器は貴重だったので失敗しないように気をつけながらスカートや羽などを作るのが大変でした。
羽をスカートの部分に取り付けるのに、ホッチキスとビニールテープを使って取り付けるのですがホッチキスがはずれないようにニッパで一々ホッチキスのふくらみを潰すのが、手間がかかってとても大変でした。
(飛ばすうえで苦労した点)
500mlのペットボトルロケットに合うソフトトップが無なかったので、飛ばして潰れると毎回牛乳パックで頭を作って着け直さないといけないし、つける位置がずれると変な方向に飛んでいってしまうので付け直すのは手間がかかって大変でした。図2、10
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| 図10 |
あと羽をがんばってしっかりつけても飛ばしているうちにとれてしまって、それを付け直すがの大変でした。
(実験の中で苦労したこと)
風があると記録に影響があるのでなるべく風が吹いていない方がいいのですが、学校のグラウンドは体育館の方から強い風が吹いてくるのでその風のおかげで、飛ばすのを待たされることがありました。それと実験は夏休みに行なったので夏の暑さが辛かったです。(記録は300回近くを約一週間かけてとりました。) あと飛ばしたペットボトルロケットを拾いに行ってメジャーで記録を測って帰ってくるのが凄くしんどかったです。あまりの暑さとしんどさで測った記録を忘れてもう一度測り直すこともありました。
(課題研究を通して苦労したこと)
私がこのテーマを選んで、苦労したことは実験データを集めることもですが、一番苦労したことは実験の結果(論文)をまとめる事でした。私は科学が苦手で、科学の知識も殆ど無く、ペットボトルロケットがどうして飛ぶのかということもハッキリと解っていませんでした。でも研究を進めていくうちに先生方の助けもあり徐々に解ってきました。私は文章を書くのも、まとめることも苦手なのですが論文を書くために、発表のときにきちんと説明できるように頑張ってきました。
第6章 これから
(更に研究したい事)
今回は時間がなく出来なかったのですが、水以外の液体を使った実験などをやってみたいです。例えば洗濯のりを薄めたものや、砂利水、砂糖水、ガソリンなどを水の代わりに入れて飛ばすと、水を入れて飛ばしたときと飛行距離などはどう変化するのかなどを実験してみたいです。
あと羽根の枚数は今回三枚羽と四枚羽しか出来なくて、しかも安定性しか確かめられなかったので、羽根の枚数を増やしたり減らしたら飛行距離や安定性がどう変わるのかなども実験して調べていたいです。
それから研究ではないけど今回みつけた最も良く飛ぶペットボトルロケットの条件で一度飛ばしてみたいです。
(最後に)
暑い中実験に付き合ってくれた霜浦先生。1.5リットルのペットボトルをたくさん下さった島田先生。たまに来てちょっと手伝ってくれた、たくさんの先生や生徒の人たち。あとグラウンドを使っていた野球部とサッカー部の人たち大変迷惑をかけました。そして課題研究でたくさんお世話になった小山先生。皆さんの協力がなかったら実験データも取れなかったと思うのでとても感謝しています。私の課題研究に協力してくれてありがとうございました。
最後の最後に、私の課題研究はライフサイエンスから始まったようなものなので、私が実験して調べたデータなどをライフサイエンスなどの授業に使って頂けたら嬉しいなと思います。
参考資料
- 啓林館 「高等学校標準生物TB改訂版」 編 斉藤晴男、兵藤申一
- 数研出版 「チャート式シリーズ基礎からの物理T 改訂新版」
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