■ 学校長の挨拶



第48回 卒業証書授与式 式辞

大阪府教育センター 附属高等学校
校長 乾   匡

 

 麗らかな春の息吹を感じる今日の佳き日に、このように多数の保護者の皆様やご来賓の方々のご臨席を賜り、大阪府立大和川高等学校第48回卒業証書授与式を挙行できますことに、心から感謝申し上げます。

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 入学以来今日に至る長い道のりを、継続は力なりの言葉どおり、努力の日々を積み重ね、こうして卒業という晴れの門出を迎えられたことに心から敬意を表し、お祝いを申し上げます。
 そして、誰よりも大きな愛であなた方を包み込み、成長を願ってこられたご家族の方々をはじめ、日々、熱心に成長へと導いてくれた先生方、お互いに支え合い、励まし合った友人など、あなた方のまわりには、たくさんの温かくて力強い支えがあったからこそとありがとうの感謝の気持ちを忘れないでください。

 現在の社会は、大きな岐路に差し掛かっていると言われています。
 IT化やグローバル化、エネルギーや環境問題、経済情勢や国際情勢など急激な変化と不安定さが社会を覆っています。
 これから新しい世界へスタートを切る君たちにとって、このような激動の社会の荒波を自分自身でかぶりながらの日々は、とても厳しいものになるかもしれません。
 しかしながら、皆さんには、前途洋々たる未来があります。
 若者の本領は、未来への果敢な挑戦であり、決して怯むことなく大きな夢を持ち続け、前に進んでいって欲しいと願っています。
 野放図な自由とエゴイズムが氾濫した社会を見直すことを余儀なくされた2年前の東日本大震災の爪痕が残る中で、心の豊かさがクローズアップされている今こそ、人としての生き方や幸せの在り方を考える時なのかもしれません。
 ノーベル平和賞を受賞され、愛の宣教師と呼ばれたマザー・テレサさんは、世界中を駆け巡り、愛に飢え、心が渇いた子どもたちに救いの手を差し延べてこられました。
 彼女の自伝に「人間は、他の命に仕えるときにこそ、自分の命が最も輝く」という言葉があります。
 そして、こうも言っておられます。
 「私たちのやっていることは、僅かな一滴を大海に投じているようなものかもしれません。しかし、この一滴なくしてこの大海原は存在しないのです」と。
 自分の揺るぎない信念のもとに自分にできる最大・最善を常に追及された生き様は、人としての生き方の大きな指標であろうかと思います。

 卒業生の皆さん、これからの道がたとえどんなに厳しくとも、一瞬一瞬に一所懸命全力を尽くしてさえいれば、命が輝くはずです。
 どうか、挫けることなく、自分の可能性を信じ、ゆっくりでいい、一歩一歩前に進んでいってください。
 そして、生きていて良かったと思えるような素晴らしい出会いと感動をたくさん経験し、幸せいっぱいの人生を送られますことを心から願っています。

  最後になりましたが、保護者の皆様方、お子さまのご卒業、誠におめでとうございます。
 今日までの長きにわたる子育てのご苦労を思いますと、このように立派に成長されたお子さまの姿は、とても頼もしくもあり、感無量のことだと拝察し、心からお祝いを申し上げます。
 また、在学中に賜りました数々のご支援、ご厚情に改めまして深く感謝申し上げます。

 それでは卒業生の皆さん、「誠を思うは、人の道なり」という言葉があります。
 「ありがとう」という素朴で暖かい言葉と、他人を思いやる真心を大切に、授かった命を精一杯輝かせながら力強く生きていってください。
 そして、何より生きることの素晴らしさを学んだ大和川高校をいつまでもいつまでも忘れないで下さい。
 大和川高校という名前は変わりますが、皆さんを始め2万人を超える卒業生の方々にとって大和川高校は誇り高き母校であり、心の中に深く刻まれた宝物です。
 歴史と記憶の中で生き続け、その伝統は必ずや教育センター附属高校へと脈々と受け継がれていくことだと思います。

 結びに、卒業生の皆さんの前途を祝すと共に、これまで50年間にわたって、大和川高校に温かい眼差しを頂きました全ての方に、心から感謝申し上げ、式辞といたします。ありがとうございました。

平成25年3月7日
大阪府立大和川高等学校
校長   乾  匡