講演授業

2015年1月8日

 今年も、新年最初の登校日に夜桜恒例の『講演授業』を実施しました。

 今回の講師は、NHK・Eテレで毎週放送されている「バリバラ」という番組でも活躍中の大橋グレース愛喜恵さんです。

 大橋さんはもともとバリバリのスポーツウーマンでした。小中学生の頃はバスケットボールのジュニア代表選手でしたが、たまたま中学の体育の授業で教員からセンスを見込まれ、本格的に柔道を始めました。その後メキメキと頭角を現し、国際大会でも常に上位に入る選手となります。父親が日本人、母親がアメリカ人である大橋さんは米国籍も持っていたため、16歳のときに日本の高校をやめ、一人で渡米してトレーニングを積んだ結果、2008年の北京オリンピックのアメリカ代表選手に内定しました。

 ところが喜びも束の間、病気を発症したためオリンピック出場はかないませんでした。多発性硬化症など3つの難病(難病とは、原因が特定されておらず、治療法も確立されていない、患者数が極めて少ない病気のことです)を患い、症状がどんどん進んで、今では胸から下が全て麻痺して目もほとんど見えないそうです。今回の講演授業でも、車いすには空気の入ったボンベが3本積まれていて、呼吸器のチューブをくわえて呼吸をしながらお話をして下さいました。

 そんなたいへんな状況にありながらも、大橋さんは明るく「私はしあわせ!」とおっしゃいます。24時間体制のヘルパーに支えながらの自立生活や、「障害を持つ人が地域で堂々と自分らしく生きられるように」と設立された《自立生活夢宙センター》のスタッフとしての仕事についてお話し頂き、日々自分らしく生きておられるご様子に感銘しました。

 今回1時間を超えるご講演でしたが、生徒達は皆、集中してお話に聞き入っていました。本校には障害や病気を持つ生徒、家庭環境の厳しい生徒など、様々な困難を抱えながら学校に通う生徒がたくさんいるため、大橋さんのお話に多くの生徒たちが勇気づけられたと思います。