式 辞
校庭の桜を始めとする花々が美しいこの良き日に晴れて大阪府立四條畷高等学校第六十五回入学式を挙行致しましたところ、公私ご多用にもかかわりませず、大阪府教育委員会 阪本庸広様、本校PTA会長橋本栄子様をはじめ、多くのご来賓並びに保護者の皆様にご臨席いただきましたこと誠にありがとうございます。本日めでたく本校に入学されました新入生の保護者の皆様、誠におめでとうございます。皆様方にはこれまでお子様を育み支えてこられ、またご心配のことも多々あったことと思いますが、そのご苦労が報いられ、今日の良き日を迎えられましたこと、本校教職員を代表致しまして心よりお喜び申し上げます。
さて新入生の皆さん入学おめでとうございます。夢の実現に向かって皆さんの一人一人が日々努力を積み重ねてきた成果であり、改めて皆さんの努力に対し敬意を表したいと思います。そして皆さんが今ここにあるのは皆さん一人の力だけではなく、皆さんの周りの多くの人たちのお陰でもあり、皆さんの知らないところで悩み、心を砕いてこられた方々がいるということを忘れず、感謝の心を胸に新しい生活をスタートさせるよう願います。
さて本校は明治三十六年に旧制大阪府立第九中学校として創立され、戦後四條畷高等学校と名を改め、平成十五年には創立百周年を祝った歴史ある学校です。その間政治、経済、文化等のあらゆる分野において常に時代をリードするあまたの人材を世に送り出し、常に大阪府下で期待される学校として歴史を積み重ねてきました。
私自身も平素校長として、多くの本校卒業生や地域の方々の思いが詰まっている学校であると感じています。皆さんも本館校舎の趣と風格ある姿からも感じ取られたことと思いますが、登録有形文化財であるその建て方一つ見ましても、この飯盛山のふもとの北河内の地から、人を育て、文化を発信し、有為な人材を世に送り出すのだという創立当時の人々の熱い思いが伝わってきます。そしてその思いは現在も生き生きとした生徒や教師の姿、その誇りある学びと活発な部活動等の中に脈々と息づいていると感じています。このような歴史と伝統が評価され、本校は昨年度大阪府から進学指導特色校に指定されました。二十三年度の実施に先駆けて様々な取り組みも進む中、皆さんは本校で多くを学び、卒業後あらゆる分野の中核として、リーダーとして活躍していってほしいと念じています。
さて私の心に残ったお話をして今日のお祝いの言葉を締めくくりたいと思います。今年は冬季オリンピックの年で、バンクーバーでの大会で多くの感動を呼んだことは記憶に新しいところです。このオリンピックを見ていた時、今から十二年前に日本で行われた私が実際に見た長野オリンピックの時のことを思い出しました。皆さんはおそらくその当時のことは幼くて覚えていないでしょうが、日本で二回目の冬季オリンピックでした。私は若い頃からスキーの技術を高めたく、冬になれば信州へ赴き練習をしていましたから、平素練習していた白馬での大会でもあり、いつも練習していたバーンを彼らはどのようにして滑るのかこの目で見たい一心で見に行くことにしました。一つは滑降で一つはジャンプを見ることにしました。滑降は天候不順のため当日中止でしたが、ジャンプは見ることができました。その当時原田というベテランと船木という若く天才的なジャンパー達をもって戦いに挑んだのですが、二回目のK点越えのジャンプで船木選手が逆転で金メダル、原田選手が銅メダルでした。私は丁度彼らが着地する目の前の観客席でしたので忘れもしません。白馬の森の中にあるジャンプ台から、選手が降りてくるまでの叫びに似たような歓声の中に、K点を越えるその時の、選手と観客が一体になった喜びは今も思い出しますと胸が熱くなります。しかし私の心に残ったのは勝ち負け以外のところにありました。
一つはあの大きな舞台の中で多くの国々の応援者がおり、その国の国旗が振られているのですが、そこにいた観客のほとんどの人がどの国の人であれ、公平にいいプレーには惜しみない拍手をし、健闘をたたえていたことです。自らの国だけでなく、他の国にも声援を送る大らかで公平な姿勢はすがすがしく、オリンピックそのものに深く感動しました。そしてこの公平性とグローバルな視点こそがこれからの社会や世界には必要だと感じました。
もう一つはそのオリンピックの後、夏に白馬のジャンプ台の近くで宿泊する機会がありました。その宿舎は偶然にもオリンピック代表のジャンプ陣が合宿していた宿舎でした。そしてそこの主人から長野オリンピックの時に金メダルを二個獲得した船木選手の話を聞きました。「船木選手は、毎日陽の当たる時から夜遅くまで練習をしていました。そしてクリスマスの夜もナイターで滑っていたのですよ。」と話してくれました。それを伝え聞いた時私は胸が熱くなりました。白馬の森で若者が、多くの人が何らかで楽しんでいる夜に黙々と練習している姿を想像した時、彼のメダルはふさわしいものだと思いました。今年のオリンピックにもきっと多くの隠れたこのようなエピソードがあったことと思います。
私は皆さんに公平でグローバルな視点で社会や世界を見れるようになってほしいと思うと同時に、夢や希望を実現するためには人にはない努力の積み重ねが必要であると知ってほしいと思います。そしてその努力の積み重ねは地味な行為ですが光輝いていますし、夢や目標への着実な歩みだと思うのです。
私は皆さんに期待し願っています。本校での三年間が輝きに満ち、次のステップにつながることを祈り、期待しています。しかし初めから全てがうまくいくとは限りません。ただ言えることは、必ずこうなりたいという気持ちを胸に持ち、努力し進むことが大切だということです。六十五期生の皆さんが本校の伝統を引き継ぎ、見事に羽ばたくよう私たち教職員一同は保護者の皆様と力を合わせ、力を尽くしていきたいと思います。ご来賓の方々をはじめ、ここに集われておられる地域の方々、同窓会の皆様、どうぞ私たち四條畷高校を見守っていただき、お力をお貸しいただきたいと高い所からですがお願いしたいと思います。私たち教職員も惜しみなく応援し力をつけていきたいと教職員を代表して皆さんに約束します。
「がんばれ畷高六十五期生、志を持って努力せよ。」と皆さんにエールを送って私の挨拶と致します。
平成二十二年四月八日
大阪府立四條畷高等学校校長
池 田 憲 昭