2期生について思い出を書けという。30年も経ると記憶も定かでないが、敢えてなら、体育館などはまだ無くて、市民会館で入学式を挙げたこと、存分に若さを発散させた体育大会や修学旅行、脱線しては生指の先生方を日々煩わせていた一群の生徒達のこと等、点景として浮かんで来るものはある。しかし、これで君達が過した貴重な3年の内実に迫ることはできない。個性豊かな者も個々には当然いたに違いないが、2期生という学年集団に際立った個性があったわけではない。ただ、1、2、3期当時は、自分達がこの学校を創るのだという気概と活気が、先生方にも生徒達にもあった。新生の気風とでもいうべきだろうか。わたしにとっても、南高での11年は、長い教員生活の中で花の季節であったかと思っている。
未だに信じられないことだが、その母校がなくなるという。君達の夢を育み、3年間に亘り君達が哀歓を共にした学び舎が、30周年を迎えた今、やがて姿を消そうとしている。無念の極みというほかない。
卒業して四半世紀になるが、この間に世界史的大事件が相次いだ。東西ドイツの統一、ソ連圏に於ける共産主義体制の瓦解、湾岸戦争、多発テロと中東紛争等々枚挙に遑がない。その波風をもろに被り、わが日本も政治・経済両面に深刻な影響を受けた。空前の好景気に浮かれていたところ、俄かにバブルが崩壊し、大型倒産が頻発し、リストラの波が押し寄せ失業者が激増し、凶悪犯罪が増加する等、今私達を取り巻く生活環境は極めて厳しい。
更に相変らずの政治無策と政官界に於ける腐敗の横行である。国にも国民にも明日への展望が見えない。
今、年齢的に正に中堅として社会を担う君達の生活は、とりわけ安穏ではなかろう。苦難に喘ぐ日々かもしれない。老いの繰り言じみてきて申し訳ないが、これからもこの状況は続くだろう。
負けてほしくない。ご健闘をただ祈るばかりである。
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