大阪府立天王寺高等学校

「天高アカデメイア」宣言   (抜粋) 

大阪府から進学指導特色校に指定され、また文部科学省からスーパー・サイエンス・ハイスクールに選ばれている天王寺高校では、これまで「先端科学ゼミナール」や「集中セミナー」、公開研究授業、ブリティッシュ・カウンシル連携事業、文系高大連携講座など、大学の先生方・留学生・企業研究員の方々による年間30回にも及ぶ講演会が開かれてきました。
 生徒たちは最新の科学技術や研究活動、それぞれの研究者の意欲や使命感に身近に触れることができ、勉学意欲の向上や進路実現にも大きな成果を上げてきたところです。
           (中略)
 これまで受講対象は理数科の生徒と理数分野が中心でしたが、今後は広く普通科・文系志望者にも呼びかけ「アカデメイア」が真にダイナミックな知の殿堂たるべく、「本物に接し、学ぶ」という天高教育のモットーの実践を企図しています。向学心に燃える生徒たちが知的体験を共有できる空間、そして教育目標である「日本や国際社会で活躍するリーダーの育成」に寄与する試み、それが「天高アカデメイア」だと考えています。

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 ■第11回天高アカデメイア
   
「ひらめきと感情」〜人工知能はひらめきと感情を持つのか〜

                              東京工業大学教授 中川 正宣 先生


 12月19日(月)、本校OBでもある東京工業大学教授中川正宣先生に講演していただく機会に恵まれました。ひらめきや感情を数式化してコンピュータで再現するという研究に、「そもそも人間の感情って何だろう」と根源的な疑問が生まれるご講演でした。
 ご自分が面白いと思うことを勉強した結果、大学で文学部に在籍しながら独学で数学を学び今に至ったというお話も進路に悩む生徒たちには興味深いお話でした。

【生徒の感想】
・講演を聴く前は、そもそも人工知能とは何かと疑問を浮かべるばかりでした。しかし、今回ご講演をしていただくことで、なるほどなと納得することが多く、人の気持ちをコンピュータに作り、ロボットに感情を与えさせることで、近い将来ロボットに感情移入してしまうことがあるという話を聞き、将来がすごくどうなるのか不思議でした。
・人間の脳が微分方程式で表せるというのがとても面白かった。予想できない動きをするグラフがあって、それでひらめきのようなものが作れるというのも不思議だと思った。


 ■第10回天高アカデメイア
   
「大学入学はスタートライン−求められる医療倫理って?−

                          大阪市立大学医学部教授 首藤 太一 先生


 12月10日(土)の3,4時限目に、大阪市立大学医学部教授の首藤太一先生を講師に迎え、保護者も参加可能な講演会を開催した。
「良医になるために必要なこと」という目線から、「社会で求められる人物像」についてわかりやすい例と寸劇を交えながらお話していただいた。
「しっかり見る、ちゃんと聴く、たくさん読む」「目を見て話す、頷く」など、人と関わる際に大切にすべき根本的なことを改めて生徒に教えていただいた。
 特に、講演会中にあった「無駄がゆとりとなり、ゆとりが豊かさになる」などの言葉は、無駄を嫌い、公式や暗記に頼ろうとする現代の高校生には新たな価値観を見出す契機となったようで、満足度はかなり高いものであった。
 午後の第2部は自由参加の企画であったが、事前の申し出が10名程度であったのに対し、講演会後に参加希望者が急増し、結果的に100名近い生徒、保護者が参加した。「躓くから学ぶことができる、道の小石まで親が拾いながら育てたのでは子どもは躓けない。結果、つまずいたときの対処法を知らない大人になる」など、子どもが伸びるための、保護者と教師の心構えについてもお話いただいた。
 
   
 
 

 ■第9回天高アカデメイア
   
「アジアの人々と生きる 〜タイ・カンボジア〜での教育活動を中心に

                          近畿大学国際学部国際学科 秦 辰也 先生


 11月21日(月)のアカデメイアは近畿大学より秦先生をお招きし、アジア各地で実践されたボランティア活動を中心に講義していただきました。スラムに暮らす子どもたちに絵本を提供することで、彼らが文字を学び、本を読むようになり、好奇心を深めて知識を蓄積していくようになる。子どもたちは本がぼろぼろになるまで、目を輝かせながら読みふける。タイのスラムから、通訳となり外交官になった少女もいた。といったエピソードには、生徒たちも感銘を受けていました。

【生徒の感想】
・私たちが住んでいる国はとても環境が良く、物資は豊かであり、本当に私たちは恵まれているなと改めて強く感じた。それなのに、私たちはそのことが当たり前になってしまっている。戦争などのために食糧がない、学校に行けない、そんな環境にいるのに、そこの子どもたちは優しさ、人を思いやる心を忘れず、限りある物資を最大限に利用し、一生懸命に生き、人生を楽しもうとしている。その姿に感動し、何とも言えない気持ちになった。もっと多くの人々にこのような環境にいる子どもたちのことを知り、自分のことをと同じように考え、自分たちにはこの子たちのために何ができるのかを考えるだけでなく、行動していかなければならないと思う。
 

 

 ■第8回天高アカデメイア
   
薬ができるまで」 英語での講演

                       田辺三菱製薬 育薬本部 育薬管理部 兼 安全性推進部
                            マイケル・クレメンツ Michael Clements 先生


 11月15日(火)の講演では、薬ができるまでの過程をていねいに説明していただきました。薬になりそうな物質を見つける所から始まりますが、それが販売できる薬になるまでは、いくつもの段階を経なければならず膨大な時間とお金が必要です。物によっては高価な薬になってしまうこともあります。安全が第一ですから欧米の安全監視部門との連携も重要な仕事です。
 難しい内容でしたが易しい英語でお話ししていただきました。生徒たちも大変関心を持ったようです。


 

 ■第7回天高アカデメイア
   
「非言語コミュニケーションと英語

                             京都外国語大学 教授 Jeff Berglund 先生


 11月11日(金)、テレビ番組の司会・コメンテイターとしても活躍されているJeff Berglund先生に出前授業をしていただく機会に恵まれました。「起立・礼」から始まり、自文化・異文化について、発信者責任型のコミュニケーションスタイル・日本人の受信者責任型の姿勢について等、実際に体を動かしながら、新しい価値観を学ぶ機会になりました。始めはおとなしかった生徒たちも、Jeff 先生のパフォーマンスに引き込まれ、とても活き活きとした授業になったように思います。「受信型・発信型のバランスが大切である」という先生のメッセージは受講者みんなにしっかりと伝わったことだと思います。

【生徒の感想】
・"発信者責任型になれるという熊のポーズをすると、自然と体が前に乗り出すような感覚になった。とはいえ、ポーズ中も恥ずかしさを忘れられず、まだまだだなと感じた。だからこそ、手を挙げて、前で自己紹介をした人たちの勇気は本当にすごいと思う。今まで、前に立つと緊張して不安で下を向いてしまう、受信者責任型の自分が嫌いだったが、「受信力がある」との捉えかたもあると知り、少し嬉しかった。これからは1割であってもできることを少しずつ発信していき、「発信者責任型」の姿勢も身につけて、人をひきつけるような発信と、人の本心を引き出せるような受信をできる人になりたいと思った。(3年)
・今までに経験したことのない発信型の授業を受けることができ、とても嬉しく思います。日本人は発信力に乏しいとは思いますが、世界一の受信力を持っているということを考えると、日本人の今のあり方は世界的に見ても悪くないのではないかと思います。今の世の中では発信型の自分と受信方の自分とのバランスが大切であると強く感じました。つまり、日本人は発信力を鍛えるべきだということだと思います。(1年)



 ■第6回天高アカデメイア
   
量子コンピュータ」

                       東京大学 光量子科学計算センター 藤井 啓祐 先生



 9月12日(月)本校54期の卒業生である東京大学光量子科学研究センターの藤井啓祐先生を招いて「量子コンピュータ」についての話をしていただきました。視聴覚教室はいっぱいになり補助椅子まで出すことになりました。量子コンピュータはまだ実現していませんが将来のコンピュータとして大変有力なツールとなるようです。講演ではコンピュータのことだけでなく母校の生徒へのメッセージをたくさんいただき、生徒たちの学習意欲は大いに掻き立てられました。質疑応答も盛んに行われ生徒の関心の高さを感じました。終わってからも先生と話すために多くの生徒が残っていました。


 ■第5回天高アカデメイア
   
イネ種子におけるRNAの選択的輸送機構の解明」

                         国際教養大学 Andrew J. CROFTS 氏
                         秋田県立大学 CROFTS 尚子 氏



 6月18日(土)、Andrew J. CROFTS氏(国際教養大学)、CROFTS尚子氏(秋田県立大学)両氏による「イネ種子におけるRNAの選択的輸送機構の解明」という題目でご講演いただきました。国際教養大学の講義はすべて英語で行われているので、このアカデメイアもすべて英語で行われました。クリッカーを用いて瞬時に参加者の考えがスライドに現れるということは生徒にとって初めての経験でした。
 

 

 ■第4回天高アカデメイア
   
見える光,見えない光」

               三菱電機人材開発センター 夏川 真二  村田 裕 氏



 6月7日(火)開催の天高アカデメイアは、物理に関心を持つ1,2年生を対象に、三菱電機人材開発センターの夏川真二,村田裕氏に「見える光,見えない光」と題したご講演をしていただきました。太陽光、白熱電球、蛍光灯、LED等の光源のスペクトルの違いは何によるのか、発光のメカニズム、物の色はなぜその色に見えるのか、など目に見える光の性質についての実験と解説、赤外線や紫外線など目に見えない光の性質と利用についての実験と解説をしていただきました。実験をまじえての講演で、光についての理解がよりいっそう深まったと思います。
 
     

 

 ■第3回天高アカデメイア
   
農学・生命科学系大学教授から見た高校生の進路選択へのアドバイス
           ―大学・学部・学科の選択が君の人生を変える―」

               東北大学大学院生命科学研究科 教授 渡辺 正夫 先生


 6月6日(月)の6,7限目に70期2年生を対象に、東北大学大学院生命科学研究科 教授 渡辺正夫先生をお招きし、「農学・生命科学系大学教授から見た高校生の進路選択へのアドバイス ―大学・学部・学科の選択が君の人生を変える―」というタイトルでご講演をしていただきました。先生の学生時代のお話や、ご自身の研究のお話に加え、進路選択に関して、「自分の本当にやりたいことを見つけること」やその「本当にやりたいこと」との出合いはどのような形でやってくるかわからないのだから、毎日の授業や色々な出会いを大切にして欲しいというメッセージを頂きました。このすぐ後には京都大学見学会が予定されており、生徒たちは自分の進路について考えるよい機会となったと思います。

   

 

 ■第2回天高アカデメイア
   
フラーレンの性質」

     国立研究開発法人理化学研究所計算科学研究機構 研究員 川島 雪生 氏


 5月31日(火)開催の天高アカデメイアは、数学・情報・化学に関心を持つ1,2年生を対象に、スーパーコンピュータ「京」を使った研究をされている川島雪生氏にご講演いただきました。前半では、生い立ち、キャリアデザイン、高校では習わない化学の基礎、数学好きにはたまらない難解な方程式や「京」を操作するための言語などを紹介してくださいました。後半は、炭素の同素体であるフラーレンの性質について。高校ではサッカーボールの形をしている分子としか習わないのですが、水溶性フラーレン、HIV特効薬、化粧品などの様々な形状、用途への研究がすすめられていることを紹介してくださいました。講演全体を通して、生徒たちの好奇心を刺激する素敵な講演でした。


【生徒の感想】
・シミュレーションが実験を超えるかもしれない可能性に魅力を感じました。
・分野の垣根を超えた研究に興味があったのでこの研究はすばらしいと思いました。
・研究者のあり方の多様性も知れたのでうれしかったです。
・最先端で研究されている方の話で正直難しいと感じましたが、今学んでいることの延長線上にあり、今の勉強が将来に繋がっているのだとわかりました。
・難しい内容だったが、川島先生の研究に対する情熱と研究のおもしろさが十分に伝わってきました。
・電子軌道に興味がわきました。電子の動きを学べば、分子の反応性を予測されるという点は非常に興味深く思いました。


 ■第1回天高アカデメイア
   
志を持って生きる〜グローバル時代の課題と若者にできること」

          国際協力NGOセンター(JANIC)事務局次長  富野 岳士 先生


 第1回のアカデメイアは2年生文系志望者および国際問題に関心を持つ希望者を対象に、NGOのJANICで国際協力活動をされている富野岳士先生をお迎えして行われました。まずは先生が国際問題に興味を持たれた経緯からお話が始まりました。企業に勤めてインドネシアに赴任されていたときに、アジア通貨危機に遭遇し、発展途上国の社会問題に目覚めたというお話が印象的でした。続いて昨年国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に話が移り、今世界で起きていること、その解決に向けて取り組まねばならないことをわかりやすく説明していただきました。最後に志を持って生きるために、自分の興味関心と社会課題を結びつけ、様々な分野の人間が協働して問題解決をはかっていこうというまとめをいただきました。講演についての生徒のアンケート結果を見てもたいへん好評で、今後の進路実現や課題研究に役立つよい機会となったようです。

 

 
   
   
 
   
【生徒の感想】
・今までNPOやNGOという言葉は聞いたことがありましたが、その具体的なものまでは知りませんでした。しかし、この講演を聞いて、国際協力についてより深く考えられ、新たな知識を得られました。同じアジアの国でも国ごとに文化や習慣、人などありとあらゆるものが全然違っていることには驚きました。海外で働きたいと思うのなら、自分のイメージでその国を捉えるのではなく、いかに素直に多様性を受け入れ、理解することが大事か気付かされました。社会課題を解決するのに必要な志と素養はグローバル化の進む現代においては国際協力ではもちろん、それ以外の場面でも求められるのではないかと感じました。私も、自分・自国のことだけでなく、全体のことを考えられる幅広い視野を持った人になりたいと思いました。

・私は国際関係のテロや戦争の防止策に興味があったので非常に今回の講演は有意義であった。先生が経験されたアジア諸国での金融危機。そこで学ばれたという一つの事実。“社会が不安定になれば、貧困層は自分たちより裕福な生活を送っている富裕層に自分たちの不安や怒りをぶつける。仮に富裕層が彼らに何ら罪を働いていないとしても。” この事実の中に私はテロや戦争を未然に防ぐアリアドネの糸を見つけたかもしれない。貧困に苦しむ人々がよりよい生活や暮らしを送ることができて、しっかりとした教育を施し、ISに行ってしまうような若者達に自分たちの才能を発揮できる場を設ける。理想論かもしれないが、これを行うことによって、テロや戦争の一つは減らせるのかもしれない。