大阪府立天王寺高等学校

「天高アカデメイア」宣言   (抜粋) 

大阪府から進学指導特色校に指定され、また文部科学省からスーパー・サイエンス・ハイスクールに選ばれている天王寺高校では、これまで「先端科学ゼミナール」や「集中セミナー」、公開研究授業、ブリティッシュ・カウンシル連携事業、文系高大連携講座など、大学の先生方・留学生・企業研究員の方々による年間30回にも及ぶ講演会が開かれてきました。
 生徒たちは最新の科学技術や研究活動、それぞれの研究者の意欲や使命感に身近に触れることができ、勉学意欲の向上や進路実現にも大きな成果を上げてきたところです。
           (中略)
 これまで受講対象は理数科の生徒と理数分野が中心でしたが、今後は広く普通科・文系志望者にも呼びかけ「アカデメイア」が真にダイナミックな知の殿堂たるべく、「本物に接し、学ぶ」という天高教育のモットーの実践を企図しています。向学心に燃える生徒たちが知的体験を共有できる空間、そして教育目標である「日本や国際社会で活躍するリーダーの育成」に寄与する試み、それが「天高アカデメイア」だと考えています。

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 ■第5回 天高アカデメイア
   「人の一生を最後から考えてみませんか。それが皆の幸せに繋がります。 


           大阪大学大学院医学系研究科 社会医学講座(法医学)教授 松本 博志 先生(高32期)

  「小児外科と国際貢献」

        大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座(小児形成外科学)教授 奥山 宏臣 先生



 平成30年9月14日(金)
 統計データを多く用い、死因から社会や世界の情勢を知る、あるいは小児外科の世界的な現状を知るという内容で、法医学、小児外科学など馴染みのない分野に触れ、生徒の世界も拡がったようでした。


【生徒感想】
・小児外科を目指しているので、小児科についての話は大きな学びになった。
・人の死を見つめ、分析し、人の生につなげていく視点はとても大切だと思った。
・大切なことは疑問を持ち続けることだと思った。
・国境なき医師団に入って国際貢献をするのが夢。またお話を伺いたい。


 ■第4回 天高アカデメイア
   「はやぶさ2による小惑星探査と宇宙衝突実験 


                                    神戸大学 荒川 政彦  先生


 平成30年9月5日(水)
 小惑星に含まれる鉱物などを調査することで、太陽系誕生の過程(失われた鎖)を知ることができると考えられる。「はやぶさ2」が到達したりゅうぐうは有機物や水を含んでいると考えられ、ここからのサンプル回収が期待されている。しかし表層は熱変性で本来の組成ではないため、内部からのサンプル採取のためには秒速2秒の速さで銅球を発射し、人工クレーターをつくる必要がある。今回はこの人工クレーター作成について詳しくご講義いただいた。なぜ銅でなくてはいけないのか、クレーターを作る際「はやぶさ2」はどこに避難するのか、クレーターが出来る際の砂の巻き上がり方で何がわかるか、など思考力が鍛えられる問いがいくつもあった。

   

【生徒感想】
・質問をするために話をよく聞いていたつもりだったが、あまり疑問が思いつかなかった。そして他人が質問したときに、確かになぜなのだろうと思うことがあった。今後、話を聞いて何か疑問を持てるようにしたい。
・限られた予算の中で、検証や実験を繰り返して精度を高めている。機体に用いられる素材も宇宙空間の影響を考慮し、また地球に持ち帰った後の都合も考えて選ぶ必要がある。しかしこのような国家レベルのプロジェクトでもぶっつけ本番ということに驚いた。
・自分の知らない分野の宇宙がまだまだあると感じた。宇宙と生物が結び付けられるような進路に進みたい。


 ■第3回 天高アカデメイア
   「カジノ誘致の是非 


                                神戸大学名誉教授 西澤 信善  先生


 西澤先生はカジノ誘致に対して否定的であるが、あえて「カジノ誘致の是非」というタイトルでご講演いただいた。ちょうど当日6月19日はカジノ法案が衆院を通過した日でタイムリーな内容となった。実施前は何となく賛成・反対というスタンスの生徒が多いように見受けられたが、講演後の質疑応答ではクリティカルな質問が相次いだ。講演を通して深く考察することができたようだ。

【生徒感想】
・もともとはカジノ誘致に賛成であったが、少し考えが変った。買い物等にお金を使ってもらったほうがより地域振興につながるので、カジノを除くものを誘致するわけにはいかないのか。カジノがあればIRに行く目的がカジノだけになるのは目に見えている。
・報道を見ているとカジノが悪いものではないように思え、報道の力は強いと感じた。賛成派と否定派の意見を聞いてもう一度IRについて考えようと思う。
・これからはいろいろなニュースに対してもあらゆる方向から批判的に考えを持てるようにしていきたい。
・ギャンブルは個人の趣向に基づいてあくまで個人の責任でするものであるが、周りに迷惑をかけているケースが多すぎるように思う。世論調査で反対が多数をしめているのに次々と法案が可決されている状況をみると、間接民主の課題を感じた。
・カジノによる損失は直視できたが、推進に対する意見が変ることはなかった。かなり興味深い内容なので推進派の専門家の意見も聞いてみたい。


 

 ■第2回 天高アカデメイア
   世界最古の企業 金剛組
    「金剛組の始まりと歴史、宮大工の技術と伝統について 



 6月13日(水)15:50〜
 今から1400年以上前、日本に仏教が伝えられたばかりのころ、社寺建築の技術を伝えるため、遠く百済から宮大工が呼び寄せられました。彼は聖徳太子より、日本仏法最初の官寺「四天王寺」建立を命じられ、見事その務めを果たしました。これが、「金剛組」の始まりです。
 そして、金剛組は今では全国各地の神社仏閣を手掛けており、宮大工の技術と伝統を連綿と受け継いでいます。
世界最古の企業として、1400年の長きに亘り歩んできた歴史と宮大工の技術を紹介していただきました。
宮大工の棟梁の話を直接お聞きすることができ、また大工道具や組木の模型などを持ってきていただき、大変に貴重な経験をすることができました。

   
   

 

 ■第1回 天高アカデメイア
   「動物たちの心を通してヒトを知る」
 

                                
京都大学高等研究院 山本 真也  先生


 平成30年5月29日(水)、京都大学高等研究院の山本真也先生に「動物たちの心を通してヒトを知る」という演題でご講義いただきました。
 山本先生は、進化の隣人であるチンパンジーとボノボ、ヒト社会の隣人とも言えるイヌとウマを主な対象に、課題研究とフィールドワークの両方を通して知性の進化の謎に取り組んでおられます。究極の研究テーマは「人間とは何か」を知ることだそうです。学問分野でいうと生物学と心理学を組み合わた比較認知科学という分野です。講義では、動物たちのさまざまな動画とともに、動物たちの知られざる世界、それを垣間見る研究の面白さを教えていただきました。


【生徒感想】
・高校生ができないようなスケールの大きい研究の内容と結果、それに関することを講演していただいて、意識が高まった。私も授業で実験を行って結果を考察することがあるので、レベルの高い手本を拝見できてありがたいと思った。
・(ヒトと類人猿の間には)文化と協力で違いがあると信じていたので今回の講演の内容には驚きがあった。特にチンパンジーも文化があるという説明ではとても納得させられた。将来研究職に就くつもりはないが、少しだけ選択として残しておくのも悪くないと思った。
・ヒトとチンパンジーの共通点を挙げていくなかで、反対にチンパンジーについて知ることから人間とはどういうものかということを考えさせられた。私の考えとしては、自発的に手助けをする積極性、そして教育することなどが鍵となり、そこに違いがあると思った。
・ヒトとチンパンジーの違いの部分で、ヒトは母親が積極的に子に教えるのに対し、チンパンジーは自発的には教えない。見て学ぶ学習というところが印象に残っておもしろかった。
・疑問、仮定、実験の流れがきれいで筋が通っていたので、これからの課題研究にいかしていきたいと思った。また、1つの結果が得られても他の方向から再び実験を行うといった、追い求めていく姿勢が大切だと感じた。