>>とじる
 

平成23年度 3学期 終業式


平成23年度 3学期 終業式訓辞

  おはようございます。今日の終業式の日に、皆さんに考えてもらいたいことがあります。「あたりまえ」ということについてです。
先日、お昼頃に、地下鉄の御堂筋線に乗っておりますと、西田辺から杖をついたお年寄りの方が、ほんとうに「よっこらしょ」という表現がぴったりに乗ってこられました。あいにく混んでいて座席は空いていませんでした。仕方なく、入り口の横にある手すりにつかまっておられました。すると、一番端に座っていた年配の男性が、「向こうに、優先座席があるからあっち行け」とおっしゃいました。
 仕方なくおばあさんは、よろよろと移動し始めました。すると、一人の女子高生が、すっと立ち上がって「どうぞ」と手をさしのべ自分が座っていた座席におばあさんを抱くようにして座らせてあげました。
 そのさりげなさ、さわやかさ、労りのこもった物腰の柔らかさ。なんと勇気があるなぁ!と感激しました。何よりそのスカートがグレーの縦縞で大和川高校の生徒だったことに「大和川高校万歳!」と叫びたい心境でした。電車やバスに優先座席というのがあります。あんなものがなくても、お年寄りやおなかの大きな妊婦さんに「どうぞ」と席を譲るのが、人として当たり前のことではないですか。大和川高校・教育センター附属の生徒は頑張ってる生徒が多いといわれるのも嬉しいですが、「優しい子が多いなぁ」といわれることの方がもっと嬉しい。
 また、ある雑誌に世界中を回っている「国境なき医師団」に所属している人がコラムにこんなことを書いておられました。アフリカの大西洋に浮かぶ小さな島国の人々の笑顔がとても素晴らしいかった。という話です。食料も水も薬も全然足りない状態の中で、わき水を汲みに何キロも歩いて行くそうです。そして、水甕に入れた水を頭に乗せてまた歩いて帰ってくる。苦労して手に入れたその宝のような水をどうするかというと、病人や老人、小さな子どもに分けてあげるそうです。「どうして?自分は飲まないの?」と聞くと、にっこり笑って「それが、あたりまえでしょ。」と答えたそうです。「人のためになることをすることで自分は幸せになれる。」
東日本を襲った大震災から1年経ち、このところのテレビや報道を見ていて、欧米式の「ギブ・アンド・テイク」ではなく、人間として純粋な気持ちから誰かのために身を尽くし、「おかげさまで」と感謝する心根の優しさを大切にしなければと一層強く思いました。 
 今日は、3学期の終業式ということで1年間のおさらいをする日です。そして、それをもとに来年はこんな風に頑張ろうと、決意を固める日です。言うなれば、反省と新たな決意の日と言えるかもしれません。自分の1年間を振り返ってみてください。がんばると言うことは、目標を達成するために努力することです。できたでしょうか?一瞬一瞬に、一生懸命全力を尽くす、その積み重ねが、自分の未来への扉を開けることになり、新しい道が拓かれていくのです。
 学校は、頭を鍛え、体を鍛え、心を磨く道場です。来年は、とことん自分を鍛え、とことん自分を磨く1年間にしてください。そして、学校中に元気と笑顔がいっぱいの毎日になることを願っています。頑張りましょう!


平成24年3月15日
            大阪府立大和川高等学校
                   校 長 乾  匡

>>とじる