着任のご挨拶と入学式式辞

 4月1日より今宮高校に校長として赴任いたしました上野 佳哉です。4月1日に着任してから慌ただしい日々を過ごしていましたので、着任のご挨拶が遅くなり、誠に申し訳ありません。

 私は、今宮高校で3校目の校長の経験になります。今まで、文理学科ではありませんが、進学校を教頭時代から経験しており、その経験を活かして、今宮高校の発展に寄与したいと考えています。今宮高校の生徒・保護者の皆様、そして卒業生の皆様、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 さて、4月5日、本校体育館で第74回入学式が挙行され、総合学科第24期生が入学しました。この入学式で、私は「高校でどのような学びをすべきか?」さらに、「21世紀、令和の時代を生きるこれからの若者にどのような学びが必要か?」を話しました。

 以下、その式辞の内容を掲載いたします。私は、今回初めて「パズルとレゴ」というおもちゃを使って、必要な資質と能力を話しましたが、その意図する所は、十分に伝わったかどうか・・・。「あの式辞で、校長は何を言いたかったのか?」と思われた方は、もう一度、以下の内容を読んでいただけるとありがたいです。因みに、このパズルとレゴの話は、私のオリジナルではなく、教育改革家としてたくさんの著書を書かれ、テレビ出演もされている藤原和博氏の話から引用させていただきました。

第74回入学式 式辞

 春うららかな今日この日に、多くのご来賓と保護者の皆様のご臨席のもと、第74回今宮高等学校全日制課程入学式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びであり、心から感謝申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました、総合学科二四期生・二百四〇名の新入生のみなさん、入学おめでとう。みなさんの入学を心から歓迎いたします。みなさんは高校入試という人生最初の試練を見事に克服し、晴れて今日この日を迎えたわけであります。この喜びは、みなさんの堅実な努力の賜であることは、言うまでもありません。これからの長い人生において、今日は、心に残る1ページになると思います。

 さて、新たな高校生活を始めるあなた達に、これから高校生活で学んでほしいことについて、話をしたいと思います。まず、知ってほしいことは、あなた達がこれから歩む人生では、この日本で誰も経験したことが無いような事が起こるという事です。それは、人口減少社会の到来です。ちょうど、あなた達が50代を向かえるころ、日本の15歳~64歳の生産年齢人口は、約5000万人になります。この生産年齢人口は、太平洋戦争が終了した5年後の1950年とほぼ同じです。2020年の7341万人と比較して、約70%になってしまいます。あなた達が社会人なって歩む人生は、ずっと人口減少が進む人生を歩むことになるのです。

 このことは、様々な現象、ひずみ、変化を社会に、私たちの生活にもたらします。例えば、つい最近話題になったのは、24時間営業のコンビニやスーパーの営業時間の見直しです。「働き手が確保できない、24時間営業をやめさせてくれ」とコンビニの店長が本部に訴えたニュースは、東大阪市の話です。日本の今の社会を維持していこうと考えれば、外国人労働者の力を借りるしか方法はありません。すでに、コンビニの店員には、多くの外国人の人たちが働いています。おそらく、あなた達が社会に出るころには、同僚や上司、部下に多くの外国人が採用され、一緒に働くことになるでしょう。あなた達の歩む人生は、今まで日本の社会が、当たり前のことのように行ってきたことが、どんどん見直されていく変革の時代となると思います。

 こんな将来が予想されるあなた達が、身につけなければならない力とは、一体どんな力でしょうか?今日は、それを、おもちゃを使って紹介したいと思います。

 私は今日、小学生が使うような二つのおもちゃを用意しました。一つは、パズルです。箱には、可愛い犬の絵があります。もう一つは、レゴの基本形ブロックです。

 さて、パズルです。あなた達に「このパズルを完成してごらん」と課題を与えたとしましょう。あなた達は、何から始めますか?最初は、同じような色をもつピースの分類をするでしょう。次に、直線部分をもつピースを抜き出し、外枠を作成していきます。このように作成する方が、効率が良いからです。あなた達の脳は、どのピースがどのように当てはまるかを正確に捉えて、この箱の絵の犬に完成するように、パズルを組み立てます。ゴールが明確なのです。このパズルを組み立てる力が、高度経済成長の時代、昭和から平成のバブル崩壊まで求められた力なのです。つまり、仕事のタスクは明確であり、その完成に向けてより正確に、そしてより効率よく、仕事を行う力です。保護者の方も、小学生時代に計算ドリルや漢字テストなどで"正確に早く"を求められていたのではないでしょうか?

 ところが、あなた達が歩むこれからの人生は、ゴールが何かが分からないのです。今までは、ゴールが明確な仕事が多数だったのですが、これから求められる仕事は、ゴールが分からない、ゴールが何かを考えないといけないのです。そして、ゴールに行き着くためのマニュアルも自分で考えないといけません。そのために、必要な力は、どんな力か?もう分かりますよね。それがレゴです。レゴを使って、同じく「犬を作ってください」という課題をあなた達にやってもらったら、完成した犬は、おそらく240通りの犬ができるはずです。それでいいのです。一人一人が、思考して、創造して、犬を創りあげる、そんな創造する力が求められるのです。

 この思考し、創造する力は、簡単には身につきません。まずは、マニュアルどおり仕事ができる知識・技能が必要です。それが、小学校から勉強してきた学習です。高校段階では、この知識・技能を完成させる段階です。しっかりと学習してください。しかし、それだけでは足りません。思考し、創造するために「探究する」という学習を身につけてください。本校は、総合学科です。探究する学習は至る所にあります。高校3年間で、知識・技能を完成させ、思考し、創造する力を身につけるために、しっかりと探究してほしいと思います。

 4月1日、新元号「令和」が発表されました。これから、あなたたちは、令和の時代を生きていくことになります。この令和の時代が、どのような時代になるか、それは、あなたたち若者の肩にかかっているといっても過言ではないでしょう。この令和の時代が、素晴らしい時代になるように、まずは今宮高校で過ごす高校時代を素晴らしいものにしてください。

以上が、私があなた達に求める高校での学びです。

 ご列席いただいています保護者の皆様、お子様のご入学、心からお祝い申し上げます。今日まで、いろいろなご苦労があったかと存じますが、これでひとまずご安心されたものと思います。私ども教職員は、本日入学したお子様への指導に、渾身の努力を惜しまないことをお誓い申し上げます。私は、入学式のこの式辞で、毎回保護者の皆様にお伝えしていることがあります。それは、高等学校の3年間は、「親離れ」「子離れ」の時期であるということです。わが子を自立させる時期です。今までは暖かく抱きしめ、両手で包み込むように子育てをされてきたと思います。これからは、親の「生き様」を子どもに見せる、「背中で育てること」が大事になります。このことは、新たな大学入試改革が始まり、生徒の「主体性」がより明確に問われる今日、さらに重要なことと思っております。家庭でもお子様の「主体性」を育てるために、「考える」・「考えさせる」家庭教育をお願いしたいと思います。

 どうか、保護者の皆様におかれましては、本校の教育方針をご理解いただいた上で、「子どもを、主体性を兼ね備えた自分を律することができる若者にする教育」にご協力ご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

最後に、本日入学した24期生二百四十名が、互いに切磋琢磨し、互いに鍛え合って、大きく成長する集団となる事を願って、私の式辞といたします。

平成31年4月5日

大阪府立今宮高等学校  校長 上野 佳哉