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こんな問題が大学入試で出題されるかも・・・シャルリ・エブド紙の掲載に関して

 みなさん、今フランスでとても話題になっていることを知っていますか?それは、風刺漫画を売り物にしているシャルリー・エブド紙が、イスラム教の預言者ムハンマドを風刺する漫画を再掲載したのです。再掲載というのは、2006年に一度同じ風刺漫画を同紙は掲載しました。このことがイスラム教徒の反感と反発を買い、2015年の1月、同紙の本社が襲撃され、編集長、漫画家ら12人が殺害され、アルカイダ系の組織が犯行声明を出すという事件に発展しました。このテロ事件の裁判開始に合わせて、同紙が再度同じ風刺漫画を掲載したのです。このことに対してフランスとイスラム教徒の間で大変な議論になっています。

 私たち日本人には、少し遠い存在の事件のように思われますが、グローバル社会ではこのような事象に対してきちんと自分の意見を持つことが求められます。そこで、これからの日本社会、世界で通用する若者を育てるために、「私が大学の教員なら、こんな問題を出題するかも」という事を考えてみました。以下の問題を読んで、自分ならどんな小論文を書くか考えてみてください。

<問題>

シャルリー・エブド紙が、イスラム教徒の預言者ムハンマド氏を風刺するマンガを掲載したことを巡って、フランス国民とイスラム教徒の間で激しい議論が交わされています。双方の意見を読んで、同紙の掲載に対する賛成・反対の立場を明らかにし、「表現の自由」と「宗教の尊厳」について、1200字以内で論じなさい。

フランㇲ側の主張

マカロン大統領は、「フランスには冒涜する自由がある」「フランス人であることは笑わせる権利、からかい、風刺する自由を守ることだ」と述べた。

イスラム側の主張

イスラム協力機構の人権委員会は、「恐ろしい表現と、『冒涜の権利』を支持する国々について、深く遺憾に思う。それは決して表現の自由ではない」

このような問題は、国際系や法学部系、経済学部、宗教系の学部で出題されるかもしれません。出題の意図は、

①自分の意見を明確にもち、かつ②その意見の論旨を論理的述べ、③主体的に関わろうとする態度をみるという所ではないでしょうか。

 さて、ここからはこの事件についてより詳しく知りたい人向けの本の紹介です。それはエマニュエル・トッド氏の「シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧」という本です。この本が書かれた背景には、エブド社襲撃事件の後、フランス国中で「私はシャルリ」という抗議運動が広がったことがあります。私は、この「私はシャルリ」の運動にも釈然としないモノを持っていたのですが、この本を読んですっきりしました。興味のわいた人は読んでみてください。また、保護者の皆さん、この本を題材にして、一度ご家庭でこの問題について討論するのはいかがでしょう?