1年 SDGsフィールドワーク その3

 昼からは、実際に青年海外協力隊を経験した方の話です。話をしていただいたのは、アフリカ、ウガンダに行かれた川崎氏。最初、ビクトリア湖を眺める少年の写真が出てきました。川崎氏の生徒への問いは、「この少年は、この時初めて村を離れて湖を見ました。このあと、この少年は何と言ったでしょう?」というもの。全然想像がつきません。少年が発した言葉は「バケツ何杯分の水なんだろう?」です。この言葉には、衝撃を受けました。思いもよらない言葉であるし、彼がおかれている境遇がこの一言ですべてを物語っていると思ったからです。

 川崎氏は、ウガンダでの体験をいろいろ話してくれましたが、SDGsに関連して教育の話題も提供してくれました。「なぜ、発展途上国の子どもたちには、学校にいけない子どもが多いと思いますか?」という問い。生徒たちは、色々と答えます。「兄弟姉妹の面倒見なければならない」「お金が無い」「仕事をしなければならない」・・・等々。どれも正解です。そして川崎氏はある少年の話をしてくれました。それは、小学校2年生で学校を中退しなければならなかった少年の話です。家庭の事情でどうしても学校に通うことができなかったのです。スライドに写っている少年です。もう少年は13歳になっていました。このまま大人になってしまえば、読み書きも計算もできないままです。そこで川崎氏も村の大人たちも彼を学校に行けるように様々な取り組みをし、学校に通えるようになったのです。でも、小学校2年生で学校に行けなくなった少年は、13歳の生徒と一緒に学ぶことはできません。小学校2年生の子どもたちと一緒に学ぶことになります。日本では、とてもできないことです。でも、アフリカではこのようなことはよくあることだと川崎氏は教えてくれました。

 ある晩、川崎氏の宿舎を少年が訪れ、「ろうそくをもらえないか?」と頼んできました。川崎氏は一本あげました。そうすると、しばらくして少年の家にろうそくの明りが灯ります。何をしているのかと見に行くと、少年がよれよれになったノートに自分の名前をローマ字で書く練習をしているのです。それこそ、何回もノートびっしりに!川崎氏は、村を離れるときにその少年から自分の名前を書いたサインをもらったと言っていました。「たどたどしい字で書かれたサインだけど、今でも、その字が僕を勇気づけてくれます。落ち込んだときなんかにこのサインを見るんです」と話してくれました。

 最後に、川崎氏は「体験すること」の大切さを話されました。今は、SNSやインターネットなどでとにかく情報が溢れている時代、簡単に情報が取れる時代であるからこそ、体験「体(からだ)を験(ためす)こと」が大切と生徒たちに伝えられました。様々な体験をしてきた川崎氏だからこそ言える言葉だと思います。

 最後の質問の時間。「誰か聞くかな?」と思ったのですが、誰も聞かないので、講演が終わってから川崎氏に直に聞きに行きました。みなさん、覚えていますか?自己紹介の時に「高校2年生の時に大きなことがあって、そこから自分の将来を考え始めたんです」と川崎氏が話したことを。とても気になっていたので、失礼と思いながら聞かせていただきました。もし、みなさんの中で気になっていた人がいたら、私に聞きに来てください。