令和2年 2学期終業式

 本日12月25日(金)、2学期の終業式が行われました。全体集合がせず、放送での実施です。式では、私の話に続き、自彊会会長からの目録贈呈、各部からの話、表彰紹介、そして自治会会長からの話がありました。式の中でも話をしましたが、自彊会からいただいた投光器は、大切に使ってください。また、図書の利用についても活発に行ってほしいと思います。

以下、私の話の内容を掲載しておきます。

 令和2年も終わりが近づき、新しい年を迎えようとしています。とにかく、今年は、新型コロナウイルスに始まり、新型コロナウイルスで終わった年であったと言いたいですが、新型コロナウイルスの脅威はまだまだ続きそうです。ただ、明るい話題として、欧米を中心にワクチン開発が進み、ワクチンの接種が始まったという事があります。日本でいつから始まるかは未定ですが、少しトンネルの出口が見えてきたように思います。

 この新型コロナウイルスとどのように付き合っていくかは、世界中の誰も経験していません。経済を活性化していくこと、感染防止を強化すること、この相対立する二つのことをどう両立させていくか、世界中のリーダー達が苦悩する課題です。考えてみると、私たちが直面している新型コロナウイルスの課題は、まさにSDGsの課題であるともいえます。SDGsは、2030年を目標に17のターゲットを実現し、持続可能な社会を実現していく世界的な運動です。1年生の皆さんは、産業社会と人間の学習ですでに知っていることだと思います。このSDGsには、3本の柱があります。それは、経済の活性化、安全で安心な豊かな社会の実現、そして環境保護です。新型コロナウイルスに対する課題は、まさに、経済の活性化と安全で安心な豊かな社会の実現を如何に両立させるかという問題であるという事です。令和3年がどのような年になるか、人類の英知を結集して新型コロナウイルスに勝利できる年になってほしいと思います。

 さて、今年は体育祭も文化祭もできませんでした。その代わりと言ってはなんですが、今高祭が半日開催されました。テーマは「コロナに負けるな!」でしたね。自治会執行部の生徒たちが中心になって、そしてクラスの一人一人ががんばったおかげで、充実した取り組みなったと思います。素晴らしい取り組みでした。また、実施できるかどうか、最後まで分からなかった修学旅行も二泊三日という短縮でしたが、実施できることができました。いろいろと制約がある中でも最大限充実した旅行にしようと頑張った生徒の皆さんは、素晴らしいと思います。

  例年、実施されている様々な企画も今年は中止なることもたくさんありました。ビブリオバトルもその一つです。いつもは校内で優勝者を決め、外部の大会に出場するのですが、残念ながらできませんでした。しかし、校内の大会が開催され、白熱した大会となりました。できれば、全校生徒の前で行いたい企画です。ここで、この白熱したビブリオバトルにあやかり、私も皆さんに読んでほしい本を2冊紹介したいと思います。一冊目は、スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンという方が書いた「スマホ脳」という本です。この本の帯には、

「世界的ベストセラー上陸!最新研究が示す恐るべき真実 スティーブン・ジョブズは、わが子になぜiPadを触らせなかったのか?」

と書かれています。著者の主張は、「人類は、99%の長い間、狩猟時代を生き抜くために脳を発達させてきた。その人間の脳にスマホは合わない」という事です。事実、スウェーデンでは、若者の睡眠障害・うつ傾向が急速に進んでいると彼は言います。一方、現在の私たちにスマホは必需品となっています。彼は、スマホとどのように付き合っていけば良いかもアドバイスしていますので、一度皆さんに読んでほしいと思います。

 二冊目は、池上彰氏の「なぜ読解力が必要なのか?」という本です。スマホが人間の脳を良くない方向に導いているなら、どのような脳の使い方をすればよいのか、それを指し示してくれているのが、この本です。この本で、池上氏は自身の今までの経験の中で、どのように読解力を鍛えてきたか、そして、社会で生きていく中でなぜ読解力が必要か、そして、読解力を鍛えるために何をすべきかを述べています。やはり、本を読むこと、新聞を読むことだと池上氏は言います。この2冊の新書を契機に、皆さんも新聞・本を読んでみてはいかがでしょう。

 最後に、有り難いお知らせです。今宮高校の同窓会である自彊会から寄付を頂きます。図書館への本の寄贈とグラウンドへの投光器、ライトの設置です。どちらもかなりの金額ですが、後輩のためにという思いで寄付していただくことになりました。このあと、自彊会の会長から学校に目録の贈呈があります。

 短い冬休みですが、皆さん全員と3学期に再会できる事を楽しみにしています。健康には十分に気を付けてください。これで私の話を終わります。