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今日の新聞記事-大学入学共通テストの初日に思うこと

 1月16日、大学入学共通テスト初日。天気は曇り時々雨のようですが、大きな天候の崩れもなく良かったと思います。今日、読売新聞を読んでいると興味深い記事が載っていましたので、紹介します。

 新聞6面に「関西経済」という特集欄が掲載されていました。記事で紹介されているのは、永守重信氏。京都市に本社がある日本電産という会社の会長さんです。記事の内容は、「大学が社会で即戦力になる人材を輩出しないから、自分でやることにした」というものです。永守氏は、京都学園大学の理事長に就任し、京都先端科学技術大学としてスタートさせました。興味を惹かれたのは、今社会がどんな人材を求めているのかをストレートに表現されているからです。少し、記事の内容を抜粋したいと思います。

「日本電産で毎年毎年、何百人も採用してきたが、欲しい人材が来ない。一流大学を出ても英語すらしゃべれない。専門科目の知識も乏しい。一般教養も怪しい。企業なら、社会が欲しがる製品を開発しないと買ってもらえないのに、求める人材を大学は出してこない」

「偏差値とブランド主義の日本社会で、大学教育はすっかりおかしくなってしまった。だから、英語を話せて技術がわかり、新卒でも即戦力となるような人材を自ら育てたい」

「求める学生は、『とんがり人材』で、例えば、数学や物理だけが得意な学生を集める。そして英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ。」

「今の大学教育には『教』はあっても『育』がない。教員には『スマートフォンで調べたら分かることを教えるな』と言っている。学生のうちに社会に順応できる教養や常識を身につけさせ、『起業したい』『モーターのエンジニアになる』といった理想や夢を明確にしてもらう」

「日本電産で社員一万人のデータを分析したら、会社での実績と、出身大学に何の関係もなかった。偏差値教育とブランド主義がいかに間違っているか、世の中に問いたいと思っている」

といったような内容で、中々厳しい。会長の意見には賛否両論あろうかと思いますが、傾聴に値する内容も十分にあると思います。会長の批判は大学に向かっていますが、どんな動機で大学に進学するのかに関わっているのは、高校です。高校から大学進学する時に、何を目的に進学するのかという事が重要だと思います。国公立大学も私立大学も名の通った有名大学に進学したら安泰という時代は、もう終わりました。如何に自分の資質と能力を伸ばすかという事が問われている時代に突入しています。

 今日の大学入学共通テストにちなんで、各教育産業のコメント記事が載っていました。どうも、新型コロナウイルスの影響で地元志向が強まっているとか。この傾向自体に良し悪しは無いと思うのですが、その理由がどうも「新型コロナの影響で、キャンパスライフが楽しめない」という事にあるようです。確かに、大学でのキャンパスライフも魅力の一つだと思いますが、それ以前に大学は「教育と研究の知の殿堂」であるという事です。このことを忘れてはならないでしょう。世界の大学では、こんなことは当たり前のことです。

 例えば、中央公論2月号に「これでいいのか?日本の大学」という特集が組まれていますが、この特集の中で日本の教育学者である苅谷剛彦氏が、自身のオックスフォード大学での経験を踏まえて、欧米の大学での教育の質の高さを紹介しています。また、新型コロナウイルスが世界で蔓延する以前から、欧米の大学ではオンラインによる授業配信を行っており、様々な事情で大学に進学できない世界中の若者に質の高い授業を配信しています。こんなことを考えると、日本の若者は、何を求めて大学に進学するのだろうと考えてしまうのです。確かにキャンパスライフは魅力ですし、そこで培った経験や人脈はその後の人生に大きく影響するでしょう。しかし、大学はそれでだけではない、というよりも大学の目的は、本来もっと別のところにあると思うのです。こんな考えは、今の日本には通用しないのでしょうか?皆さんは、どう思われますか?