卒業式 答辞 卒業生代表 黒石光輝・佐藤虎太朗・田中寛希

 


 厳しい冬の寒さも和らぎ、春の訪れを感じるこの良き日に、すばらしい式典をご準備いただき、誠にありがとうございます。ご来賓の皆様、保護者の皆様、本日はお忙しい中ご臨席を賜り、卒業生を代表し、心から御礼申し上げます。
 そして、校長先生をはじめ、三年間お世話になった先生方に見守られて卒業できることをとても嬉しく思います。

 さて、このイズトリでの三年間は、私たちにとって喜びと驚きと少しの不安の連続でした。
 緊張しながら迎えた三年前の合格発表の日。番号を見つけた瞬間、友人と肩を叩き合って喜びました。しかし、そのわくわくは、日に日に難しくなっていく授業内容で不安に変わっていきました。
 そんな不安を打ち消してくれたのは、七月にあった「宿泊体験学習」です。アドベンチャーワールドで何度も何度もジェットコースターに乗り続けたり、イルカに間近でエサやり体験をしてはしゃいだり、大部屋で夜中までクラスメイトのみんなと話したりしているうちに、自然と打ち解けて、新しい友人もたくさんできていました。結束力が強くなったクラスで挑んだ秋の文化祭。いいものをつくるぞ、と意気込んでいたものの、先輩方の活躍する姿に圧倒されました。そして、感動するとともに、「あぁ、これが三学年そろってできる最後の行事なんだ…。」と寂しくも感じました。

 二年生に進級し、高校生活にも慣れた頃、待ちに待った行事がやってきました。三泊四日の北海道への修学旅行です。ウポポイ村でダンスや音楽を体感し、アイヌ文化について学びました。地味に単語あてクイズが難しかったです。フィッシングやラフティングなどで北海道の大自然も存分に満喫しました。全力で楽しむあまり、私はマウンテンバイクでの山登り中にこけてしまいました。でも、不思議と痛みは感じませんでした。
 楽しみは夜まで続きました。「今日はミールクーポンどこで使う?」とお昼からみんなで話し合うほど晩ご飯は豪華でおいしくてめちゃくちゃ幸せな時間でした。食事の後は、屋内プールを満喫したり、旅行委員が考えてくれたクイズやビンゴ大会で盛り上がったり、早朝から雲海を見るために夜通し友人と語り合ったりと眠るのがもったいなくて全力で楽しみ尽くしました。

 最終学年になり、みんなそれぞれの進路に向けて動き始めました。進路選択に悩み、履歴書作成や面接練習で先生からの合格がなかなかもらえずに心が折れそうになりながらも、同じようにがんばっているみんなで励まし合いながら取り組みました。
 同時に、学校行事にも全力で取り組みました。「一学年だけになった体育祭なんて、おもんないやろ。行かんとこうかな。」という生徒の声に反比例するように、「絶対に成功させてやるぞ!」という先生方の熱意も感じていました。先生たちのがんばりの成果もあって大いに盛り上がり、クラスの団結力も過去最大だったと思います。借り物競争で、キリンの着ぐるみを着た先生が無抵抗で引っ張られていく様子にはみんなで笑いました。その中でも特に盛り上がったのは、クラス対抗リレーです。バトンを繋ぐたびに、仲間たちから大きな声援が上がり、ゴールの瞬間は感動の嵐でした。

 秋の文化祭。「クラスで最高のものを作り上げたい」という想いから、意見がぶつかることもありましたが、その分、本番での達成感はひとしおでした。この本番での達成感や感動があったのは、毎日の仲間との練習のおかげです。バカっこいい動画の撮影では失敗が続き、挫けそうになりながらも励ましあいながら何度も挑戦したので、やっと成功した時の喜びは格別でした。友人の動画編集も格好よくて最高でした。
 舞台発表では、練習が始まる前から女子たちの取り組み意欲が高く、僕たちを引っ張ってくれていましたが、ダンスの経験が少ない男子も多く、恥ずかしさのあまり消極的でした。そんな中、「俺についてこい」と言わんばかりに踊ってくれた仲間に、勇気とやる気を引き起こしてもらい、気付けば夢中で練習をし、「この時間が何よりも楽しい」と感じている自分がいました。下校時刻になるまで仲間とダンスをした日々があったからこそ、三年間で一番感動した思い出になっています。そんな文化祭前日までの最高の日々を感動ムービーに編集してサプライズ上映してくれたクラスメイト。
 振り返ると、朝の何気ない日常も今となっては大切な思い出です。朝の教室で交わす他愛のない会話、お昼休みに友だちと食べたお弁当、放課後の帰り道での笑い声、そんな何気ない時間がかけがえのない宝物になりました。

 ここまで歩んでこられたのは、決して自分たちの力だけではありません。毎日、私たちを温かく見守り、時に厳しく、やさしく指導してくださった先生方、ありがとうございました。
 これまでおいしい食事を提供してくださった食堂の皆様、お忙しい中でも笑顔で迎えてくださる姿に何度も元気をもらいました。ありがとうございました。それから、どんな時にも私たちのことを支えてくれた家族の存在に感謝します。朝早くからお弁当をつくってくれたり、遅くまで勉強する様子を見守ってくれたり、本当に助けてもらいました。これまでは当たり前のように思っていたことが、どれほどありがたいことだったのか…。改めて気づくことができました。お父さん、お母さん、本当にありがとう。どんな時も私たちを信じ、支えてくれたことに感謝します。
 最後に、いつもそばで励ましてくれた友人たち。つらいときに夜中でも話をきいてくれてありがとう。笑わせてくれてありがとう。みんなの存在があったから、卒業を迎えることができました。忘れられない時間をありがとう。
 私たちは、これからそれぞれの未来に向かって歩んでいきます。進学する人もいます。就職して社会人になる人もいます。進路は違いますが、イズトリで得た知識や経験、そして仲間との絆はこれからの人生の大きな支えとなると思います。たとえ壁にぶつかったとしても、イズトリで学んだ「努力することの大切さ」を忘れず、一歩ずつ前へ進んで行きます。
 これまで私たちを導いてくださった全ての方に感謝し、皆様のご健康を心からお祈りしつつ、今日私たちは泉鳥取高校を卒業します。

 令和7年3月4日

 卒業生代表  黒石光輝・佐藤虎太朗・田中寛希