平成１８年度大阪府高等学校定時制通信制教育研究会総会　会長挨拶
                　　　　　大阪府高等学校定時制通信制教育研究会　会長　山口　武史
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(大阪府立成城工業・成城高等学校長)

  平成18年度大阪府高等学校定時制通信制教育研究会総会の開催にあたり、公務ご多用の中、大阪府教育委員会教育振興室副理事兼高等学校課長田中保和様、大阪市教育委員会指導部主任指導主事佐藤芳弘様をはじめ、ご来賓の皆様のご臨席を賜り、誠にありがとうございます。本研究会を代表致しまして、厚く御礼申し上げます。 　さて、定時制通信制教育は、発足以来、勤労青少年に後期中等教育の機会を保障するものとしての役割を担ってまいりました。その従来の役割に加え、今日においては、多様な生徒達のニーズに応えていく教育機関としての新たな役割の比重が、年々増してきております。
　　先日、本校におきまして定時制・�V部のＰＴＡ総会が開かれました。その際、保護者の何人もの方から、「私の子どもは、中学校時代は学校にほとんど行けなかった。今は学校に行くのが楽しいと言って登校している。そのことが親子ともに何より嬉しい」という声が寄せられました。不登校経験の生徒が新たな人間関係を構築する場、あるいは全日制課程になじめず中途退学した生徒が再チャレンジする場としての役割等が非常に大きくなっていると実感しているところです。また、障害をもつ生徒あるいは生涯学習社会進展の中で意欲的に学ぶ年齢の高い生徒等も含め、様々な思いや課題をもった生徒達が数多く在籍しているのが現状です。それ故、各校はそれぞれに工夫をこらし、生徒の健全な心身の育成・学力の定着・進路実現等、個に応じた支援を懸命に続けているところです。今後も、多様な生徒に対応した新しい教育課程の工夫や指導法の改善、キャリア教育や教育相談や特別活動等あらゆる教育活動をとおして、時代や社会の変化に対応してたくましく生き抜く力やコミニケーション能力等を育て、生徒の自立に向けた支援を強力に推進していかねばなりません。
　ところで、平成20年春を目途に、29校の府立高校の内14校が閉課程となります。
　今ここに集う学校は、再配置校あるいは閉課程校として、それぞれに異なる課題をかかえております。同時に、本研究会全体の検討課題として、14校閉課程により学校数・生徒数が大幅に減少するなかで、従来行ってきた諸活動、特に生徒秋季発表大会や実定総体等の生徒の貴重な発表の場をどのような形で継承していくのか。また、各教科や分掌の研究会活動をどうするか、教頭協会の組織・運営の有り様をどうするか。本研究会は、そのような急務の検討課題を抱え、今まさに大きな転換期を迎えようとしております。
　定通教育に係わるすべての人々が、従前以上に強いネットワークで叡知を結集し一人ひとりの生徒が希望に満ちた人生を歩めるための支援を行えるよう、また、この変革期を定通教育再構築の好機として捉え、より良き方策を検討し具現化していくことを祈念し、私の挨拶とさせていただきます。