(1) 扱う試薬の性質をよく知っていること
どんな試薬でも無害だということはありえないと思って、取り扱って欲
しい。この意味でも、実験に使う試薬がどんな性質のものかを、今一度
調べて欲しい。試薬の性質を知らずに実験を計画するのは無謀である。
目的の実験のために計画している試薬が本当に最適かは、教科書を作成するとき十分に検
討済みのはずであるが、もう一度自分なりに考えてみるのは試薬に対する自分の知識を向上
させるのに役に立つ。そして、何よりも子供と自分自身を事故から遠ざけることになる。
特に、毒物・劇物、危険物はどんな具合いに危ないのかが参考になると思う。 ここで、見
落としがちなことは、濃度がうすくて劇物にあてはまらない溶液でも、気を付けることである。
というのは、使用した溶液が衣服や皮膚に長時間ついたままだと、水分が蒸発して濃度が濃
くなっていく。その結果、知らないうちに衣服に穴があいたり、皮膚がおかされたりする。
これらのことからも、うすい溶液だからといって、安心できないことが分かる。しかし、だ
からといっていたずらに試薬を恐れる必要はない。要は、試薬の性質をよく知って、その試薬
に適した取扱いをすればよいのである。
(2) 試薬は必要最少限の量だけ調製する
実験の種類によっては、長期間前に調製した水溶液を使うと、実験がうまくいかないことが
ある。分解して変質したり、蒸発して濃度が変化したりしていることがあるからである。また、
あまり古い水溶液は、いずれ捨てられる可能性が高い。そのことは、自らの手で環境を不必
要に汚していることになる。 できるだけ実験の直前に必要な量だけ試薬をつくる習慣を付け
たいものだ。そのためには、教員が個々に実験計画を立てるよりも、学年全体で同じ時期に
実験を計画することが望ましい。そうすれば、試薬のロスだけでなく、実験に伴う準備をはじ
めとする時間やエネルギーのロスも少なくてすむ。さらに、教員同士の情報交換という利得も
ある。