第4章 試薬の保管・管理・廃棄 

     2.保管・管理について



2-1 毒・劇物の保管上の注意事項

(1) 保管する場所は、その他のものを保管する場所と明確に区分された専用の場所で、鍵を掛

 ける設備のある堅固なものであること。

(2) 保管する場所については、盗難防止のため一般の人が容易に近づけない措置を講ずること。

 学校では、薬品室には原則として生徒は入室させないことにしておく。

(3) 保管する場所に、「医薬用外毒物」、「医薬用外劇物」の文字を表示すること。

(4) 貯蔵容器および取扱い場所は、毒・劇物の飛散、漏出、流出が防止できるものであること。

(5) 水溶液や小分けしたものでも、毒・劇物に属するものは、毒・劇物の区別の表示ならびに

 保管・管理を正しく行うこと。例えば、10%以上の塩酸、硫酸、アンモニア水、5%以上の水

 酸化ナトリウム水溶液が該当する。
 
(6) 試薬を移し変えた容器についても、毒物については赤字に白色でもって「医薬用外毒物」、

 劇物については白地に赤色でもって「医薬用外劇物」の文字および名称を表示すること。



2-2 危険物の保管上の注意事項(消防法)

(1) 保管する場所は、鍵を掛ける設備のある堅固なものであることや、みだりに人を近づけな

 いことについては、上記の毒・劇物の扱いと同じである。

(2) 消防法上の危険物は、それらの性質をもとに6つの類に分けられている(詳しくは巻末付

 録を参照)。そのうち、学校の薬品室によくある物質で危険度の高いものには、次のような

 ものがある。

 ・第1類酸化性固体:塩素酸塩類、過マンガン酸塩類

 ・第3類自然発火性・禁水性物質:金属ナトリウム、カリウム

 ・第4類引火性物質:エーテル、ガソリン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、メタノール、

 エタノールなど

(3) 類の異なる危険物は、同一の貯蔵所に貯蔵しないことになっているが、学校ではきちんと

 仕切りされた別の棚に保管すればよい。

(4) みだりに加熱・衝撃を与えない。

(5) 保管場所の周辺で火気を使用したり、電気火花を発する器具を置いたりしないこと。

(6) 危険物の性質に応じ、適正な温度、遮光または換気を行うこと。

(7) 危険物を容器に詰め換えるときは、防火上安全な場所で行うこと。



2-3 試薬の管理上の注意事項

(1) 薬品室の試薬の管理責任体制を確立しておくこと。

(2) 管理項目の設定並びに定期的な点検を行い、記録しておくこと。具体的には、保管場所の

 表示、施錠、試薬の流出、飛散の有無、試薬の受入れ、使用、在庫数量の把握などがある。

(3) 管理責任者だけでなく、実験室を利用する職員全員に、実験室内の点検リスト、事故時に

 おける応急措置、関係機関への通報などの緊急連絡網についての趣旨を徹底すること。

(4) 定期的に、試薬の基本的な取扱いなどについての校内研修会を行う。