ゾウ類
- 大型で四肢が太く長い草食獣。現生にはインド象とアフリカ象がいるが、その体毛は少なく、皮膚は厚い。頭骨は短くて高く、特異な形をなす。頸は短く、鼻と上唇が著しく伸長する。5指を有し、指行性で蹄は小さい。中央の指が最大。原始的なものでは上下1対の牙(門歯)と犬歯を持つが、後世のものは門歯は上顎だけにあり、犬歯はない。3本ずつある小臼歯・大臼歯は、次々に後方の歯が前方の歯を押し出す「水平交換」をする。
- 進化段階の概略
- メリテリウム Moeritherium:始新世(体高約70cm。バクに似ている。)
- マストドン Mastodon:中新世〜鮮新世(長顎型と短顎型があり、短顎型は現在の象に似る。)
- ステゴドン Stegodon:鮮新世〜最新世(マストドンに近い仲間)
- エレファス Elephas:最新世〜現世
- コウガゾウ(黄河象) Stegodon hunghoensis
- 滋賀県立琵琶湖博物館に組立骨格がある。中国甘粛省合水県産出化石のレプリカで、中国の古脊椎動物・古人類研究所で作られ、中国以外の国では初めての常設展示である。産出層は約250万年前のもの。大阪市立自然史博物館には頭骨(〜牙)のレプリカが有り、その大きさに圧倒される。
- 牙の長さ約3m、体長約4m、体重約7〜8t(アフリカ象で5〜7t)という大型のステゴドン類。
- 同様の大型ステゴドン類は、宮城県から長崎県に至る地域で500〜400万年前の地層から産出し、「シンシュウゾウ」と呼ばれており、コウガゾウとは細部が異なる。
- アケボノゾウ Stegodon (Parastegodon) aurorae
- ステゴドン類の1亜属「パラステゴドン」の代表的なもので、更新世に栄えた。
- アカシゾウも同じ亜属。
- ナウマンゾウ Palaeoloxodon naumanni
- はじめは Elephas namadicus naumanni とされたが、後に独立の属に分けられた。
- 中国から日本にかけての温帯地域に生息し、日本では北海道から宮古島までほとんど全国に及ぶ130箇所ほどから産出が知られる。
- 最新世(氷河時代)後半に多く、日本では最後まで生き残ったゾウである。
- 野尻湖で発掘された牙は、長さ114cm、根元の太さ約10cm。組立骨格は北海道開拓記念館と国立科学博物館にある。
- マンモス Mammuthus
- 大きさは現生のゾウとほぼ同じであるが、頭骨は極端に短高で、後頭部が上方へ凸出する。牙は極度に湾曲する。身体は長くて粗い毛に覆われていた。
- 周極地方に分布し、シベリアで冷凍屍が得られ、ヨーロッパ旧石器時代後期の洞穴や遺物にその姿が彫刻されている。日本では北海道の夕張や襟裳岬などで歯の化石が産出している。