台風に伴う風の特性

 台風は巨大な空気の渦巻きになっており,地上付近では上から見て反時計回りに強い風が吹き込んでいます。そのため一般的には,進行方向に向かって右の半円では,台風自身の風と台風を移動させる周りの風が同じ方向に吹くため風が強くなります。逆に左の半円では台風自身の風が逆になるので,右の半円に比べると風速がいくぶん小さくなります。


台風17号の中心が大阪付近にあるときの地上付近の風の分布


 台風は中心付近の最大風速を「強さ」の目安としていますが,中心(気圧の最も低い所)のごく近傍は「眼」と呼ばれ,比較的風の弱い領域になっています。

 また,台風が接近して来る場合,進路によって風向きの変化が異なります。ある地点が台風の進行方向の右側にある場合は「東→南→西」と時計回りに風向きが変化し,左側にある場合は「東→北→西」と反時計回りに変化します。地形や周りの建物などの影響があれば、必ずしも風向きがこのようにはっきりと変化するとは限りませんが,風向きの変化は台風に備えて家の周りを補強する際の参考になります。

 もし,ある地点の真上を台風の中心が通過する場合は,台風が接近しても風向きはほとんど変わらないまま風が強くなります。そして台風の眼に入ると風は急に弱くなり,時には青空が見えることもあります。しかし,眼が通過した後は風向きが反対の強い風が吹き返します。台風の眼に入った場合の平穏は「つかのま」であって,決して台風が去ったことではありません。

 台風の風は陸上の地形の影響を大きく受け,入り江や海峡,岬,谷筋,山の尾根などでは風が強く吹きます。また,建物があるとビル風と呼ばれる強風や乱流が発生します。道路上では橋の上やトンネルの出口で強風にあおられるなど,局地的に風が強くなることもあります。

 台風が接近すると,沖縄,九州,関東から四国の太平洋沿岸では竜巻が発生することがあります。また,台風が日本海に進んだ場合には,台風に向かって南よりの風が山を越えて日本海側に吹き下る際に,気温が高く乾燥した風が山の斜面を吹き下るフェーン現象が発生し,空気が乾いて乾燥しているため,火災が発生した場合には延焼しやすくなったりします。


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