台風は,暴風とともに大雨を伴います。台風は積乱雲が集まったもので,雨を広い範囲に長時間にわたり降らせます。
台風は,垂直に発達した積乱雲が眼の周りを壁のように取り巻いており,そこでは猛烈な暴風雨となっています。この眼の壁のすぐ外は濃密な積乱雲が占めており,激しい雨が連続的に降っています。さらに外側の200〜600kmのところには帯状の降雨帯があり,連続的に激しいにわか雨が降ったり,ときには竜巻が発生することもあります。これらの降雨帯は下の図のように台風の周りに渦を巻くように存在しています。
1995年9月16日12時・台風第12号
「ひまわり」の赤外画像と可視画像の合成画像。台風の目の周辺の黄色の部分が発達した積乱雲と思われる。
また,南の海上から暖かい湿った空気が台風に向かって流れ込むため,日本付近に前線が停滞していると,その湿った空気が前線の活動を活発化させ,大雨となるこがあります。雨による大きな被害をもたらした台風の多くは,この前線の影響が加わっています。台風がもたらす雨は,台風自身の雨のほかに,このように前線の活動を活発化して降る雨も考慮しなければなりません。。