ヒガンバナ科Amaryllidaceae
多年草で、多くは鱗茎をもつ、葉は根生して線形。花は放射相称から左右相称、花被片は6で2列に配列される。雄しべは6、子房は下位で3室がある。
ユリ科と近縁で花の構造はよく似るが、子房が花被片の基部より下部にある(子房下位)ことで科を分ける。美しい花を咲かせる植物が多い。ヒガンバナは毎年、秋の彼岸に大量に開花するので実験用に有望かと考えたが、植物体全体が毒をもつのであきらめた。
ヒガンバナ属 Lycoris
ヒガンバナ Lycoris radiata
堤や墓地、田の畦などに多い多年草、花は9月下旬の彼岸のころに咲くのでこの名がある。葉は花が終わった晩秋に出て、翌年の4月に枯れる。葉はそう生し、厚くて光沢があり、幅7〜8mmの線形で深緑色。花茎は高さ30〜50cmで、複数の花が花茎の先端から横を向いて、輪状の花序をつくる。花弁はひどく反り返り、種子はふつうできない(染色体数 2n=33の3倍体である)。花粉を観察すると、形態も大きさもてんでばらばらである。百合根のような鱗茎をつくるが、lycorineという有毒物質を含むので、7回ほど水にさらさないと、そのデンプンを食べられない。毒物は花にもあるようで、花を分解するだけでも、眼が痛んだり唇がひりひりする要注意植物。

スイセン属 Narcissus
スイセン Narcissus tazetta
栽培される多年草であるが、ときに海岸近くに野生化する。葉は秋の終わりに伸びだし、帯状で厚く、幅8〜15mm。花期は12〜3月、苞は膜質でつぼみを包む。5〜6個の花が横向きに咲く、花被片6、雄しべ6、子房は3室。

ハマオモト属 Crinum
ハマオモト Crinum asiaticum
海岸の砂地に生える、常緑で大型の多年草。地下の鱗茎は円柱形で高さ30〜50cm、直径3〜7cmになる。花期は7〜9月、花茎は葉腋から斜め上に伸び、太くて少し扁平、高さ50〜80cm。年平均気温15度線より南に分布。種子は球形で海水に浮く。
