ナデシコ科 Caryophyllaceae

花は放射相称で4〜5数からなる、雄しべはがく片の2倍以下、花柱は2〜5、子房は1室まれに3〜5室、葉は対生。サクラソウとよく似ており、近縁であると考えられる。 春の七草のひとつ、ハコベでは2裂する花弁5、雄しべ1〜7,花柱3である。ハコベは小鳥の餌料に使われる。 人の食料としては現在は利用されないが、観賞用に栽培されるカーネーション、セキチク、カスミソウもナデシコ科の植物。

花が小さいので、分解して観察するには適さない。ただどこにでもある雑草で、しかも互いに似ているので、形態観察の練習題材として使用できる。オランダミミナグサとハコベをバットにいっぱい採集する。 生徒に、この中に2種のナデシコ科植物が入っているので、それを仕分けるようにと指示する。生徒にとっては、とても難しい実習のようである。

ノミノツズリ属 Arenaria

ノミノツズリ Arenaria serpyllifolia

道ばたや田畑にふつうな越年草、茎は細く短毛を密生する、下部からひどく分枝して高さ10〜25cmになる。花期は5〜6月、多数がまばらな集散花序につく、花弁はがく片より短い。ユーラシア大陸原産で世界各地に広く帰化している。




ミミナグサ属 Cerastium

オランダミミナグサ Cerastium viscosum

越年草で、植物体全体に毛が多く、花序は密につく。ヨーロッパ原産の帰化植物で人里に多い。


ミミナグサ Cerastium fintanum

道ばたや田畑にふつうな多年草と「日本植物図鑑」にあるが、いまや帰化種のオランダミミナグサがふつうであり、在来種のミミナグサは山際でしか見られない。茎は下部から分枝してそう生し、高さ15〜30cm。花は5月に大きな集散花序につく、花柄は5〜15mmで、開花後花は下を向く。




ウシハコベ属 Malacium

ウシハコベ Malacium aquaticum

いたる所にある越年草、又は多年草。茎はよく分枝して下部は地に着き、上部は立ち上がって高さ50cmに達する。上部には柔らかいちぢれた毛がある。花は4〜6月に多いが年中咲き、葉腋から出る花柄か集散花序につく。花柱(めしべ)を5本もつ、この科の植物を種まで調べたいなら、めしべの数を数える必要がある。




ハコベ属 Stellaria

ハコベ Stellaria neglecta

いたる所に生える1年又は2年草、茎はよく分枝して高さ10〜30cmになる。卵形の葉が対生する、花柱は3本で、花期は3〜9月。春の七草のひとつとして、七草粥に入れて食べる。「日本植物図鑑」ではStellaria neglectaをミドリハコベと呼んでいるが、ここでは近刊の「野に咲く花」にならい、ハコベと呼ぶ。分類学では学名を優先する、それにどの和名をあてるかは二次的な作業である。和名が混乱しているときには、その学名を参照するとよい。


コハコベStellaria media

「日本植物図鑑」ではハコベをStellaria mediaと呼び、コハコベもこの種の異名としているが、ここでは近刊の「野に咲く花」にならい別種として扱う。このように、植物の分類も変更されることがある。コハコベはハコベより全体にやや小型で、茎が暗紫色を帯びる。


開花したコハコベ Stellaria media



ノミノフスマ Stellaria alsine

田畑のふちにふつうな越年草、茎はそう生し高さ10〜30cm、無毛で分枝する。花期は3〜8月で、まばらな集散花序をつける。