カヤツリグサ科 Cyperaceae

単子葉植物の中では、イネ科とラン科に次ぐ大きな科である。地下茎をもち、そこからふつう3稜形の茎が出る(茎の断面が三角形である)、葉はふつう三角形の茎から三方向に広がる。下部は合生して筒となる。イネ科植物は茎の断面が円筒形で中空であるが、カヤツリグサ科植物は茎の断面が三角形で中が詰まった中実であることで区別できる。茎を途中で左右に裂いて引っ張ると、長方形の枠ができる。この形を蚊帳をつる枠と見立てて、カヤツリグサと呼んだのだろうか。風媒花で花は穂状につく、花被はないか、針状まれに鱗片状、雄しべはふつう3、心皮は3又は2、子房1室、花柱1本、柱頭はひも状で3又は2。

テンツキ属 Fimbristylis

ヒデリコ Fimbristylis littoralis

田の畦や原野の陽当たりのよい湿地に生える1年草。そう生し、茎は扁平、高さ10〜40cm。花序はやや大型の散形、多数の花穂を星のようにつける、花期は7〜10月。





カヤツリグサ属 Cyperus

クグガヤツリ Cyperus difformis

田の畦や陽当たりのよい場所に生える、湿地に生えるときは細長い地下茎を出し、乾いた所では地下茎は発達せず、茎はそう生する。茎は高さ20〜30cm、花序はやや疎で花期は8〜11月。



コゴメカヤツリ Cyperus iria

陽当たりのよい田畑や原野の湿地にふつうな1年草、多少そう生する。茎は細く比較的硬く、高さ30〜60cm、基部に2〜3枚の葉がある。花穂の多くは斜めに傾く。コゴメカヤツリ・カヤツリグサ・チャガヤツリは互いに交雑して雑種を形成するので、その区別は非常に困難である。


カヤツリグサ Cyperus microiria

田畑や道ばたにふつうな1年草、茎は単生か2〜3本がそう生する、高さ20〜50cm。基部に1〜3枚の葉があり、花期は8〜10月、花穂は約3個掌状に集まる。



チャガヤツリ Cyperus amuricus

カヤツリグサに似るが、花序が複生しない、花穂は花序の枝先に単生する。



タマガヤツリ Cyperus difformis

水田や浅い沼沢又は湿地に生える、やや大型又は中型の1年草。茎は太く柔らかくそう生し、高さ25〜60cm。葉は少数で幅2〜5mm、茎より低い。花期は8〜10月。




メリケンカヤツリ Cyperus sp.

陽当たりのよい田畑や道ばたに生える1年草、茎は数本そう生し、高さは10〜30cm。葉は少数で茎より低く、幅1〜3mm、花穂の軸ははなはだ短く、穂はほとんど掌状に見える。穂は長楕円形で扁平、花期は8〜10月。




ハマスゲ Cyperus rotundus

海岸や畑、道ばたなど陽当たりの良い乾燥したところに多い。多年草で、地中に細い匍匐枝を伸ばし、先端に塊茎をつくって増える。枝の先端から赤褐色の小穂を3〜8個つける、花期は7〜10月。




ヒメクグ属 Kyllinga

ヒメクグ Kyllinga brevifolia sub. leiolepis

陽当たりのよい湿地に普通な小型の多年草、走出枝は這って節から茎と根を出す。茎の高さ5〜20cm、花序は頂生の1個の頭花で花期は7〜10月。