マメ科 Fabaceae

がく片5、花弁5、雄しべ10、雌しべ1(子房1室)、葉は互生して複葉、ときにつる生。根に空中窒素固定能力のある根粒菌を共生させる、アカツメクサ、シロツメクサは牧草として、ゲンゲ(レンゲソウ)は水田跡に緑肥として栽培される。アズキ、エンドウ、インゲン、ラッカセイ、ソラマメ、ダイズ、それらのモヤシなどは食料としても重要。マメ科植物の花は独特の蝶型花冠をもつ、そのため雄しべ・雌しべが花弁に覆われている。

メンデル遺伝学を学ぶ際に、エンドウが自家受精することが重要であると教えられる。どうして、自家受精する性質があるのか?を知るには、マメ科植物の花を解剖することが必要である。カラスノエンドウやレンゲソウを使うと、個々の花が大きいので解剖はさほど困難ではない。ただ、アブラナ科と異なり、花弁・雄しべ・がく片がいずれも合生しているので、それを破壊せずに観察しなければならない。また合生しているがく片を1個とカウントせずに、5個が融合したとみなすことを解説する必要もある。

クサネム属 Aeschynomene

クサネム Aeschynomene indica

水田又は湿地に生える1年草、茎は直立し高さ50〜120cm、上部は中空となる。淡黄色の蝶形花を2〜3個まばらに総状につける、花期は8〜10月。




ヤハズソウ属 Kummerovia

ヤハズソウ Kummerovia striata

道ばたにふつうな1年草、茎は直立分枝し高さ20〜50cm、下向きの毛がある。葉腋に花をつける、花期は8〜10月。




ハギ属 Lespedeza

メドハギ Lespedeza cuneata

陽当たりの良い丘陵地や土手などに多い頑丈な多年草。茎は直立して分枝し高さ60〜100cm、やや木質を帯びて毛がある、葉はとても密につく。花期は8〜10月。




ヌスビトハギ属

アレチヌスビトハギ Desmodium panuculatum

比較的近年に帰化した植物で、関西には多いが関東での分布は限られている。果実は三角形の「ひっつきむし」で、駆除が大変である。根こそぎにしたくても、根が途中で切れて残りやすい。雨の次の日に、慎重に引き抜くこと。




ミヤコグサ属

ミヤコグサ Lotus corniculatus

道ばたの草地に生える多年草。茎はそう生して地に這う。花期は4〜10月、鮮黄色の花が1〜3個ずつ長い柄の先につく。




ソラマメ属 Vicia

カラスノエンドウ Vicia sativa

道ばたにふつうな越年草、茎は長さ50〜150cm、断面は方形。葉腋に1〜3個の花をつける、花期は4〜6月。


カスマグサ Vicia tetrasperma

野原や道ばたにふつうな越年草、茎は細く長さ30〜60cm、巻きひげは1〜2分する。淡紅紫色の花が長い柄の先に1〜3個つく、花期は4〜5月。



スズメノエンドウ Vicia hirsuta

道ばたにふつうな越年草、カスマグサに似て葉に分枝した巻きひげがある。白紫色の花が長い柄の先に3〜7個つく、花期は4〜5月。




エンドウ属 Pisum

エンドウ Pisum sativam

豆と鞘にアントシアンが多く紫色をしている。炊き込みご飯にすると赤飯のような色になった。




シャジクソウ属 Trifolium

アカツメクサ Trifolium pratense

ヨーロッパ原産で明治の初めに日本に帰化した、牧草として栽培される。茎には褐色の軟毛があり、直立又は斜め上に伸び高さ30〜60cm。花は枝の頂に頭状に集まって咲く、花期は6〜9月。


シロツメクサ Trifolium repens

ヨーロッパ原産の多年草で全体はほとんど無毛。茎は地上を這い、花序の柄は長さ10〜20cm。徳川時代にオランダガラス器の荷造りの詰め物として渡来した。牧草として栽培され、芝生にも使う。


コメツブツメクサ Trifolium dubium

道ばたに生えるヨーロッパ原産の1年草。細くてやや固い茎は斜め上に伸び、高さ10〜40cm、花は淡黄色で花期は4〜6月と「日本植物図鑑」にあるが、観察していると5月末には枯れているようだ。




フジ属 Wisteria

フジ Wisteria floribunda

山林中で他の木に巻きついて生活する落葉性のつる植物。花期は5月、本年の枝の先に長い花序をつける。古代から庭に植えられ、藤棚が作られる。つるは丈夫で、かごに編んだり、繊維をとって布に織る。




コマツナギ属 Indigofera

コマツナギ Indigofera pseudo-tinctoria

野原や土手などにふつうな草のように見える低木。茎は細く多く分枝し、高さ50〜90m。葉腋から総状花序を出し、花期は7〜9月。




エニシダ属 Sarothamus

エニシダ Sarothamus scoparius

庭に栽培する落葉低木、多数分枝した枝は濃緑色で無毛。刈り込まないと葉は退化して、1小葉だけとなり、枝で光合成を行うという。 花期は5月、地中海沿岸の原産でヨーロッパでは広く野生化している。枝でホウキをつくるという。



ハナズオウ属 Cercis

ハナズオウ Cercis chenensis

庭に栽培する落葉低木、小高木になることもある。花期は4月、前年又はそれより先年の葉腋に数個の花芽をつける。中国原産で、日本には 1695年には渡来していた。




ゲンゲ属 Astragalus

ゲンゲ(レンゲソウ) Astragalus sinicus

水田跡に緑肥として栽培し、開花後の5月上旬に土に鋤(す)き込む。茎は基部で多く分枝して這う、高さ10〜25cm。断面が方形の柄の先に輪状になった7〜10個の花をつける、花期は4〜5月。




クズ属 Pueraria

クズ Pueraria lobata

山野に多い多年草、根は長大でデンプンをたくわえる。秋の七草のひとつで、この根からクズ粉をとる。葉は牛馬の飼料とする。古代には茎の皮で布を織った。木にまとわりついて、枯らすことがあるので造林木に被害を与える。近年北アメリカやヨーロッパに帰化して、当地の植物相に打撃を与えているという。