ユリ科Liliaceae

がく片も着色するので、花弁とがく片の区別がつかず花被片と呼ぶ。花被片6は内外2列に並ぶ、雄しべ6、雌しべ1,子房は多くは上位で3室まれに1室。単子葉植物の進化の中心となる科で、この科から風媒花のカヤツリグサ科やイネ科、虫媒花ではショウガ科やラン科への分化が考えられる。日本産のユリ科植物は美しく、世界的にも有名であるようだ。近縁のヒガンバナ科とは、子房が花被片基部より上にあること(子房上位)で区別される。 地下茎がよく発達し、しばしば鱗茎や球茎を形成するので、食用として利用される植物が多い。例:ニンニク、ラッキョウ、ニラ、タマネギ、ネギ、ワケギ。

ヤブラン属 Liriope

ヤブラン Liriope muscari

林の中に生える多年草、根は丈夫で多数あり、一部がふくれる。茎はそう生し、高さは30〜50cm。葉は全て根から出て線形で、幅8〜12mm。ユリ科の植物であるのに、ヤブランという名はじつに紛らわしい、8月に総状花序をつける。




ツルボ属 Scilla

ツルボ Scilla scilloides

陽当たりのよい原野や、畑のふちに生える多年草。鱗茎は卵球形で高さ2〜3cm。葉は線形で厚く上面がへこみ、幅4〜6mm。総状花序を8〜9月につける。




ネギ属 Allium

ニンニク Allium sativum

原産地が不明だが、南ヨーロッパで野生化している。中国では1500年以前に西域より持ち込まれた。中国のニンニクは葉の幅が広く、葉の先端は地面に垂れる変種var. pekinenseである。日本の在来のニンニクは、変種var. japonicumで、葉の幅は中国のものより狭く、葉の先端は地面に垂れない。




ギボウシ属 Hosta

ミズギボウシ Hosta longissima

湿地に生える多年草で、葉は日本産のギボウシ属中で最も狭く、線形で直立する。花茎は高さ40〜65cm、花期は9〜10月で横向きに咲く。

オオバギボウシ Hosta sieboldiana var. gigantea

山地の草原に生える多年草、地下茎は太く短い。葉は根から出て大きく、長さ30〜90cmで葉身は卵円形。花は7月に咲くが、この写真は11月に狂い咲きしたもの。




ショウジョウバカマ属 Heloniopsis

ショウジョウバカマ Heloniopsis orientalis

山地の少し湿った土地に生える多年草、地下茎は短く、根から出た葉を多数開出して冬を越す。花茎は高さ10〜30cm、結実するときには50cmに達する。花期に新しい葉が花茎の横に出てロゼットを形成する。