司会:高田 記録:二口・山口
日時 2005年2月28日(月)15時30分〜17時15分
場所 大阪府立箕面養護学校応接室
出席 協議会委員(敬称略・順不同)
・ 上野 葉子(会長・保護者代表)
・ 小西 美恵(箕面市立ささゆり園・園長補佐)
・ 布留川 正博(同志社大学・教員)
本校職員
・ 竹内 裕幸(学校長)
・ 高田 裕文(教頭)
・ 大角 正弘(教頭)
・ 阪口 輝夫(事務長)
・ 麻生 勉 (研究推進部長)
・ 伊東 昭巳(進路部長)
・ 中村 賢次(地域連携委員会委員長)
・ 山口 正和(教務部長)
・ 真野 公平(小学部教諭)
・ 坂田 隆志(中学部教諭)
・ 二口 圭子(高等部教諭)
・
学校長あいさつ
竹内 特別支援教育のバックグラウンドは福祉関係や総務省がらみなど他の省庁との関連もあり、我々の考えている以上に大きい。その中で養護学校の果たすべき役割を考えていきたい。本日は委員の皆さんに3つの小委員会の議論も踏まえての協議をよろしくお願いしたい。
資料確認(別紙)
1.第1回学校協議会及び小委員会での提言を受けての取り組みについて報告
@ 地域連携委員会取り組み(組織作りと今後の展望)について
中村 今年度から地域連携小委員会が発足した。2006年度以降、校務分掌上に「部」としての位置付け等をはかっていく予定。「地域連携委員会ニュース」(別紙)で小委員会での議論と、いただいたアドバイスを教職員に知らせた。これをもとに「個別の支援ネットワーク表」を作成、職員会議に提案して全校的に了承を得た。将来は「個別の支援計画」「個別の教育支援計画」への発展も視野に入れている。
A 進路部取り組み(卒業後の対応)について
伊東 進路小委員会では、進路の問題は地域や関係機関との連携が重要であり高等部のみでなく小学部入学から高等部卒業まで一貫して考えていくべきであるなど、いろいろなご意見をいただいた。進路部では例年「学校での活動報告・申し送り事項」(別紙)を作成、進路先に送付している。これは「あかつき」福祉会で作成されたものを本校でアレンジし、毎年検討を重ね改訂しているものである。今年度は「高等部各学年の個別の移行支援計画」(案・別紙)の検討に入っている。卒業後の生徒一人ひとりの生活をどのように豊かにすればよいかとの観点で作成している。
B 研究推進部取り組み(人権研修・人権教育)について
麻生 本年1月に実施した人権研修(別紙参照)については事例をロールプレイした後、ディベートした。人権教育については別紙のとおり、日常的な学習や行事場面で取り組んできた。今後の課題としては人権をどういうベースで考えていくか、より具体的部分と人権意識を高めていくこと、がある。また法的な学習も必要と考えている。
2.質疑応答及び意見
●上野 報告にもあったが進路・地域・人権がともに重なり合っている部分がある。地域・進路ともにそのベースに人権がある。3つの小委員会の連携が今後必要になってくるのではないか。個別に話し合っているだけでは行き詰まりがあるように思う。
●布留川 全体の協議会と新しく3つの小委員会がもたれるようになったのが今年度の新しい方向かなと思った。自分は進路小委員会に参加したが、3小委員会はやはり関連しあっていると思う。 地域の資源の活用をはかるために、外部との連携や地域との関連が大切。学校が出来ることと出来ないことがある。外部との連携をうまく保ちながら、障害者の一生にわたるステップアップを考えていく必要がある。具体的な実践の場で、学校が一定の役割をはたしていくべきだ。
●小西 皆さんおっしゃっているように、連携していくことが大切だと思う。進路にしても生活をベースにした支援が重要。地域を巻き込むことは大切だが、やはり学校の教員がキーパーソンになるべき。卒業後はそれぞれの進路先が担うことになるが、全体としてはやはり学校がそうあるべき。教職員の皆さんには、子どもたちが使うサービスのキーパーソンになると意識してもらいたい。「ネットワーク表」は、入学時に保護者に書いてもらうのがベターではないかと思う。
●高田 ネットワーク表については4月からスタートする方向で考えているが、何かご意見を頂けるとありがたい。
●大角 使い方についても説明を。
●中村 担任がキーパーソンとしての役割を果たすうえで活用できると思う。また生徒が抱えている課題を把握し解決する方向にもっていく上でも役立つ。学校全体としての問題を解決するために
も役立てたい。左側の表については、保護者にも役立ててもらってもよい。どれくらい情報が書き込まれ集めていけるか分からないが、教員にとって役立つことが集められると期待している。学校でできることと出来ないことがあると、進路小委員会でも指摘された。学校は教育に関わる支援に限られてくる。学校がキーパーソンとしてできることは、教育の支援でありコーディネートである。それにネットワーク表を役立てていきたい
●布留川 「個別のネットワーク表」については、親を中心とする学校外での子どもについての情報はこれで分かると思う。しかし「個別の教育プログラム(IEP)」から言うと、これはその一部に過ぎない。学校での教育と外部での支援が一体となって一人ひとりの子どもについての情報が集積されるだけでなく、次のステップアップした目標が作成されることが重要。ネットワークとプログラムのドッキングが必要ではないか。
●中村 「個別の教育支援計画」「個別の支援計画」といろいろあるが、今言われた方向に行くイメージだ。
●布留川 進路についても関連している。卒業後のステップアップした目標につながっていくのかなという感じがしている。
●中村 移行支援計画は労働の分野から出てきているようだが、企業では上司がキーパーソンになるのは難しいのではないか。そういう意味からもやはり学校側がキーパーソンにならざるを得ないのではないか。
●伊東 学校としても全ての生徒をできるところまで支援(アフターケア)していかなくてはと考えている。個別にあたっていくのみではなく、関係者が一堂に会して協議していくのが本当の支援につながるのであり、学校がその役割を担うべきではないか。そのためにも小学部の時点から取り組んでいくことが必要。個別の支援計画を見通した形での教育計画をプランニングしていく必要がある。
●布留川 現状は担当者が外へ出ていってその過程でネットワークを作っていっている。新しい取り組みとして最近活躍を始めているジョブコーチがある。吹田の「ぷくぷく福祉会」など、仕事を教えたり支援したりまた就労後のトラブルの解決を支えたりしている。しかし学校は校内の仕事もあってそこまで一貫したことはやれないので、外部の社会的資源に頼らざるを得ない側面がある。
●小西 箕面養護の教員一人当たりの子どもの数は何人くらい?
●竹内 小学部はマンツーマンに近いが、高等部では1対2人くらい。福祉の現場よりは優遇されている。進路については以前からずっと同じ課題を持ち続けている。私個人も卒業後の様々な問題(家で荒れる・友だちがいない等)に具体的にぶつかってきたが、学校には限界もある。ジョブコーチをはじめ様々な職種も出てきたが、「生活コーチ」といったものが必要と感じている。
●小西 アメリカなどではその人の一生をコーディネートする人がいて途切れることのない支援があるようだが、日本ではまだそれはない。何もかもなげうってとはいかないだろうが、少なくとも学校にいる間は教員がキーパーソンにならなければと思う。
●竹内 資料を集めただけではだめだろうが、学校は少なくとも子どもに関わる情報を把握している必要がある。
●小西 小学部の保護者は、そこまで進路に関心がないのでしょうか。
●上野 生活上の情報を集めるので精一杯という現状がある。考えてはいるけれど動けない親もいる。兄弟・姉妹がいれば地域との関連、付き合いもあるがそうでないと難しい。わたしの場合は、そういうことを考えて居住地校交流をすすめてきた。
●布留川 日本の学校では担任も替わるし、これまで蓄積してきた情報を親が一から話していかなければならない。
●竹内 アメリカにはそういったことに対応できるものがありますか。
●布留川 市役所等にいくとそういうセクションがあって、情報が保管されています。日本では学校に全て任せている感じ。
●大角 家族の支援に頼るのではなく、行政による生活を組み立てるケアマネジメントの育成等が必要ではないか。
●伊東 府教委は毎年5日間かけてケアマネの研修会を持っているが、24時間見てもらえる支援センターが必要。在学中はそういうところへつなげていくことぐらいしか学校には出来ず、本来のケアマネージメントには到底届かない。
●竹内 市町村は国の方針に左右されているのが現状だ。地域連携委員会は頑張っているが、保護者から信頼されるようになれるかが課題。データを集めるだけでなく、保護者の願いを充分聞き取っていけることが大切。その力をつけなければいけない。今の方向を進めながら見守っていきたい。
●布留川 行政には余り期待できない分、つい学校に期待したくなる。教員と親が連携してやっていかざるを得ない。
●高田 具体的な提案や要望があればお聞かせいただきたい。
●小西 確かに私たちのような施設から見ると、教員一人当たりの子どもの人数は恵まれている。しかしそれはプラス面のみでなくマイナス面もあるように思う。できることが増えることも重要だが、全てを手伝うのでなくひとりでできることを見極めていくことも大切。そこまで手伝わなくても自分でできるのでは、ということが施設に来所されてから気づくことが多い。全てをサポートしすぎるのではなく、少しの支援で達成感を味わわせる教育も大事と思う。
●布留川 学校には当然カリキュラムがあるが個別課題が多いように思う。カリキュラムの中に、移行支援教育とかネットワーク表のようなものを反映させてほしいと思う。イギリスでの経験では料理の時間が週1回あって、日本の料理の紹介をといわれてお好み焼きを作って食べてもらったことがある。本校では買い物学習などもされているが、そういう現実の生活に密着したお金のやり取りなどもカリキュラムの中に入れてほしい。本人も関心をもっている。
●竹内 調理実習は本校では年に数回の実施程度?
●二口 それくらいですね。O−157の問題があってから、とてもやりにくくなっている実情があります。
●大角 知的障害の養護学校と肢体不自由の養護学校では、少し事情が違う面もある。知的障害の場合は校外へ出かけていくことが多いが、肢体不自由の場合はサポート体制のこともあってちょっと難しい側面もある。
●中村 本校でもやっていますが中学校から来る生徒さんの場合、教育相談の時から親御さんは勉強をしっかりやってほしいといわれる。覚えてもすぐ忘れてしまうので…とか、早く計算ができるようになってひとりで買い物ができるようにというのが親の願いだが、計算は出来なくても社会は信頼の上で成り立っているわけで財布さえもっていけば買い物は出来ることもある。私たちとしては子ども自身の「何かほしいものがある。買いたいものがある」という意欲と気持ちを育てることが大事と考えており、そういう意味では保護者の要望とは齟齬がある。
●竹内 保護者の皆さんが本当に願っているのも、実はそこだと思う。
●高田 人権小委員会のことが話題になっていないが、何かあればお願いします。
●上野 見ている人は見ているが、やはり具体的にやっていることを示してもらわないと分からない。親の側からいろいろ聞こえてくることはあるが、先生たち自身の人権についても考えていただく必要がある。子どもの人権と同様、先生方の人権も大切だと思う。
●麻生 人権の問題はまだまだ課題。資料についても、もっと具体的に作っていく必要がある。
●小西 うちの場合は18歳以上の方が来られるので子ども扱いしないようにというのが大前提。学校では小さい時から見てきているので、いつまでたっても「子ども」という意識がぬぐいきれないのも無理からぬことだが、年齢相応の対応が大切だと思う。
●布留川 自分も大学で人権教育の担当をしているが、難しい。障害者の場合、障害者・健常者という分け方にも問題がある。レッテル貼りがずっと付きまとう。社会的な制度の問題とか、大きな課題がある。「ダウン症の○○」ではなく、フルネームを持つひとりの人間としての理解が徹底していない。親としての自分も我が子に対して「障害者」という意識があった。それがひとりの障害者との出会いによって、丸ごとの人間としてずっと関わっていきたいと思うように変われた。
●竹内 治すべき人間=障害者という意識が昔はあった。障害を無くして健常者に近づけるという発想に問題があったと言われるようになってきている。理念の構築が難しいが、そのあたりからしっかり捕らえていく事が大事。以前、養護学校の見学者に「作業学習とかではなく、自分はひとりの人間だということを実感できる人権に関する授業を見たい」と言われたことがある。そういう授業を本校でも望んでいる。
3.来年度に向けて
●上野 昨年・今年と2年続きで参加してみて、今年は小委員会など一歩進んだかなという印象がある。学校も少し動き出したかなと…しかし道のりはなお遠いという感じ。小委員会では全員がそろわなかったところがあるのが少し残念。
●布留川 IEPと移行支援計画をリンクさせて、個別指導プログラムを充実させるためのモデルケースを作っていく必要があるのではないか。それを協議会や小委員会で練り直していけないものかと思う。
●竹内 モデルつくりについては、教頭中心に近隣の養護学校や教育委員会に呼びかけているのだがどうも動きが悪い。
●大角 ブロックごとで動けるように投げかけているのだが…
●竹内 やはり行政間の壁が厚いと感じている。
●小西 地域連携小委員会に参加したが、ネットワーク表を作っていただいた。今後これに基づいて事例報告をしていただき、IEPにつなげていければ良いと思う。
●竹内 身体障害者雇用納付金の徴収といった制度から、障害者を積極的に雇用して障害者本人にも働き、税金も払ってもらうようにしていこうというような方向に障害者施策全体が大きく変わっていく。具体化についてはいろいろと困難な面はあるだろうが、その方向性に間違いはない。学校も生徒の社会参加に向けてどう役割を果たしていくのかが大きな課題。それに貢献できなければ、養護学校としての意味がない。そういう意味でも今日はよい勉強をさせてもらった。委員の皆様には、一年間ありがとうございました。
以上