活動記録

Report

<特別プログラム>
国際文化科1年「国際理解」特別授業(1)『高校生の日常と国際的な課題のつながり』

Special Lesson (1) | 1st-year students

2017年6月20日・21日

June 20 and 21, 2017

国際文化科1年「国際理解」特別授業(1)『高校生の日常と国際的課題のつながり』

ヒューライツ大阪から松岡秀紀氏をゲスト講師にお迎えし、「国際理解」特別授業(1) 「高校生の日常と国際的な課題のつながり ~チョコレートと児童労働~ 」を実施しました。チョコレートと児童労働のつながりを例に、市民・企業・政府・生産現場がバリューチェーンを介してどのようにつながっているのかを伝えていただきました。 Facilitated by a guest lecturer, Mr. Hideki Matsuoka from Hurights Osaka, 1st-year students had a workshop. Learning how chocolate sold in Japan is connected to the problem of child labor in Ghana, students thought about the links between their everyday life and global issues.

1. 対象

第1学年 国際文化科160名

2. 実施日

6月20日(6,7限)、22日(5,6限)

3. 位置付け

  • 総合的な学習の時間「国際理解」の中での取組み。SGHで取り上げる課題を導入する。
  • 年度後半の諸課題考察の際には、この授業で得た「日本と世界とのつながり」を生徒たちが意識して取り組むことができるよう指導していく。

4. ねらい

  • 日本の高校生の日常生活が国際的な課題とつながっていることを知る。
  • 課題の解決のためにNGO・企業・国際的な枠組みによる取組があることを知る。

5. 実施内容

①形 態

国際文化科1年生全員(160名)対象に, 「国際理解」の授業で, クラス単位で各1時間

②講 師

松岡秀紀氏(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター特任研究員)

③指導上の工夫

  • グループワークを取り入れる。そのため、図書室で実施する。
  • SDGsとの関係を考えるワークを行う。17目標が1つずつ書かれたカードのセットを班の数用意する。

④指導の手順

(1)4人グループを作り着席(授業開始前に指示)

(2)講師自己紹介

講師紹介

(3)自分のまわりの現実と世界の現実

<個人ワーク>
ワークシートを記入し、数名が全体で共有
→世界の現実(諸課題)を紹介(水不足、IT化、宗教の対立、気候変動など)
これらの問題と自分の生活がつながっていることを確認する

(4)「つながり」の具体例としてDARS

<グループワーク>
グループでワークシートを記入し、全体で共有

ワークシート項目
  • DARSの材料は何?
  • DARSを作る人は誰?
  • DARSを食べる人は誰?

→1チョコfor 1スマイルの紹介

DARSの外箱の裏面

(5)児童労働の現実

児童労働解決に取り組むNGOであるACEのHP画像等を使いながら、世界には学校教育の機会を失って、児童労働に従事する子どもが多く存在することを確認する

(6)企業の社会的責任(CSR)

森永製菓、Panasonic、ファミリーマートの例を提示しながらCSRを解説する
1チョコfor 1スマイル(森永)については映画『バレンタイン一揆』の予告編も紹介する
→企業やNGOの役割を「セクター」という考え方から解説する

(7)持続可能な開発目標(SDGs)

国連広報センターの動画を用いて紹介する

<グループワーク>
SDGsの17の目標から、最も重要だと考えるものをグループの話し合いの中で4つ選びだす。
その後は各グループが選んだ理由とともに全体に紹介する。


グループワークの様子


グループの中での話を全体に紹介

(8)本授業のまとめ

  • 「自分」はバリューチェーンを通じて「世界」とつながっている
  • 見ようとしないと見えない「現実」もある
  • 社会的諸課題の解決に向けて、企業、NGO、国連などが取組んでいる
  • 国際社会ではSDGsの取組みが行われている

6. 生徒の反応

<あなたが「勉強になった」「そうだったのか」と思ったのはどういう点でしたか>
  • 遠い国の問題で、いつも他人事で聞いていたが、児童労働の問題と、私たちがよく食べているチョコには関係があり、私たちも児童労働という問題になっているかもしれないということ。
  • 児童労働者が、日本の全人口を超えるほどいること。
  • 私たち個人個人は世界規模の出来事とはあまり関係ないと思っていましたが、実はつながっているんだと思いました。例えば、貧しい国々への募金や今のところの日本では起こっていないテロもいつ起こるか分からないものなのだと改めて思いました。
  • 自分達の身近にある物が世界にまでつながっていて、本当にくさりみたいですごいなと勉強になった。
  • ダースを例にして、児童を働かせないようにしようとしてダースの購入をやめると、その児童も家族も貧困になり大変になることがわかった。だから児童労働の問題は複雑だと感じた。
  • どんな進路を選んでも(NGOとか国連とか直接そういうものじゃなくても)国際的な問題を解決していくための機会があるということ。
  • フェアトレードという言葉は知っていたが、実際何が行われているのかよく知らなかったので、アフリカのカカオ農園で働く子供たちを見て、現実を知れたことが勉強になったと思う。
<あなたのこれからの生活に変化が起きるとしたらどんなことでしょうか>
  • 発展途上国で作られている食べ物の原料についてもっと知り、知識を深めていきたいと思う。
  • 買うだけで寄付できるとか、小さなことからでも、世界の誰かの役に立てることを積極的にしていきたい。
  • 少しでも世界で起きている課題について考え、できることを積極的に始めようという気持ちになった。
  • 自分が買った者がどのようにつくられているのかを調べること。
  • 明日からできることだったら、少しでもニュースを気にするとかだと思う。時間をかけてやることだったら、世界に少しでも貢献できることを探してやる。

7. 評価

  • DARSやカップヌードル(20日のみ)など身近な商品を例に出しながら授業の導入をおこなっていただいたので、生徒の興味・関心も引くことができていたように感じる。
  • また今年度は、昨年度の内容に加えて行ったSDGsのグループワークを通じて、生徒が今回の授業内容とSDGs各目標とのつながりを考える機会を与えていただけた。生徒の感想の中にも、「世界と自分とのつながりを理解できた」などが多くみられ、今回のねらいを達成できたと考えられる。
  • この授業で学んだことを「国際理解」の年度後半、また来年度の「探究」に活かしてくれることを期待したい。

「国際文化科1年「国際理解」特別授業(2)『多様な立場から社会課題を捉える』」ページへ