前回、初夏の花としてミヤコグサとナワシロイチゴをご紹介しましたが
同じ日に撮影した花がスイカズラです。
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学校の外側のコンクリート壁にスイカズラは漢字では「忍冬」と書きます。この字を見て思い出すのは「忍冬唐草文様」でしょうか。古代の工芸品などに見られる装飾の一種ですが、この植物のツルが伸びてからんでいるようすとイメージ的に重なります。
…という風に漠然と考えていたんですが、実はちょっと違うようです。
唐草文は「花や葉をつけた茎や蔓が連続する文様」(国史大事典)で、忍冬文の他に葡萄文など色々な種類があるようです。
忍冬文の原型になったのは古代エジプトのロータス(睡蓮)系の文様や、その側面形から生まれたパルメット(2本に分かれた渦巻の分岐点を中心に扇形にひらいた形:平凡社世界大百科事典)と呼ばれる文様です。
パルメットは東方へと伝わり、ギリシアでは連続させて流れるような構成が生まれ、中央アジアでは単純化された半パルメットが行われ、中国・朝鮮を経て日本へも伝わりました。これが「忍冬唐草文」と呼ばれているものです。
→ ギリシアのパルメット 半パルメットの唐草文様 イラストはどちらも「世界大百科事典」から私が模写 さて、右上の半パルメット文様と下のスイカズラ(忍冬)の写真を見比べると、形が似ているというのはどうやら蔓(ツル)ではなく花の形のように思えます。
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もっともパルメットについては、「現在では必ずしも忍冬(スイカズラ)の模倣によって生じたのではなく、空想的な植物文様とみる説が有力になっている」(世界大百科事典)とのことです。