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   大阪府立少路高等学校 第24回 卒業証書授与式 式辞

校庭の紅梅、白梅も咲き誇り、春の香の感じられるこの良き日、本校第24回卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、日頃から本校の教育にご理解とご支援を頂いております多数のご来賓の皆様にご臨席を賜り、卒業式を一層お引き立て頂きまことにありがとうございます。高いところからではございますが、最初に心から御礼申しあげます。

また本日ご出席の保護者の皆様、ご家族の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。ご誕生から今日まで、数々の困難を克服し、安全を守り、躾に心を砕きながら、こんなにもたくましく育てられました保護者の皆様のご努力に深い敬意を表しますとともに、本校教職員を代表して心からお祝い申し上げます。
 さて、ただいま栄えある卒業証書を授与いたしました219名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんはこの少路高校に入学して今日まで真面目に努力を重ね、所定の業を終えて、ここにめでたく本校を巣立つことになりました。心からお祝い申し上げます。

この晴の日にあたり、これまでの長い間、皆さんを育み支えて、今日という日を待ち望まれた保護者の方々に対して、皆さんには改めて感謝の気持ちを表して頂きたいと思います。一人の人間が幼少のころより本日の皆さんのように成長するまでには、ご家族を始め周囲の人々の温かい眼差しが絶えず皆さんに注がれて来たからです。本日、授与された卒業証書を見つめながら、その長い道のりを振り返って、お世話になった人たちを思い起こし、深く感謝する日となってほしいと思います。

皆さんの門出に際し、私から贈る言葉が二つあります。

一つは、「牛になって人間を押せ」という言葉です。これは、夏目漱石が、今から90年余り前の大正5年に、弟子の芥川龍之介に贈った手紙の中の言葉です。手紙の一節を紹介します。「牛になることはどうしても必要です。われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなり切れないです。あせってはいけません。根気ずくでおいでなさい。」「牛は超然と押していくのです。人間を押すのです。」

漱石は馬のようにスピードを出して走って、短期間で結果を出そうとしなくていい、大事なのは、牛のように根気強くこつこつ努力することだと伝えています。

これは、私がこの一年間皆さんに語りかけてきた、「目標を掲げ、それに向かってチャレンジしてほしい、精進努力する姿勢をもってほしい」ということにつながります。

現在、我が国は百年に一度といわれる世界的な経済危機に直面し、雇用を始め国民生活に直結する数々の課題を抱えています。また、世界に目を向ければ、気候変動や資源・エネルギー問題、貧困問題など、地球規模の課題が山積しています。

こういう時代だからこそ、人生をいかに生きるべきか、自分自身とは何かを問い続けなければなりません。自分が本当に何をしたいのか、目標を正確に見つめて、自分の言葉、志として持っていれば、それが必ず支えになってくれます。目ざすものが見えてくると、自分を他の人と比べて気にして苦しむようなことはなくなります。自分の声を信じて、皆さんの志を育ててください。

次に、もう一つの贈る言葉は、「ありがとう、24期生」です。皆さんは少路高校最後の卒業生として本当によく頑張りました。心からお礼を言います。後輩のいない高校生活でしたが、体育大会も文化祭も、皆さんは頑張っていくつもの役割をこなしながら、協力して大いに盛り上げてくれました。部活動でも部員が少ないことや技術指導専門の顧問がいないという環境の中で、様々な工夫をして活動してくれました。最後の生徒会役員選挙で、「少路高校最後の年、高校生活最後の年、生徒会行事を盛り上げてよい想い出づくりをしたい」という所信表明をした役員を中心に様々な活動を立派にやり遂げました。皆さんの元気と明るさと笑顔は、私たち教職員のエネルギーの源でした。

特に、私たちを励まし、感動を与えてくれたのが、今日、皆さんが歌う「想い出ブレンド」でした。昨年の夏、軽音吹奏楽部が「学校によい思い出を残そう」と作詞・作曲しました。

                                                         

朝の学校 変わらないみんな

笑ってる顔 眠そうな顔も

教室についた時の安心感

これからも忘れはしないだろう

 

   ここでみんないっぱい笑って いっぱい泣いたね

    でもそれは一人じゃなかった

   支えてくれたから

 

放課後 見上げた夕焼けの空

みんな並んで おりた坂道

いつもキラキラ みんなの笑顔

これからも忘れはしないだろう

 

   いつもみんながそばにいてくれたから 私はここにいます

    でもそれは当たり前で

   特別でした

 

 

 

 

 

 

      緑あふれて    少路の

      まなぶ若葉の   胸から胸へ

      かおる希望の   道踏みしめて

      見よ見よ     きたえる力

      青雲高く     伸びゆく意気を

 

 

   もうすぐなくなってしまう校舎にも

   いろんな思い出でいっぱいだよ

   ここまで来れたのは みんなのおかげ

   今こうしていることが幸せ

 

放課後 見上げた夕焼けの空

みんな並んで おりた坂道

いつもキラキラ みんなの笑顔

これからも忘れはしないだろう

 

   LaLaLa・・・

 

       これからも忘れはしないだろう

 

この歌詞を口ずさむと、24期生の純粋で健気な姿が一つ一つ浮かび上がります。この歌には、少路高校での一日一日の生活の想い出がいっぱい詰まっています。友達の笑顔が歌われ、感謝の気持ちが込められています。そして皆さんにとって安心できる場所、居場所になっている、少路高校、少路高校を思う優しさが満ちあふれています。特に私が素晴らしいと思うフレーズは、

「いつも みんながそばにいてくれたから 私はここにいます

でも それは当たり前で 特別でした」

こんな皆さんのことをPTAの友野会長は、「24カラットの輝き」と称えてくださいました。

昨年は、日本人がノーベル賞を受賞し、今年も日本映画がアカデミー賞に輝いたという明るいニュースがありました。私なら、この「想い出ブレンド」に音楽界の最優秀賞、グラミー賞を授与したいと思います。

この曲を作ってくれた軽音吹奏楽部の皆さん、本当にありがとう。そして、今日最後に歌ってくれる24期生の皆さん、本当にありがとう。

最後になりましたが、保護者の皆様、本校の教育活動に対しまして格別のご協力、ご支援を賜りまして本当にありがとうございました。特に今年度は、皆様から「悔いのない仕事をしたい、生徒のため、同窓会のため何でもお手伝いします。」というお言葉を頂いた通り、学校行事をはじめ、サンクス少路デーに大きく係わっていただきました。PTAと学校の楽しい連携でした。

今日も「二十四期生卒業おめでとう」と「ありがとう」の垂れ幕は、PTAの皆様の手作りです。サプライズとして、昨日夕方飾ってくださいました。本当にありがとうございました。

さて、少路高等学校は本日、千里青雲高等学校に引き継ぎ、3月末閉校します。寂しさは計り知れないものがありますが、皆さんとともに、少路高校の最後の日々を過ごし、旅立ちの日を迎えることを心から誇りに思います。

皆さんのその前途に幸多いことを心からお祈りして、卒業式の式辞といたします。

 

平成21年3月3日        

大阪府立少路高等学校長       笹山 幸子