図書館見学記

関西大学総合図書館見学の記録
2000.12.20.実施

参加者の集合写真 今年も図書館見学会を実施した。行き先は、関西大学総合図書館で、1・2年生の 図書委員を中心に生徒10名と教員3名が参加した。司書の懇切丁寧な説明と案内、 図書館ホールでのビデオ視聴など、1時間半の楽しい時を過ごした。以下は、関大図 書館の紹介と見学の感想である。

 西欧の場合、「 library college 」という言葉があるように、図書館は大学の中 心であり、図書館あっての大学である。関大の総合図書館は正門を入ってすぐ左にあ り、キャンパス全体の中央に位置している。地下2階、地上3階建て、蔵書数169万 冊の大図書館である。まさに、「 library college 」と言える。地下は書庫、1階 は研究者用のスペース、2階は学部学生のための学習スペース、3階は自習スペース となっている。 入館ゲート KOARA見学 KOARAの画面 利用者は先ず機械にIDカード(学生証)を入れ、入館する。多くの蔵 書の中から目的の本を選ぶのは難しく、コンピュータの蔵書検索システム(愛称 KOALA)を利用して、探し出す。2階の開架閲覧室に本が無い場合は、ファックスで 請求を受けた係員が、地下の書庫から自走式図書搬送装置を使って地上に届ける。関 大の図書館に本が無い場合は、CD−ROM検索やオンライン情報検索を利用して国内・ 国外の情報源にアクセスし、目的の資料を探す。図書館は、全世界の図書館とつな がっていると言える。又、KOALAは、館外のパソコンからも検索が可能で、自宅から も旅先からも利用できる。いつでも、どこからでも、検索が可能で、資料によっては 閲覧が可能である。言わば、「電子図書館」になりつつあり、壁や建物を超えた図書 館が生まれつつある。
関大の図書館は又、従来の本・雑誌・新聞以外に、フィルム・ビデオ・CD−ROMなど も収集している。文字だけではなく、映像・音響も収集の対象なのだ。新たな分野の 資料の収集が進めば、従来の図書館の枠を超えた図書館が誕生する。博物館や公文書 館、歴史資料館との区別がなくなるのかもしれない。 百科事典によれば、紀元前7世紀頃のアッシリア(現在のイラク)で、図書館の原型 が生まれた。古代のエジプトでは、パピルスの家と呼ばれた図書館が存在した。古代 のローマ市には、30館ほどの公共図書館があった。これらの古代の図書館から、つい 最近のものまで、図書館の収納物と言えば本が中心であった。哲学者・数学者のライ プニッツ(1646−1716)は、有能な司書であったらしい。蘭学者の青木昆陽(1698− 1769)や探検家の近藤重蔵(1771−1829)は、徳川家康が江戸城内に設置した紅葉山 文庫の書物奉行として活躍したらしい。彼らは本と格闘しながら空想をめぐらし、各 方面で大活躍をした。もし彼らが現在の「電子図書館」を利用できたら、どんな画期 的な業績を残したことだろうか。何れにせよ、今までの本中心とは異なる、新たな図 書館が誕生しつつある。
開架の雑誌類 AVコーナー CD-ROM検索  関大の図書館の年間予算は7億円だとか。継続してとっている雑誌類は約8千冊。 1年間で約6万冊の本や雑誌が増えている。2階や3階には、電卓やワープロが使え るコーナーやAVコーナー、落ち着いた感じの一般閲覧室や明るいグループ閲覧室な ど、学習できるスペースが数多くある。机の数で言えば、2千を超える。羨ましい環 境である。普段は約4,5千人の学生が入館するらしい。しかし、本日は空席が目 立った。今日だけの特殊事情かもしれないが、何かもったいない気がした。大学生の 「活字離れ」が予想以上に進行しているのだろうか。  我が校の生徒も例外ではない。読書の苦手な生徒が、確実に増えている。将来の図 書館はどうあるべきなのかを、考えさせられた1日であった。
エントランスの吹き抜け

2000.12.21. T.T.


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