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大阪府立むらの高等支援学校

Murano High School for Special Needs Education

枚方市村野西町60番1号

TEL: 072-805-2327

FAX: 072-805-2733



◆校長あいさつ



< 大阪府立むらの高等支援学校 平成二十九年度第三回入学式 校長挨拶 >



 温かい春の雨に濡れ、村野の駅前の桜が、いっそう美しく満開の時を迎えました。この佳き日に、第3回の入学式を執り行えること、大変うれしく思っております。

 第三期生の生徒の皆さん、そして保護者のみなさま。ご入学おめでとうございます。生徒の皆さんは、いよいよ本日から新たな学校生活のスタートを切ることになります。

 ご存じのとおり本校は、「就労を通じた社会的自立をめざす学校」です。「この就労を通じた社会的自立をめざす」とは、どういう意味でしょうか。少し難しい言葉ですので、今から生徒の皆さんに説明をします。社会的自立」の「自立」とは、自分ひとりで出来ることです。例えば、朝、保護者の方に起こしてもらわなくても、自分で目覚ましをかけて起きられること。ひとりでネクタイやリボンをつけて制服が着られること。ひとりで学校や会社に電車に乗って通えること。昼食のお弁当を自分で買えることなど、暮らしていくうえで必要なことを自分で出来るようになること。これを「自立」といいます。加えて「就労を通じた社会的」という言葉がついています。つまり、この学校は、みなさんが卒業した後に、就職をして自分でお金を稼ぎ、健康で心豊かに地域社会で幸せに生活が出来るようになることを目的に学習をする学校だということです。

 ところで、この学校に在籍する先輩や、本日入学したみなさんには、それぞれ出来ない苦手な事があると思います。この出来ない状態を「障がいがある」といいます。皆さんに知っておいて欲しい大事なことは、「障がいがある」ことで、不便はあるかもしれないけれど、「障がいがあることは、決してあなたが悪いということではない。」ということです。

 「障がいがある」ということは、特別なことではありません。なせなら、世の中には完璧な人などいないからです。私にも苦手なことがたくさんあります。また歳をとって高齢者になっていくと、世の中の全ての人は、出来ないことが増えていくものです。多かれ少なかれ世の中の人は皆、「障がい」とは無縁ではないのです。また、「障がいがある」状態、苦手なことは、ひとりひとり違うものです。例えば、ネクタイやリボンが上手に結べても、人の顔を見て挨拶をするのが苦手な先輩がこの学校にはいます。逆にネクタイやリボンを結ぶのが苦手でも、人の顔を見て挨拶するのが上手な先輩もいます。このように皆、苦手なことが違うことを知っておいてください。この学校に在籍する全ての生徒のみなさんが、お互いの苦手なことを知り、理解しあうことが出来れば、許しあい、助け合って楽しい学校生活をスタートできるのではないでしょうか。

 さあ、そのような考え方をまず知ってもらって、皆さんには、「自立」にむけて、今、出来ていない苦手なことを少しでも改善・克服できるようにチャレンジしていって欲しいと思います。人と比べる必要はありません。自分のスピードと自分の出来る方法で、授業や職場実習、学校行事に精一杯取り組んでいって欲しいと思っています。

 この学校の校歌の1番には、「一人ひとりが勇気を出して」という歌詞があります。自分の出来ない事、苦手なことを先生に伝えましょう。先生は、出来ないことをどのようにしたら出来るようになるか、一緒に考えて応援してくれます。どうしても出来ない時は、代わりの手立ても相談に乗ってくれます。「自立」のためには、出来ないことを伝えて相談に乗ってもらうことが早道です。学校生活の最初は心配事もたくさんあるでしょうが、わからないことは、そのままにせず、「わかりません。」と伝えてよいので安心してください。

 皆さんは、それぞれ、かけがえのない素晴らしい人です。若い力にあふれています。今日から出会う先生、友達、地域の皆さんや、職場実習でお世話になる会社の人などと、たくさん知りあいになり、自分の良さをアピールしていってください。

 保護者のみなさま、我が国では「障害者差別解消法」が昨年施行されました。この法律では、「合理的配慮の不提供」を禁止しています。たとえば、足の不自由な人や車いす利用者が身体の障がいのない人と同じように階段の段差を越えられるよう、エレベーターやスロープを設置するなどの「基礎的環境整備」また、「合理的配慮の提供」が法律で定められたということです。それでは、知的障がいのある人にとっての段差を解消するためには、どうすればよいのでしょうか。

 本校では、「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」がそのツールになると考えています。お子様の越えられない見えない段差は一人一人個別に違います。本人を主体者として、お子様と教員の個人面談の機会を増やし、その思いやニーズをききとりながら、課題や目標を一緒に確認いたします。また、連絡帳・電話も含め、日ごろからのコミュニケーションをとるよう心がけ、個人懇談では、話し合う合意形成の過程を大事にして、お子様の指導・支援の方針を一緒に定めていきたいと思っています。思春期にもなりますとご家庭と学校でのお子様の様子が違う場合もございます。まずは、授業参観・行事などにたくさんお越しいただき、ご本人の様子を見守って頂けると嬉しいです。

 さて、式場内のみなさま。そもそも「障がい」とは何でしょうか。先に述べましたように「障がい」という概念は、本人さんがもっているものではなく、周りの環境との関係性によって作られるものである。という考え方が国際的に広まりつつあります。私は、知的障がいがある人にとっての大きな「段差」とは、「障がい」を知ろうとしない社会の人たちの「偏見や差別感」だと考えています。開校3年目を迎えますが、まだまだ本校の存在も十分に知っていただいていないと感じています。本校生徒の頑張りや良さを、教育活動を通じて地域社会に積極的にでかけ、我々教職員がメッセンジャーとしてしっかり伝え続けることが、「障害者差別解消」ひいては、「共生社会」づくりに貢献できる我々教育公務員の1つの方法であると考えています。

 「障害者差別解消法」が施行されてもなお、残念ながら世の中には様々な差別、偏見がなくなっていきません。障がい者に対する差別だけではなく、人種差別、男女差別、なくなるどころか、昨今は、施設襲撃や特定の国籍の方に対する酷い対応など、むしろ人権を無視するような悲しいニュースが次々と飛び込んできます。この地球に生きる1人1人の命を大事にする教育が、あらためて世界レベルで必要だと感じていますし、高齢化がすすむ我が国においても、人権を大事にする、助け合う気持ち育てる教育が求められていると考えています。

 本日お迎えした生徒の皆さんが、卒業後、就労を通じた社会的自立を果たし、「支援される立場から、人を助け、支援する喜びを知る側の社会人に成長していただけるよう、全教職員で努めてまいります。

 最後になりましたが、ご来賓の皆様がたには、年度初めのご多用のところ、ご臨席賜りまして誠にありがとうございます。また、日頃より、本校生徒の日常の安全・安心へのご支援や、「職場実習の受け入れ」等に多大なるご協力をいただき感謝しております。今年度も皆様のような本校の応援団の輪を更に広げていくことが私たちの使命でございます。 今年度入学の生徒を、教育を一人でも多くの方に知っていただき、就労へのチャンスをつかめるよう、三年間をかけて、ご家庭と連携しながら育ててまいります。今後ともご支援いただきますようどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、新入生のみなさん、出会いのチャンス・夢へのチャレンジ・社会人へのチェンジを心に抱いて一緒に頑張りましょう。

平成二十九年四月七日  大阪府立むらの高等支援学校長  可知 万千代