Take your time.

7月17日(金)、本校体育館にて、1学期終業式を行いました。私からは、次のお話をいたしました。

1学期最後の日を迎えました。

1学期の間に、みなさんにもたくさんのことがあったと思います。新しい学年が始まり、新しいクラスや仲間との出会い。授業、クラブ活動、学校行事など、それぞれが自分なりに頑張ってきた1学期だったと思います。

始業式では、みなさんに「Trail」という言葉を紹介しました。Trailとは、「歩くことでできる道」という意味です。最初からきれいに舗装された道ではなく、誰かが一歩ずつ歩くことで、少しずつできていく道です。そのとき、みなさんにこんな言葉を伝えました。

Take the first step.

「最初の一歩を踏み出そう」という意味です。

新しいことに挑戦する。やってみたいことに向かって動いてみる。そんな一年にしてほしい、という話をしました。

では、一歩を踏み出したあと、何が大切なのでしょうか。

今日は、そのことについて話したいと思います。

最近読んだ本の中に、ミヒャエル・エンデ作の『モモ』という本があります。カテゴリーとしては児童書になるのですが、高校生のみなさんにも、大人にもぜひ読んでほしい本です。今年は、日本語に翻訳されて50周年にあたる年ということで、オレンジのブックカバーを付けて販売されています。

その本には、「時間を節約しましょう」と言いながら、人をどんどん忙しくさせていく「灰色の男たち」というのが出てきます。無駄をなくすこと。効率よく過ごすこと。早く結果を出すこと。もちろん、それが必要な場面もあります。でも、本を読みながら、少し、「今の社会にも似ているかもしれない」と感じました。私自身も、気づけば「もっと早く」「もっと効率よく」と考えてしまうことがあります。

みなさんの中にも、毎日忙しい忙しいと思っている人がいるかもしれません。朝起きて学校へ来て、授業を受けて、クラブ活動をして、家に帰る。ケータイを開けば、たくさんの情報が流れてきます。SNSでは、周りの人が楽しそうに見えたり、頑張っているように見えたりして、「自分ももっと頑張らなければ」と焦ってしまうこともあるかもしれません。

特に3年生のみなさんは、この夏、自分の進路について真剣に考える時間が増えると思います。オープンキャンパスへ行く人もいるでしょうし、就職に向けての活動も本格的になります。1年生や2年生のみなさんも、「このままでいいのかな」「自分は何をしたいんだろう」と、少しずつ将来について考え始める時期だと思います。

でも、進路について考えるとき、大切なのは、人より早く決めることではありません。自分が納得できる道を、自分のペースで考えることです。

この夏休みは、ぜひ、「自分のこれから」について考える時間を持ってほしいと思います。

将来、どんなことをしてみたいのか。

どんなことに興味があるのか。

どんなときに、「楽しい」と感じるのか。

すぐに答えが見つからなくてもかまいません。大切なのは、自分自身と向き合いながら考えてみることです。好きなことに夢中になる時間。ぼんやり考える時間。本を読む時間。友だちと話す時間。そういう、一見すると「無駄」とも思える時間の中に、自分らしさにつながるヒントがあるかもしれません。

ここで、みなさんに、もうひとつ、2つ目の言葉を紹介します。

Take your time.

焦らずに、自分のペースで、という意味です。

人と比べなくていい。

人と同じ速さで歩かなくてもいい。

立ち止まりながらでもいい。

迷いながらでもいい。

自分の「好き」や「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、自分自身の道を考えてほしいと思います。

この夏休みが、みなさんにとって、自分自身と向き合い、自分のこれからについて考える時間になることを願っています。

2学期始業式が始まるころには、窓明分校にも生徒が通い始めています。本校生徒も分校生徒も、それぞれの歩幅で、自分の道を歩いてくれることを楽しみにしています。