4期生卒業式

平成27年2月28日土曜日に第4回卒業式が行われました。

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卒業式全景                   卒業証書授与

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答辞                        退場

 

校長式辞

 寒さの厳しかった今年の冬もようやく終わりを告げようとしています。
 柔らかな日差しに春の訪れが感じられるようになり、皆さんの旅立ちをお祝いする日がやってきました。大阪府立懐風館高等学校第四期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
楽しい時、苦しい時、嬉しい時、辛い時・・・ さまざまなことがあったであろう三年間を本校で過ごし、今日晴れて本校での学びを終えて巣立っていく二百五名の皆さんの、これまでの努力を讃えますとともに、その門出を心から祝福したいと思います。また、保護者の皆さまにおかれましても、長きに渡る子育ての一区切りとして、今日のよき日を迎えられ、そのお慶びはいかばかりかと存じます。式辞の始めにあたり、お祝い申しあげます。
 申し遅れましたが、本日はご多用の折にもかかわらず、本校卒業生の門出をお祝いくださるために、大阪府教育委員会ご代表をはじめ、様々な方面から懐風館高校を支えていただいております皆さま方のご臨席を賜り、高壇からではございますが、厚くお礼申しあげます。まことにありがとうございます。
さて、卒業生の皆さん、今お渡しした、高等学校の課程を修了した証となる卒業証書はわずか十二gしかありません。しかし、そこに詰まっている思いには計り知れないほどの重さがあると思います。それはまさに、先生方をはじめ様々な人たちからの教えや導き、クラスや部活動の仲間とのふれあいや協力を、縦糸、横糸として紡ぎ、三年という歳月をかけて織り上げた高校時代という一枚の織物、そのものだと思います。さまざまな思いや努力が詰まったその卒業証書を胸に、これからの人生の始まりとして、この卒業をとらえ、力強い一歩を踏み出していってください。今ここに懐風館高校での学びを終え、まさに社会へ飛び出そうとしている皆さんに、話ができる最後の機会としてメッセージを贈りたいと思います。
 昨年、『赤毛のアン』の翻訳者、村岡花子の生涯を描いたドラマが放映されました。その中で、彼女が女学校を卒業する際のカナダ人の校長の祝辞がとても印象に残っていますので紹介します。これはドラマの中だけの話しではなく、実際に語られたもので、それは次のような言葉です。 私の愛する生徒たちよ。我とともに老いよ。最上のものは、尚後に来たる。今から十五年、二十年、三十年ののちにあなたがたが今日のこの時代を思い返して、なおかつ、あの時が一番たのしかった、一番幸福だった、としんそこから思うようなことが、もし、あるとしたならば、私はそれをこの学校の教育の失敗だといわなければなりません。人生は進歩です。きょうはきのうよりも良く、あすはきょうよりもすぐれた生活へと、たえず前進して行くのが真実の生きかたです。若い時代は準備のときであり、その準備の種類によって次の中年時代、老年時代が作られていきます。最上のものは過去にあるのではなく、将来にあります。旅路の最後まで希望と理想を持ちつづけて進んで行く者であってください。
 以上が、その祝辞です。
 冒頭の「我とともに老いよ。最上のものは、尚後に来たる」、原文「Grow old along with me! The best is yet to be」は、イギリスの詩人ロバートブラウニングの詩からの引用で、皆さんにとって楽しいとき、幸福の時、最上のものは未来にあることを力強く語りかけています。「最上のものは過去にあるものではなく、将来にある」「最善はこれからだ」この言葉を皆さんに送りたいと思います。私たちは誰しも昔を懐かしむことがよくあります。「あの頃は良かった」「あの頃に戻りたい」と思うことがありますが、もっと良いことがこれからの人生の中で待っています。過去よりも未来にもっと良いことが待っていることを信じて歩んでいってください。高校時代は、将来のための準備の時といえます。その時代をいかに過ごすかはとても大切です。楽しく自由に過ごす道もあったでしょうが、私たちは皆さんに苦しいこと辛いことに耐えて、それを乗りこえていくこと、高い目標を掲げ、それにチャレンジすることを、時には厳しく、時には寄り添いながら求めてきました。学習だけでなく、社会生活を送っていくうえで大切なことを日々実践してほしいと願ってきました。例をあげると、一つは、挨拶です。挨拶の大切さは折に触れて話し、先生方も毎朝皆さんに声かけしてきましたが、「おはよう。こんにちは。さようなら。」と声をかけてくれたり、会釈をしてくれる生徒が多く大変うれしく思います。外部からお見えになる人たちからも、「懐風館の生徒は礼儀正しく挨拶をきちんとしてくれて気持がいい」とお褒めの言葉を多く頂戴するようになっています。もう一つは、時間を守れることです。ここ数年遅刻が大きく減少しました。今年、年間遅刻総数一千を下回るという目標を達成できたのも、一人ひとりが遅刻をしないという意識をもって行動してくれた結果だと思います。入学したときから、五分前集合と言い続け、時には厳しい指導もしてきましたが、皆さんはそれにしっかりと応えてくれたと感じています。皆さんの人生はこれからです。様々な"壁"にぶち当たり、どうしたらよいか迷うこともあるでしょう。その時は、高校三年間でしっかり学び、準備してきたことを思い起こしてください。きっと、その壁を乗り越えていくことができると信じています。希望を持ち続け、決して諦めることなく、チャレンジ精神をもって進んでください。未来に最上のもの、サクセスがあることを信じて雄々しく歩んでいってください。
 最後になりましたが、改めまして、保護者の皆さま、お子さまのご卒業 誠におめでとうございます。自分の世界を持ち、自立し始めたお子さまの成長に、少しの寂しさと不安を覚えつつも、思わず目を細めていらっしゃるのではないでしょうか。心からお喜び申しあげますとともに、これまで本校の教育活動に対し、物心両面からご協力・ご支援頂きましたことに深く感謝申しあげます。本当にありがとうございました。
 さて、卒業生の皆さん、いよいよお別れをする時がやってきました。名残は尽きませんが、いつまでもここに留まっているわけにはまいりません。皆さんの目の前には、無限の可能性を秘めた新しい世界が広がっているからです。さあ羽ばたきの時です。懐風館高校で出会い、わずかでも同じ場所で、同じ時間を過ごした者の一人として、そんな皆さんの新しい世界が、健やかで、幸多いものとなることをお祈りして、式辞といたします。


平成二十七年二月二十八日
大阪府立懐風館高等学校長  木谷 秀次