第5話 ~美術部編~
美「あ、見学...ですか?」
目が合って、おずおずと声をかけられた。威勢のない声と地味な見た目には似合わない、カラフルなエプロンをつけた人。
美「私たち、美術部なんだけど...良かったら見ていきませんか?」
運動部の人達に比べると声が小さくて控えめだ。こんな感じで勧誘は出来ているのだろうか。他人ながら心配になる。
ハヤト「行ってみるか」
レナ「そうやね。せっかくやし」
美「ありがとう!じゃ、さっそく美術室に向かいましょう。本館2階の奥にあります」
嬉しそうな声色で、俺たちを美術部へ案内してくれた。
*
ハヤト「なんか静かやな」
レナ「それな、ここの階段初めて使った」
美「つきました、ようこそ美術部へ!」
ハヤト「うわ、なんか広い?」
レナ「でも教室とそんな変わらんような気もする」
美「ああ、畷高の美術室は一日を通して安定して光を取り入れられるように、天井が高くて窓が大きい造りになってるんです」
ハヤト「へえ〜っ、すご」
美「改めましてこんにちは。美術部です。私達は3年生2人、2年生1人の少人数で活動しているのですが、本当にピンチなのです。このままだと同好会に格下げです。いい部活なので!!!!!入ってください!!!!!!!!!!!!!!!!」
ハヤト「こわ」
レナ「私はちょっとだけ絵を描くのが好きだけど上手くないし、油絵とかやったことないし...」
美「全く問題ナッシングtoo muchですな。私達も高校に入るまで油絵未経験でしたけど、何だかんだ楽しんで作品作りしてます。道具も全部揃ってるし、気軽に沢山の画材に触れられるのもこの部活のいい所です。絵を描いたり見たりすることが好きなら、入って損は無いですよ」
ハヤト「いいですね、レナ入ってみたら?」
レナ「確かに良さそうやけど、正直他の部活も捨てがたいんですよね。ここ!とひとつに決めるのが...」
美「そういう人には兼部もオススメ!実際3分の2が他の文化部との兼部です(3人しかいないけど)。今までにも文化部や運動部との兼部の先輩もいらっしゃいました」
ハヤト「え、運動部とも兼部できるんですか?」
美「できますよ!頑張り次第で。美術部は自分のペースで作品を作っていく活動がメインだから、無理に毎日来なくても大丈夫。他の部活や勉強と両立もしやすいです。ただし、作品完成がコンクールに間に合うようにね」
レナ「うーん、すみません。作品とかコンクールとか何となくはわかるんですけど...具体的にどんなことしてるんですか?」
美「確かに美術部って学校によって活動が違ったりしてなかなかピンと来ない部分もありますよね。うちの美術部の活動は、主に春休みから文化祭までは物品作り。文化祭で売るための、ちょっとしたお土産になるようなアイテムを作ります。夏休み以降は展覧会やコンクールの作品作り。大きめの油絵の作品を作ります。作品は一年に二つです。」
ハヤト「なるほど、文化祭でお店をやるのはちょっと楽しそうですね!」
レナ「新たな部活候補になりました!」
美「ありがとうございます!!!ぜひ!!!!!お待ちしてます!!!!!!!!!」
ハヤト「こわ」
レナ「ありがとうございました!」
*
ハヤト「次、どこにしよっか」
レナ「あ、じゃあ気になってたあの部活...」
第6話に続く
(記載ー美術部顧問 竹中)