75期学年団・リレーブログ10

 私は物理科の教員です。趣味がお寺、神社、美術館、博物館巡りで月に一度は大阪を出て京都や奈良等に通っています。そこで、ふと思ったのですが、江戸時代以前の文字はほとんど読めないということです。日本語で日本の字でありながら。もしも、私に外国人の友人がいて一緒に美術館に行き「これは何と書いてあるのですか?」と尋ねられたら、日本語でありながら「読めない」と答えるほかありません。そこで昔の字を勉強することにしました。今では平安時代から江戸時代の「ひらかな」については大体読めるようになってきました。ところが戦国時代の武将などが書いた手紙には漢字が多用されていて、とても読めません。そこで今は漢字の勉強をしています。難しくてなかなか進みませんが頑張っています。

 ところで昔の字を勉強していると必ず短歌にあたります。三十六歌仙絵の本を買って読んでいた時このような歌を見つけました。

 人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどいぬるかな  兼輔朝臣

 藤原兼輔(かねすけ)の歌であるが、「親の子を思う心は、闇というほどではないが、道に迷ってうろたえるものだ」という意味でしょうか。親が子を思う歌は他にもある。

 銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せんにまされる宝子にしかめやも 山上憶良

これは有名な万葉集にある歌で必ず学校で習いますね。

 世の中に思いあれど子を恋ふる思いに勝る思いなきかな。 紀貫之

これは古今和歌集の選者で土佐日記をかいた紀貫之の歌です。

 親というものは本当に子のことが心配で、いつも気に病んでいるのです。「親にならないとその気持ちはわからない」と言ってしまえばそれだけですが、休校になっている今、親は「感染しないだろうか」「こんなに休んでいて学力は大丈夫だろうか」「受験にひびかないか」「友達はできるかな」「ゲームばかりしていておかしくならないかな」...考え出すと悩み多い。

1年生の君たちに親の気持ちを100%理解せよとは言わないが、せめて、「君たちが今やるべきことを、しっかりとやる姿勢を示す」ことが大切だと思う。

私たちは一日も早く君たちと一緒に勉強ができるようになることを待ち望んでいます。そのための準備もしています。お互いに頑張ってこの事態を切り抜けましょう。

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