二学期終業式(式辞)

終業式のテーマは、「自分がされたら嫌なことはしないというのは中学生まで。高校生になったら、自分はされて平気でも、相手がされて嫌なことはしない」です。

来年から「さん付け呼称」を奨励します。

 みなさん こんにちは、校長の山本です。

 2学期が始まったのは、夏の盛りの8月20日でした。土曜授業も5回あり、今までで最も長かった2学期も今日で終了です。近年まれにみるタフな学期でしたが、みなさん、よく頑張ってくれました。  

 2学期に、登美丘高校は学校休業を4回行いました。きっかけは全て家庭内感染です。陽性を確認された生徒は、家族から隔離しての生活を余儀なくされ、心細かったでしょうし、それにより濃厚接触者や念のためのPCRを受けた生徒の事を案じ、また結果によって行事・部活動や受験ができなくなる恐れもあったので、その最中は、陽性になった生徒もPCR検査を受けた生徒も大変不安で辛かったと思います。数えましたら、PCR検査を受けた生徒は100名を超え、中には複数回受けた生徒もいました。様々な不安からよく乗り越えられたと思います。また幸いだったのは、そこでのり患は、秋口の話ですが、部活の業務でずっと一緒だった生徒1人だけだったことです。(その生徒は気の毒でしたがすぐにに元気で復活してくれました)他のみんなは、部活動を一緒にしながらも、食事を共にしながらも、授業を並んで受けながらも、移ることはありませんでした。これはほっとしました。普段からソーシャルディスタンスをしっかり守り、マスクをしてくれていたからだと思っています。ありがとうございます。

 そして何より、この2学期、行事や部活動の大会は沢山ありましたが、前日まで、ひょっとしたら急に中止になる可能性がありながらも、しっかり準備して臨むというのは、私たちも含めみんな初めての経験だったと思います。それでもなお、登美高祭や引退の自主公演や部活の大会など、制約の中でよく挑戦してくれました。感心しましたし、感動しました。一つ、成長したんじゃないかと思っています。良かったです。やりきったことを誇って下さいね。  

 さて、もう一つお礼があります。12月頭に、グーグルクラスルームで「非認知能力」のアンケートを依頼して、ほぼ全ての皆さんが答えてくれました。ありがとうございます。「非認知能力」というのは、学校のテストの点数やIQ、偏差値などのように数値で測れるものではなく、例えば「失敗から学べる力」や「やり抜く力」など数値では測れない力の事を指します。また、整理してお話ししますが、実は今、皆さんが社会に出たときにつけておいた方が良い力を再整理したいと考えています。そして、登美高生が、得意な力、意識してつけた方がいい力も明らかになればと思い、アンケートに協力いただきました。その力の獲得方法について先生方と話しているところです。例えば今回、5点満点の設問の中で、「礼儀やマナー、ルールや決まりごとに注意して行動できる」が最も高い4.40点、一方で「落ち込むようなことがあってもすぐに気持ちを切り替えられる」が最も低い3.21点だったなど、いいとか悪いとかでなく、登美高生らしい一面が見て取れました。  全体的には、登美高生は、他者を思いやる、他の人とつながる力はとても高いし、努力する力も高い数値が出ています。一方で平常心や挑戦する力、より高みをめざす力、辛いことから回復できる力を意識していった方が良いという数値も出ています。このアンケートを元に、また来年、どんな力を維持して、どんな力を意識してつけて行ったらいいか、皆さんに提案していきたいのでよろしくお願いします。興味があったら生徒の皆さん、「非認知能力」というのを調べてみて下さいね、面白いですよ。  

 次に、登美高生の持ち味である、他者を思いやる力、温かさをさらに強化すべく、もう一つお話をしたいと思っています。  2年生3年生は、昨年人権学習で、生田斗真さんが主演を務めた「彼らが本気で編むときは」の映画を鑑賞していただきました。LGBT、セクシュアリティの多様性の話でした。Lは女性同性愛のレズビアン、Gは男性同性愛のゲイ、Bは両性愛の男女のバイセクシュアル、Tは生まれ持った身体に違和感を持ち、身体の性別とは異なる性別で生きる事を望むトランスジェンダーの頭文字をとってLGBTと言います。また学齢期や思春期に多く見られることとして、性的思考や性自認がはっきりしていないことや、明確に定まらないこと、揺れ動いている状況があり、その状況の事をクエスチョニングと呼び、そのQも加えてLGBTQとも言います。広告代理店・博報堂の調査によりますと、LGBTの方は5%強いるそうです。5%強というのは、登美丘高校生徒で換算すると50人となります。今年の初め、そして最近も、その勉強会を教職員で行いましたが、そこでの話し合いで、一定数いるだろうLGBTQの生徒も、過ごしやすい学校をめざすこととしました。その手始めとして、学校内では「男子に君、女子にさん」、というのをやめて、呼ぶときには「さん」で統一していこうと決めました。「さん付け奨励」の場合、「呼び捨てはどうなりますか」という質問が次に予想されますが、呼び捨てに男女差はないので、奨励はしないが禁止もしないことに一旦しています。年明けから登美丘高校の、まず教職員は、「さん付け呼称」に挑戦していきます。温かく見守って下さいね。

 小学校や中学校の時に「自分がされて嫌なことは 人にしない 言わない」と言われたことがあると思うのですが、高校生の皆さんにはもう一言付け加えたくてですね、それは「自分はされて平気でも、相手がされて嫌なことはしない、言わない」という事です。来年から挑戦する「さん付け」運動は、そういう事です。それが、「強いから優しい」登美高生に期待する事です。よろしくお願いします。  

 最後に、今年は本当に思ってもみなかった一年になりました。いろんな思いが渦巻いていると思います。今日配られたPTA新聞に、生徒会長の臼田さんの話が載っていて、大いに共感しました。「チャンスはピンチの顔をしてやってくる」そうです。まだまだ真剣勝負と言われる3週間、ピンチは続きます。 だけどみなさんも、臼田さんのように「その瞬間からのベスト」を意識して、来年を迎えましょう。きっといい年になります。では次は1月5日にお会いしましょう。メリークリスマス!よいお年を。

山本哲哉