______________________________平成28年12月25日
平成28年度を振り返って 監督からの御礼の御挨拶
______________________________北摂つばさ高等学校 野球部監督 吉田真己都

_北摂つばさ高校野球部に関係していただいているすべての皆様へ。日頃のご理解、ご支援に心より感謝いたします。平成28年度を振り返って子どもを預かっている監督として、この場をお借りして御挨拶申し上げます。

_今年は我が野球部にとって歴史的な1年にすることができました。言ういうまでもなく第98回全国高等学校野球選手権大会大会大阪において、一回戦の門真西高校との試合で本校創立以来の、悲願の一勝を挙げることができたことです。球場で歌う校歌は格別でした。後から聞いたことですが、初めてのことでもあり、歌いだしが合わずに選手も戸惑ったようです。校歌を歌った選手たちにとっては一生の思い出となることでしょう。
_振り返ってみますと、平成21年に私が監督を引き継いで以来、勝利なく5年間が過ぎ、監督6年目の平成26年8月31日秋季大会一回戦10対2の対刀根山高校戦が公式戦で挙げた本校の初勝利でした。その後、平成27年9月20日秋季大会Dブロック二回戦6対3の対阪南高校戦、平成28年4月10日春季大会Bブロック一回戦22対1の対南高校戦と、通算で秋2勝、春1勝だけで夏の勝利はまだありませんでした。秋も春も勝利の後の校歌はありません。夏の一勝は重みが違うのです。
_さて、話をもどします。緊迫の中での一回戦をいわゆるスミイチ(1-0)で完封勝利し緊張がほぐれたのか、選手たちは自信を深めたのでしょう。選手たちはのびのびと勝利に向けて頑張ってくれました。二回戦の箕面自由学園を2-1、三回戦の早稲田摂陵を8-7、四回戦の桃山学院を10-9で下しての、五回戦進出(大阪府ベスト16)は本校野球部に自信と勇気を与えてくれました。すべて1点差のゲームを勝利したことに価値があります。最後まで勝利をあきらめずに戦えば勝利の可能性が開ける、ということを選手は学んでくれたと思います。3年生はそのことを心の財産にして卒業後も活躍してくれたら、監督として、これほど嬉しいことはありません。
_また、女子選手の引地渚さんには、ありがとう、の言葉を贈りたいと思います。試合に出られない選手がチームの勝利のために何ができるかを考えて一丸となって行動する、それが強いチームです。公式戦に出場できない条件のもとでもチームに貢献する姿はロールモデルとなり、チームに大きなプラスの影響を与えてくれました。

_さて、新チームについてです。秋季大会は一回戦3-2牧野、二回戦7-6八尾翠翔の後、三回戦4-7と高槻北に敗退しました。しかし、第一学区の公立高校大会では6-4渋谷、7-3東淀川、5-2山田、4-1池田、と4勝した後で、2-7と大冠に敗退したものの、3.4位決定戦で5-3高槻北に秋季大会の雪辱を果たしました。
_新チーム結成以来、練習試合、公式戦を含めて、通算で27勝12敗2分けでした。来シーズンに向けて、部員2年生21名、1年生8名の戦いは第二コーナーを曲がって第三コーナーに向かっています。
_新チームにむけては、「放下(ほうげ)」という禅の言葉を贈ります。
_野村監督は「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言われました。いくつもゲームをして負ける時は負けるべくして負けています。絶対的な力の差で負けているというよりは、自分の気持ちの持ちようによって、試合の流れを掴みきれずに負けているのです。敵に負けるのではなく自分に負けているのです。流れを掴めない時は負けるべくして負け、流れを掴んだ時には不思議の勝ちが転がり込んでくるのです。
_では、常に流れを掴むにはどうするのか。その答えが「放下」なのです。
_勝てる、という甘い見通し、は成功体験の記憶に由来しますが、これが勝負の邪魔になるのです。相手をリスペクトして常に勝利にむけて挑戦者として謙虚であり続けること、そのためには自分にとって邪魔な自分の成功体験の記憶をすべて捨て去ること、これが放下です。
_たとえば、高槻北に夏の練習試合で一勝一敗であったという記憶が、秋季大会にどのように影響したのでしょうか。練習試合で一試合目に勝った記憶から「勝てる」という見通しを持たなかったでしょうか。これは秋の大会での「心の隙」になるのです。逆に秋季大会で勝利した高槻北がつばさに「勝てる」という気持ちを持ったなら、公立大会に臨むにあたっての「心の隙」になるのです。心の持ち方は結果に無関係だったでしょうか。高校生同士の対戦では絶対的な力の差はないのです。勝負の分かれ目は心の持ち方の差なのです。_
_練習試合も相当の数をこなしていますが、練習試合で勝つと同時に公式戦における「心の隙」を積み重ねていたのでは何のための練習試合かわかりません。練習試合で負けた相手は次には公式戦で一泡吹かせてやろうと、逆にメラメラと闘争心を高めているのです。練習試合で勝った相手に公式戦で負けることほど、心の弱いダメなチームはないのです。勝利したらその瞬間に勝利したことを捨て去る必要があります。過去の勝利に酔っていると、心の隙によって逆に足元をすくわれるのです。自分が自分の心によって負けるということです。選手の皆さんには、「放下(ほうげ)」の教えを心に刻んでいただければ幸いです。

_3月上旬に練習試合が解禁され、春の大会、夏の大会と続きます。残された機会は多くはありません。土筆(つくし)の芽が春を待つように、謙虚な心で冬のトレーニングに励んで下さい。過去、どんな勝利をしたかを振り返るのは、引退してからでいいのです。過去の成功体験の全てを捨てて勝利に向かって努力してください。

_これが、北摂つばさ高校の野球部です。来年の春にはたくさんの新入部員を迎えたいと思います。たくさんの新入生に来ていただくことを願っています。最後に北摂つばさ高校で野球をするかどうか迷っている人へ。星野仙一監督の言葉を贈ります。
_「迷った時は前に出ろ」
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