環形動物門


多毛綱(ゴカイ類)・貧毛綱(ミミズ類)・ヒル型綱(ヒル類)の3綱からなる。体は前後に長く多数の「体節」からなる繰り返し構造を持つ。体節が体の部域に応じて分化し、頭・胴(胸と腹)・尾の区別を生じるものがある。この構造は節足動物にも見られるものである。薄くはあるが体表にはクチクラを持ち、多毛類、貧毛類および一部のヒル型類は剛毛を持つ。皮下の筋層は外側に輪筋があり、内側に縦走筋がある。消化管は直走し肛門は体の後端に開く。はしご形神経系と閉鎖血管系をもつ。排出は各体節ごとにある腎管で行う。雌雄同体のものと異体のものがあり、生殖腺は各体節の体腔壁に生じ、腎管が輸卵管・輸精管を兼ねる。一部の種では成熟期に体壁が破れて放卵・放精をする、これはかなり豪快な方法である。卵割はらせん型で、トロコフォア幼生を生じる。この幼生が軟体動物の幼生と似ているので、両者は近縁だと考えられている。



Class Polycheata 多毛綱


ヤッコカンザシ
岩の表面に付着したうねる白い管の中に、釣りえさに使われるゴカイの仲間が住んでいるとはなかなか信じがたい。満潮時に水没したときに、この石灰質の管から触手を出してプランクトンを食べる。次に出てくるケヤリムシの小型の仲間の集合住宅だと考えるとよい。和歌山市加太の城ヶ崎で撮影。



ゴカイの採餌行動
潮間帯の上部に取り残された小さなタイドプール(差し渡し30cm)の傍で休んでいると、岩の間隙からゴカイの仲間が出てきてタテジマイソギンチャクの方にまっしぐらに伸長してゆく。イソギンチャクの側壁に付着している排泄物様の物体にしばらく取り付いたのち、イソギンチャクの口から出ている隔膜糸とおもわれる白い物体を物色し、その直後にもとの間隙に戻った。数十分観察してみると、このゴカイはタイドプールのタテジマイソギンチャクを順番に点検しているようであった。

広瀬祐司(動物行動の映像データベース:momo051123un01b)