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COPデンマーク会議に参加して(デンマークの状況) | |||||||||
26期 岡田 美乃利 | |||||||||
私は昨年2009年12月15日~24日までCOP15(国連気候変動枠組み第15回締約国会議)が開かれたデンマークへ妻と一緒に行ってきました。CASA(NGO、地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の一員として18名が関空から出発しました。 COPは国連の会議で毎年開催され、その会議には世界の3万人前後が参加します。COPの事情で会場には入れませんでしたが、クリマフォーラム09と呼ばれる市民サミットに世界各国のNGOの参加者と交流してきました。 また、デンマークの自然エネルギー(バイオや麦わら、廃材を燃やしての発電とお湯の生産)、学校(9年生の学校の授業参観)、介護施設、風力発電所、廃棄物分別所などを見学・視察をしてきました。 デンマークなど北欧はすごい国です。本では読んでいましたが“百聞は一見にしかず”驚きました。私の見聞、感想をご紹介させていただきます。
一、デンマークのエネルギーの基本的考え方 2、風力は現在6400基で電力消費量の約15%の50億KWを発電。全消費量の85%を個人と協同組合で、電力会社は15%。 3、廃棄物で発電とお湯の生産(産業廃棄物など) 4、バイオガスで発電とお湯の生産(家畜の糞尿)現26箇所、家畜糞尿はガス抜きし、再び肥料。 5、麦わらで発電とお湯の生産(農家持込と有料で国買取り、後で出る灰は出した農家へ、肥料に) 6、天然ガス発電(北海油田だが、あと10数年で枯渇) 7、原発はゼロ(1960年代から原子力導入を検討するも、1985年に正式に原子力なきエネルギー政策確立。原発導入は国民投票で)日本の原発発電率27,8%。 8、日本で使われている電気暖房器具はデンマークでは数十年前に使用禁止。今は温水を使って暖房。余分なガスや大気汚染を防ぐのに地球にやさしいシステム。 9、全国の全道路に電柱ナシ。地下には配電線、水道、給湯管、下水管など埋設。全家庭へ給湯管で暖房。 10、循環型システム。空瓶はスーパーのボトル回収機でレシートを取りレジへ、1本20円還元
二、医療、介護の状況について ○、介護施設は1人二部屋・36㎡(約11坪・22畳) ○、介護施設への入所待機者ゼロ。在宅介護は24時間。 ○、高齢者は介護施設に入っても年金で衣食住、文化・趣味など支払っても月2~3万円は残る。 ○、介護施設の利用料は収入で決まるので全ての国民が利用できる。 ○、医療費無料、外国で手術しても無料でその付き添いの家族滞在費も無料 生まれたときから死ぬまで医療は全て無料。難病で外国で手術し、付添いの親や肉親の旅費・滞在費は国が責任を持つ親の負担はゼロ。 三、教育について 1、教育の目標は「国家運営」に参加する国民をつくること。2、国民は国家の財産であり、教育は国家を支える人材を育成する国家的事業だという考え。 3、教育費は大学卒業まで無料。 4、全国高校野球大会など教育に優勝を争う大会などナシ。 5、教科書は6~7年使用。小・中学校(9年生学校) 6、学校では学期末の通知表はナシ。校舎への受付もナシ。 7、校舎の中の正面に6つの時計が有り、東京、ロンドン、ニューヨークなど世界がいまどの時間か、世界の中の自分を考える機会に。 8、試験(例・小学校、大学の問題)正解を求める試験でなく、解決する考え方を求める試験。 9、鉄道の駅の改札ナシ。その分はサービスにまわす(人間、お互いを信頼しあう。ごまかさない道徳が日常生活に。無銭乗車をやることは出来るが、車内検札で見つかれば1万円の罰金) 四、その他 1、親の子どもの扶養義務は18歳まで、大学生には国から月約10万円支給。18歳で親と別居。2、お金持ち・資産家の優遇措置などなし。日本のような世界的大企業もなし。 3、15歳から税金の自主申告(アルバイト収入も申告)。子どもの時から税金の使い方に関心。 4、農業協同組合は生産、加工、販売まで全過程を担っている。このように生産者が自らの利益を、加工業者、販売会社の「中間搾取」「買い叩き」から守るために作った組織で、人件費の高いデンマークでも世界で競合できる農業をつくりあげてきた。 5、自転車の奨励(自転車道の完備)、電車・地下鉄・バスに持込みOK。駐輪無料。犬も同乗。 6、電気使用量の検針ナシ。自主申告、お互いを信頼。そこに金をかけるなら他のサービスに。 7、明石大橋のような大きな橋があるが街灯ゼロ、街灯は街部に有り。又、建物の高さはほぼ6階建て、街にはネオンナシ。(法で禁止) 8、王国だが日本の天皇とは基本的に違う 第二次世界大戦のとき、ドイツと闘うレジスタンスを支援し、国民に敬愛され支えられている。王室にはお金を払って入室可能。国会議事堂もすぐ傍まで接近。国会は多くの老若男女が傍聴する。 9、高福祉でも国家財政黒字.GNI=GDPはデンマーク世界4位、幸せな国第1位。 五、まとめ 高度に発達した国ながら若者が夢を持ちにくい日本とデンマークの状況をみて、その落差に愕然としました。デンマークの現状から日本をどう考え、何をすべきか私なりに考えました。 教育で重視しているのは歴史です。歴史教育の中から国の生い立ちを知ることによって、現在に至る国家形成の過程を知り、その課程の中から国家を受け継ぐ次世代として何をしなければばらないかを考えさせている。社会福祉国家をめざす人びとにとっても、自然エネルギー導入をめざす人びとにとっても大事なことは自国の形成過程を知ることだと思います。国家の形成過程の中から、その国に住む国民が「共生社会」、共に生きる社会を選ぶか、それとも「競争社会」を選ぶかの結果が出てきます。 デンマークの「共生社会、福祉国家」は参考になりました。他の世界を見ることで多くのことを知った貴重な10日間でした。 ![]() ![]() ![]() | |||||||||
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