住高SSH 探究的活動支援サイト

このWEBサイトは大阪府立住吉高等学校が研究開発してきた探究的活動のノウハウを校内外に普及するために作成したサイトです。

SSH全体 第02回 研究-表現-評価とは?

1、研究活動とは?

本校では研究活動を下図(右側)のような4ステップで表しています。また、この流れを研究プロセスとよんでいます。

研究プロセスの図

①解決したい課題Qを設定し、その仮説A'(予想する答)を立てる
②データを得る方法How(実験や調査)を計画し、実行する。
③得た結果D(データ)を分析し、結論A(Qの答え)を導く。
発展課題を見つけて、活動内容を磨き上げる。

ステップ1 課題Qと仮説A'の設定

研究活動は調べたい疑問(Question)がなければ始まりません。これを課題Qとよんでいます。日常にひそむ何気ない疑問が研究につながるかもしれませんよ。

次に課題Qの答えを予想します。「きっと▲▲だろう」と予想した仮の答えを仮説といい記号はA'で表現しています。自分なりに理由のある答えをイメージしてみましょう。

ステップ2 検証方法How

次に仮説が正しいかどうかを調べます。そのためには証拠となるデータ(特に数量データ)が必要です。必要なデータが得られるような実験や調査を計画して実行しましょう。

ステップ3 結果Dから結論Aへ

結果D(データ)にもとづいて結論Aを導きます。思い込みや感覚といったあいまいで主観的な要素を抜きにした科学的根拠(エビデンス)を重視します。初めに予想した仮説は正しかったでしょうか?

ステップ4 発展課題の発見

完結する探究活動など存在しません。もっと信頼性の高いデータを得る方法があるのではないか?もっと正しくデータを分析することができるのではなか?このように更なる発展課題を発見して①~③のプロセスを繰り返します。

2、表現活動とは?

活動内容は資料にまとめて発表し、他者と共有します。図のように情報には形がありません。ですから何もしなければ相手には伝わりません。正しく伝える表現力が無ければ、優れた活動内容であっても相手には伝わらないということです。

表現活動の図

学生の多くは、情報を理解する練習を経験しています。しかし、情報を理解してもらう練習をあまり経験していません。SSHの活動では「分かりやすく正しく相手に伝えるにはどうすればよいのか?」をテーマに資料(ポスター、スライド、論文)を作成&発表することで表現力の育成をめざしています。

3、評価活動とは?

3-1 相互評価による高め合い

また多くの学生は評価されることを経験していますが、評価する経験をあまりしていません。SSHの活動では主に「生徒間の相互評価」を行います。下図に示すように生徒たちが互いに評価し、高め合うことが目標です。

評価活動の図

相互評価の利点は2つです。

1、正しい評価に近づく。
2、学び合える。

3-2 正しい評価に近づく

図(左)のように自分の活動に対する「正しい評価」があったとします。しかし、図(真ん中)のように、自己評価だけでは本来よりも大きく評価したり(過大評価)、見逃してしまう評価観点がどうしても出てきます。つまり自分だけで正しい評価をすることは難しいということです。

相互評価の利点

そのため他者評価が必要になります。図(右)のように他者の評価を受け入れて足りない観点を補っていくのです。こうすることで正しい評価に近づくことができます。さらに、自分で評価していたが、他者からは評価されていない観点にも気づくことができ、過大評価を抑える効果もあります。

3-3 学び合える

相手を評価することは自分のためにもなります。評価する過程で自分では想像もつかなかったアイデアに出会えるからです。相手の研究手段、データの分析方法、分かりやすく伝わりやすい表現の技法など、相手から多くのことを学ぶことができるわけです。

相互評価の利点

相互評価は互いのあら探しをするバトルではありません。互いに助け合い、高め合う活動です。互いの活動からアイデアを学び合い、刺激し合うことができます。

具体的にはルーブリック(評価規準)を用いた評価活動を行います。詳細は「ルーブリックとは?」で説明します。

参考:本校のルーブリック

あいさつ 2020_05_25

皆さんこんにちは。SSH主担当の大門(オオカド)です。休校期間中いかがお過ごしですか?私はWEBサイトの作り方を勉強し始めました。

ニュートンの創造的休暇という言葉をご存じですか?新型コロナによる休校が続く中、再注目されているキーワードです。

17世紀、彼が大学教授をしていたころ、ペストが世界的に流行していました。その影響で勤めていたケンブリッジ大学が1年以上休校になります。ニュートンは自宅ですごしていたのですが、この期間中に「万有引力の発見」など世界をひっくり返すような論文を立て続けに発表しました。

のちにニュートンはこの休校期間を「創造的休暇」と言いました。

このエピソードの真偽については諸説ありますが、私がここから読み取ったことは「やりたいことがあるという強さ」です。

「自由な時間」を得たとき、それをダラリとした「ひまな時間」にするか、没頭して「創造的休暇」にするかの境界線はやりたいことがあるかどうかにあると感じました。

「コロナが落ち着けば元に戻る」というセリフをよくききますが、私たちは「戻る」のではなく「進化」できると信じています。

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